《医師監修》不眠と憂うつが続く……。 精神科専門医が教える、心を落ち着かせて眠るコツとは

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気分が落ち込む、心配ごとが頭から離れない、明日のことを考えると緊張するといったとき、寝つきにくかったりよく眠れないことがあります。リラックスしてゆっくりと眠るためにはどうすればいいのでしょうか。精神科専門医・心療内科医で新六本木クリニック(東京都港区)の来田(きただ)誠院長に詳しいお話を聞いてみました。

不眠の4つのタイプを把握する

来田医師はまず、「不眠には主に4つのタイプがあります。自分はどれなのか、心当たりはありますか」と、次の項目を挙げます。

(1)入眠困難

布団に入っても1時間以上眠れず、眠るまでに時間がかかる。

(2)中途覚醒

起床までに何度も目が覚める。

(3)早朝覚醒

起きたい時間より早く、例えば2時間以上前に目が覚めて、その後、寝ようとしても眠れない。

(4)熟眠障害

睡眠時間はキープしたとしても、眠りが浅くて熟睡したように感じられない。

来田医師は、これらの項目についてこう説明を続けます。
「4つのうち、1つだけ該当する場合もありますし、複数が起こることもあります。

睡眠にとってよい状況や環境にもかかわらず、このような症状がしばしば生じる、あるいは2週間以上続き、日中にひどく眠くなる、注意力が散漫になる、疲れがとれずにしんどく感じる、めまいや食欲不振などのさまざまな体調不良が起こる状態を、医学的に『不眠症』や『睡眠障害』と呼びます」

では、どうして不眠症になるのでしょうか。その原因について、来田医師は次のように話します。

「気温や時差、枕が変わるなどの環境、また、食生活や生活リズムの乱れ、病気、加齢などの生活習慣、それに、悩みやストレス、緊張感など、精神のありようが大きく影響します。

特に精神面がもとで眠れない場合は、『今日も眠れない』、『早く寝なければ』と焦ることがあるでしょう。これが続くと徐々に不眠への恐怖心が生まれ、よけいに眠れなくなる悪循環に陥ります」

思い当たる人も多いのではないでしょうか。不眠症のタイプ、原因がわかったところで、次は、ゆっくりと眠るにはどうすればいいのかを来田医師に教えてもらいましょう。

悩みを紙に書き出す。寝床で考えごとをしない

来田医師は、「精神科や心療内科では主に、憂うつ、緊張、不安が大きいときなど、精神面が原因となる不眠の対策について診察をしています」と話し、次のように説明します。

「質の高い睡眠には、呼吸や心臓の拍動、体温、血圧などの体の活動を調整する自律神経の1つ、副交感神経が深く関わっています。副交感神経はリラックスモードのときに働くため、睡眠の3時間ほど前から、精神状態をゆったりした気分に導くことが重要です」

これを念頭に、「心を落ち着かせて眠る方法」について、次の5つのポイントを挙げます。

(1)寝床での考えごとを避ける

意識的に、昼間の悩みを寝床に持っていかないようにしましょう。問題に取り組む、明日の行動について計画するのは明日にしよう、と考えましょう。不安な心持ちのまま寝床につくと、寝つくのが難しくなる、浅い眠りになる可能性が高くなります。

(2)悩みや心配ごとを紙に書き出す

(1)の方法が難しいときに、実践してみてください。ストレスフルな状態の自分を客観的に把握することができて、気持ちが楽になりやすいことがわかっています。心配ごとを口に出して、心のうちから吐き出すのもいいでしょう。

(3)趣味の時間を持つ

ストレスの原因とは関係がない分野の趣味を持ちましょう。同じ趣味の友人と話したり、自分が好きなことをして過ごす時間があれば、気分転換をはかることができます。日中に憂うつなことを発散しておくと、不眠症の改善につながるでしょう。

(4)寝酒はしない

心を落ち着かせる、眠ろうとして飲酒をすると逆効果です。一時的に寝つきが良くなるように感じますが、アルコールの作用で脳の機能が麻痺(まひ)しているだけです。実は眠りが浅くなり、朝早くに目が覚めやすいことがわかっています。翌日の体調も良くないことが多いでしょう。

(5)夕方以降、カフェインを含むドリンクやタバコは避ける

気持ちを落ち着かせるために、コーヒーや緑茶を飲む、また喫煙することは逆効果です。特に、就寝する4時間前からはカフェインの入った飲料、例えば、日本茶やコーヒー、紅茶、コーラ、チョコレートなどはとらないようにしましょう。カフェインやタバコに含まれるニコチンは目を覚ます方に働きます。

不眠は慢性化すると治りにくい

これらの方法について、来田医師は次のアドバイスを加えます。

「眠れない日が続く場合は、上記に当てはまることがないか、生活習慣を見直してください。またこれらは、よく眠れる、眠れないに関わらずに日ごろから実践していると、睡眠の質も良くなるでしょう」

さらに、医療機関を受診するタイミングについて、来田医師はこう説明を続けます。

「はじめに紹介した不眠の4つのタイプの状態が1カ月以上続くと、慢性化して治療が困難になるケースもあります。1~2週間と続くときや、仕事や家事などの日常生活に支障をきたす場合は、心療内科や精神科を受診しましょう」

心療内科や精神科での診察内容については、

「はじめにお話しを聞いて、病状を把握します。そのうえで、睡眠環境や睡眠習慣を改善するために、生活習慣の改善法にポイントをおいた睡眠衛生指導を行います。

改善しない場合は、患者さんにとって長期の服用にならないように、リスクを考慮しながら薬を選びます。合わせて、認知行動療法という、気持ちを楽にするために面接を中心とした治療法を行う場合もあります。

特に、原因となる心配ごとや悩みについて医師に相談すると、不眠への焦りや恐怖心が和らぐことがあります。睡眠導入剤などの薬が必要になる前に、早めに受診するようにしましょう」と来田医師。

憂うつなときに眠れないと、焦る気持ちが重なって、より不眠への恐怖心を強めるということです。自分の不眠のタイプを知ったうえで心を落ち着かせる方法を1つずつ実践し、ゆっくりと眠りたいものです。

取材・文 岩田なつき/ユンブル

北田先生

取材協力・監修 来田誠氏。精神科専門医。精神保健指定医。産業医。京都大学医学部卒業後、大阪赤十字病院、大和西大寺きょうこころのクリニック院長を経て、精神科・一般内科の新六本木クリニックを開院、院長。
新六本木クリニック:東京都港区六本木7-15-17 ユニ六本木ビル6階
http://shinroppongi-clinic.com/

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