《専門家監修》足専門の理学療法士に聞く。足のつり対策と予防のために、自分でできるケア法7つ

自分でできるケア法

睡眠中、運動中、起床直後、背伸びをしたときなど、無防備なときに突然起こる足のつり。痛む場所やその周辺を伸ばせば治るかと、あれやこれやと自己流のストレッチをしてみますが、治るどころか痛みが増すこともあります。

理学療法士で足のケアと靴の製作を行う馬喰快歩(ばくろかいほ)堂(東京都中央区)所長の三浦賢一さんは、
「足がつるのは、筋肉がけいれんしている状態です。筋肉の収縮は、さまざまな神経回路のスイッチによって生じると考えてください。なにかの拍子に、『筋肉が縮む』というスイッチが固定されて伸びることなく収縮し続けると、『足がつる』ような感覚になって同時に激しく痛みます」と説明します。そこで三浦さんに、どう対処すればいいか、詳しいお話を聞いてみました。

自律神経のバランスがくずれて足の神経が高ぶった状態

「足のつりの原因となる、筋肉を収縮するスイッチだけが入る原因は、主に3つあります」と言う三浦さんは、具体的にこう挙げます。

「1つめは、『自律神経』に起因するものです。特に睡眠中の足のつりは、この要因が強くなります。自律神経は、心臓の拍動、呼吸、胃腸の活動などの体の機能を調節しています。『活動時に働く交感神経』と『安静時に働く副交感神経』の2種類があります。

睡眠時には副交感神経が働きますが、寝返りのときに強い力で足を動かすようなことがあると交感神経が優位になって、足の神経が過剰に反応し、ふくらはぎの筋肉がギュッと収縮して痛むことがあります。

2つめは、運動中に多い要因ですが、筋肉の伸縮運動に必要な成分のカルシウム、鉄、ナトリウムなどのミネラルが不足することで、生理学的な反応として起こります。

3つめは、筋肉の使い方のバランスが崩れていることに起因します。ヒトの筋肉には、医学用語で『相反(そうはん)抑制』というシステムが備わっていて、ふくらはぎの筋肉が収縮すれば反対のすね側の筋肉は弛緩するようにできています。

例えば、サイズの大きい靴やサンダルを履いていると、靴の中で足がずれたり滑るのを防ぐために、足の指が常にギュッと丸まった状態になるでしょう。このようなときは、ふくらはぎの筋肉を頻繁に使い、すねの筋肉はあまり使っていません。こうして、使う筋肉がかたよると相反抑制が働きにくくなり、足の一部分の筋肉を収縮させ続けるスイッチが入ることになります」

どの原因も思い当たります。特に、3つめの、足に合っていない靴で長時間歩いているときの筋肉の状態にはハッとしました。

ストレッチ、温水シャワー、青竹踏みが有用

ここで、足がつったときに自分でできるケアの方法を三浦さんに教えてもらいましょう。

(1)足の指や甲は、つった方向と逆に引っ張る

足の指や甲

足の指が反るように足の裏側に向かってつった場合は、手の指で足の指先を持ち、息を吐きながら足の甲の方向へゆっくり引っ張ります。足の甲がつったならば、足首から先を足の裏に向けて反るように引っ張ります。寝たまま、座ったまま行うことができます。

(2)温水シャワーで足を温める

寒い季節に足がつりやすく、痛みが治まらない、寝ていられないときは、つった部分を中心に温水シャワーを10分ほどあてます。筋肉の緊張がゆるんで改善しやすくなります。

(3)ふくらはぎのつり対策と予防に効果的なストレッチ

次に、足首より上の部分のつりに対応する「部位別のストレッチ」を紹介してもらいます。
「足がつったときにはその場ですぐに行ってみてください。寝る前や運動前にこの4つのストレッチを一連の動作として行うと、つりの予防になります」と三浦さん。

ふくらはぎのつり対策

立ち上がって肩幅ぐらいに足を開き、つったほうの足を一歩後ろに引いて、ひざを軽く曲げます。このとき、腰から垂直に体の重心を落とすと、下げたほうの足のふくらはぎがじわりと伸びていきます。予防のためには、左右の足とも行いましょう。各1~2分。

(4)ひざ裏のつりと予防に効果的なストレッチ

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立ち上がって肩幅ぐらいに足を開き、つったほうの足を一歩後ろに引いて、ひざを曲げずにまっすぐ伸ばします。このとき、もう一方の足のひざは少しゆるめ、上半身をやや前に倒すと、つった足のひざの裏の筋肉が伸びます。予防のためには、左右の足とも行いましょう。各1~2分。

(5)ふともも裏のつりと予防に効果的なストレッチ

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立ち上がって肩幅ぐらいに足を開き、つったほうの足を一歩前に出して、ひざをまっすぐに伸ばします。腰をやや後ろに引き、腰から上だけ前傾姿勢をとると、ももの裏の筋肉が伸びます。予防のためには、左右の足とも行いましょう。各1~2分。

(6)すねのつりと予防に効果的なストレッチ

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座った状態で、つったほうの足首をもう一方の足のひざの上に乗せます。寝ているときは、つっていないほうの足を立てて、そのひざの上につったほうの足首を乗せます。つった側の手で足首からかかとを持ち、もう一方の手でつま先を体の方向にぐっと引っ張ります。すると、すねの筋肉が伸びます。予防のためには、左右の足を行いましょう。各1~2分。

(7)青竹踏みをする

「足の筋肉の使い方がかたよっている」と心当たりがある場合は、青竹踏みを行いましょう。足のつりにつながる土踏まず周辺の筋肉のかたまりをほぐし、血流を促します。心地よいと思う程度の時間でOK。

筆者はウォーキングを日課としていますが、よく足がつるので困っていました。深夜に起こると寝ていられないほど痛みますが、これらを予防として寝る前に実践したところ、それ以来、不思議なことに一度もつることがなく助かっています。特に運動量や移動が多い日は、ぜひ寝る前にこれらのセルフケアをお試しください。

取材・文 小山田淳一郎/ユンブル


三浦先生

取材協力・監修:三浦賢一氏。理学療法士。足の治療と靴の製作の馬喰快歩堂所長。足靴総合研究所所長。高校時代に足やひざの慢性的な障害に苦しみ、「足から全身の健康を見直す」ことを提唱するために医療の道へ。NPO法人オーソティックスソサエティー理事。一般社団法人日本ソーシャルウォーク協会理事。
馬喰快歩堂:東京都中央区日本橋横山5-18中村横山ビル1F
http://www.ashi-ikiiki.com/

▼医師が教える、足のつりの対処法【動画】

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