《医師監修》筋肉がけいれんして起こる足のつり。内科医に聞く、原因と対処法とは

足のつり

寝ているとき、長時間歩いているときや立ちっぱなしのとき、スポーツをしているときなどに、不意に足のどこかがつって、痛みが走った経験はありませんか。急なことで、どうすればいいのか混乱する事態になりかねません。そこで、内科医で大阪府内科医会副会長・泉岡医院(大阪市都島区)の泉岡利於(いずおか・としお)院長に、詳しいお話を伺いました。

原因は、筋肉疲労、冷え、ミネラルや水分の不足

まず、足がつるとはどういう症状かについて、泉岡医師は次のように説明します。

「一般的には『こむらがえり』と呼ばれますが、医学的病名は『腓腹筋痙攣(ひふくきんけいれん)』と言います。腓腹筋とは、『こむら』、つまり、『ふくらはぎ』のことで、ふくらはぎの筋肉がけいれんして過剰に収縮した状態がこむらがえりです。ふくらはぎに起こることが多いのでそう呼びますが、ふともも、すね、足の甲、足の指などの筋肉でも起こります」

次に泉岡医師は、足がつる原因について、こう説明を続けます。

「足を動かすときは脳から筋肉へ指令が出ます。しかし、動きの拍子などで脳からの指令がないのに、運動神経が筋肉を動かそうとして収縮したままになることがあります。この場合、足がつったように感じ、神経を刺激して激痛を伴います。

足は、立つ、歩くなどの動作だけでも筋肉をよく使う部位です。激しい運動をしている場合はこのようなことになりやすいと考えられます。

ウオーキングやジョギング、サイクリングなどの運動中や、立ちっぱなしで作業しているとき、寝ているときにも起こります。

次の(1)~(4)はそれぞれ、足がつる原因となりますが、どれか一つだけというよりは、複数が、あるいはこのすべてが影響していることが多いと考えられます」

(1)筋肉疲労

例えば、「普段使い慣れない部位を急に動かした」、「日ごろは運動不足なのに突然に運動を始めた」、「長時間の運動をした」などの場合、筋肉を動かすために必要なエネルギーが補給できていない、または、筋肉の伸縮をコントロールする機能が過剰に反応することがあります。これが筋肉の収縮やけいれんを引き起こします。

(2)冷え

冷えると血管が収縮して、血流が悪くなります。すると、筋肉の血液量が減って栄養素やエネルギーが不足するうえに、熱を作り出そうと筋肉が収縮するため、足がつりやすくなります。

(3)ミネラルの不足

ミネラルとは五大栄養素の一つで、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどがあり、筋肉の動きや神経の伝達を調整しています。体内では作ることができないため、食べ物からとる必要がありますが、これらが不足すると筋肉の伸縮に異常をきたすことがあります。

(4)水分不足

睡眠中や汗をかいたとき、水分を飲めなかったとき、下痢をしているときなどで水分が不足すると、栄養素、酸素、老廃物などの供給や排出が滞り、筋肉が過度に緊張しやすくなります。

予防のポイントは、日ごろから足を冷やさないこと

ではここで泉岡医師に、足がつったときの対策を教えていただきましょう。

「足のつりは、健康な人にも起こる一過性の症状です。あまり恐れずに、けいれんや痛みを和らげることを考えて、痛い部分をなでながらゆっくりと伸ばしましょう。呼吸を止めずに意識して吐きながら行ってください。周囲に人がいるときは、そっと押してもらいます」

そして、注意することや予防法について、泉岡医師はこう話します。

「足のつりは筋肉の炎症ではなく『けいれん』なので、冷やすと悪化し、痛みが増すことがあるので注意が必要です。

日ごろから、足の冷え対策が予防のポイントになります。特に、朝晩が急に冷え込みやすい時期、寒い季節、また夏にクーラーをつけているときも、冷やさないように、入浴や着衣で工夫して体を温めましょう。

また、ミネラルは汗と一緒に排出されやすいので、汗をかいたときは必ず、ミネラルが豊富な硬水やカロリーひかえめのスポーツドリンクを飲んで、水分とミネラルをこまめに補給してください。

さらに、ウオーキングやスクワットなどの軽い運動を習慣にして、筋肉の衰えを防ぎましょう」

足のつりに、痛み止めの薬は意味がない

足のつりには、何科を受診すればいいのでしょうか。また、病院に行くと、どのような処置をするのでしょうか。

「原因が分からない、あるいはこのあとご紹介する何か別の病気かもしれないと思う場合は内科か神経内科へ、筋肉に異常を感じる場合は整形外科を受診しましょう。

病院では、生活の状況をお尋ねしてその患者さんにとっての原因を追究し、生活習慣を指導します。必要に応じて、漢方薬や、筋肉の緊張やけいれんを改善する薬、神経や筋肉の興奮を鎮める薬などを処方します。

患者さんに、『痛み止めの薬を飲んでもいいですか』と尋ねられることがありますが、効き目が早いとされる薬でも、効き始めるまでに20~30分はかかります。足のつりの痛みは激しいですが長くは続きませんから、痛み止めの薬を飲んでも意味はありません」(泉岡医師)

最後に泉岡医師は、頻繁に足がつる場合について注意を加えます。

「(1)~(4)の原因に心当たりがなくてこむらがえりを繰り返す場合や、足以外の筋肉もよくけいれんするときは、糖尿病や肝機能障害、甲状腺機能低下、腎疾患、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症、閉塞性動脈硬化症などの病気、また、高血圧治療薬や抗甲状腺薬、利尿剤などの薬の影響の可能性もあります。

薬を服用している場合は診察時に相談を、それ以外の場合は早めに医療機関を受診してください」

筋肉疲労、冷え、ミネラルや水分の不足など、原因に思いあたる習慣を見直して、突然に痛むこむらがえりを予防したいものです。

取材・文 藤井空/ユンブル


泉岡利於氏

取材協力・監修
泉岡利於氏。医学博士。内科医、大阪府内科医会副会長。医療法人社団宏久会泉岡医院院長。内科、循環器内科、小児科の診察とともに、自治体の医療活動に取り組む。
泉岡医院:大阪市都島区東野田町5-5-8

http://www.izuoka.com/

▼医師が教える、足のつりの対処法【動画】

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