《医師監修》あなたもメタボかも!? 糖尿病専門医が教える。おなかにたまる脂肪の正体とは

fukuda

メタボリックシンドローム(以下、メタボ)を心配する皆さん、「あなたのおなかは、指で脂肪をつまめるぶよぶよタイプですか? それとも、たたくとポンポンと音がする太鼓腹タイプですか? 健康を考えるにあたり、この2つには大きな違いがあります」と話すのは、糖尿病専門医の福田正博医師。

福田医師は、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)など多くの書籍で、「肥満や糖尿病は『腹やせ』で治そう」という方法を提唱されています。メタボは糖尿病予備群、また生活習慣病予備群とも言われ、いま、国をあげてその対策が叫ばれています。そこで福田医師に、おなかにたまる脂肪のタイプ別の特徴や、健康にとってなにがどう悪いのかをわかりやすく説明していただきましょう。

指でつまめるおなかにたまっているのは「皮下脂肪」

――まず、メタボとはどういうことかについて教えてください。おなかが出ていることをメタボと言うのでしょうか。

福田医師 メタボとは病気の一つです。おなかが出ているだけでは、メタボとは診断されません。

「男性はおなかまわりが85センチ以上、女性は90センチ以上あって、さらに、高血圧・高血糖・脂質代謝異常の3つのうち、2つに当てはまった場合」に、メタボだと診断されます。

おなかの脂肪が気になりだしたら、毎日メジャーで測るようにしてください。

――「ぶよぶよ腹」と「太鼓腹」とでは、何がどのように違うのでしょうか。

福田医師 「体脂肪」と言う言葉をよく耳にされると思いますが、体につく体脂肪には、2種類があります。皮ふと筋肉の間につく「皮下脂肪」と、内臓にからみつく「内臓脂肪」です。

おなかのぶよぶよした部分は指でつまむことができるでしょう。これが皮下脂肪です。女性の体脂肪に多く、二の腕や太ももの内側につきやすいものです。

一方、おなかが胸の下から突き出るように張っていて、たたくとポンポンと音がするのは内臓脂肪がたまっている証拠です。男性の体脂肪に多いです。

――自分は皮下脂肪タイプで、加齢とともにだらんとしてきたように思います。なぜ女性には皮下脂肪がたくさんつくのでしょうか。

福田医師 女性は、妊娠、出産のためにエネルギーが必要になるので、飢餓に備えて日ごろから脂肪をためておくという体の働きで、男性より皮下脂肪の量が多くなると考えられています。

皮下につくので、量が増える、また、年齢とともに、重力がかかってだらんと垂れるようになります。

――では、このぶよぶよの脂肪は、女性にとっては必要不可欠だということでしょうか。

福田医師 そうです。ただ、食べ過ぎや飲み過ぎが原因で、必要以上におなかや太ももについてくると、「余分な体脂肪」ということになります。

皮下脂肪のもうひとつの特徴は、「たまると燃焼しにくい」ことです。太って段々腹になった体型を「洋ナシ型肥満」と呼びます。下半身が大きくなるからです。こうなると、皮下脂肪はなかなか落ちにくくなります。

「内臓脂肪」からは、悪玉ホルモンが分泌されて危険

――次に、内臓脂肪の特徴を教えてください。

福田医師 おなかの中を断面的に画像化するCT(コンピューター断層撮影法)検査をすると、内臓に脂肪がからみついているのがわかります。これが内臓脂肪で、蓄積して太ると、「りんご型肥満」と呼ぶ体型になります。

この内臓脂肪からは、健康を害する「アディポサイトカイン」という悪玉ホルモンが分泌されています。これが血液をドロドロにして血管の壁を硬くする動脈硬化(どうみゃくこうか)を引き起こし、さらに、血のかたまりの「血栓(けっせん)」をつくりやすくします。

一方、脂肪細胞からは、動脈硬化を予防する「アディポネクチン」という善玉ホルモンも分泌されています。ただし、このホルモンは、内臓脂肪が増えるとどんどん減少していきます。

――内臓脂肪が増え続けた場合、体はどうなるのでしょうか。

福田医師 悪玉ホルモンの影響で、血圧や血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上昇し、動脈硬化が進みやすくなって、高血圧や糖尿病、脂質代謝異常、また、心筋梗塞(こうそく)や狭心症などの心臓病、脳梗塞や脳出血などの脳卒中など、あらゆる生活習慣病の原因となります。重い病気になる可能性がとても高くなるということです。心臓病と脳卒中を合わせると、日本人の死因の3分の1になります。

――生活習慣病の予防のために内臓脂肪を減らす必要があり、それには、福田先生が提唱される「腹やせ」を実践しようということですね。

福田医師 内臓脂肪は、「つきやすくとれやすい」という特徴があります。

「腹やせ」とは、名前のとおり、おなかまわりのサイズをダウンさせることですが、食事をコントロールして運動を続けると、意外にすぐに実現します。内臓脂肪が減ると悪玉ホルモンの分泌量が減り、善玉ホルモンが増えます。

これを継続して、上昇していた血圧や血糖値が正常になると、動脈硬化を引き起こしにくくなります。腹やせは、ホルモンの分泌に直接関係しているわけです。

ちょっとおなかが出てきたな、太鼓腹だなと思ったら早めに、もっともそれ以前に太鼓腹にならないように、日ごろから栄養とカロリーのバランスがよい食事や軽い運動、良質な睡眠を意識した生活習慣を送ることが肝心です。

――メタボや糖尿病が男性に多いと言われるのは、内臓脂肪が関係しているのですね。女性にはどうなのでしょうか。

福田医師 「女性は内臓脂肪が少ないので生活習慣病にならないのか」と言うと、そうではありません。

女性ホルモンの「エストロゲン」は善玉のアディポネクチンを増やして、メタボや糖尿病、動脈硬化の発症を抑えるように働いています。ですから、若い女性は生活習慣病を発症しにくいわけです。

しかし、閉経するとエストロゲンが減少するため、アディポネクチンの分泌量が減り、このころから肥満、メタボ、糖尿病の症状を訴える人は急増します。

皮下脂肪は急なダイエットや腹筋をしても落ちない

――ぶよぶよした皮下脂肪を、少しでも減らすにはどうすればいいでしょうか。

福田医師 お話したように、それぞれの脂肪の特徴から、減量してまず減るのは、内臓脂肪のほうです。皮下脂肪は、内臓脂肪に比べると落ちるのがゆっくりになります。

落ちにくいという性質から、皮下脂肪は、急に激しいダイエットや、腹筋運動だけを繰り返してもすぐに減ることはありません。

皮下脂肪を落とすためのポイントは、食べ過ぎの余分な摂取カロリーを減らし、体全体の減量を焦らずに少しずつ、長く継続することです。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動と、軽いスクワットなどの筋トレを組み合わせた運動を根気よく続けることは有効でしょう。

――根気よく何とかしたいと思います。ありがとうございました。

皮下脂肪は女性に多く、内臓脂肪は男性に多いこと、また生活習慣病の原因となるのは悪玉ホルモンが分泌される内臓脂肪であり、つきやすいけれどとれるのも早い「腹やせ」効果が出やすいということです。

また、皮下脂肪は落ちにくいため、無理をせずに適切な減量をする必要があるのだとか。こういった知識を得ておき、自分の脂肪の状態を確認してメタボを予防したいものです。

取材・文 藤井空/ユンブル

福田先生

取材協力・監修
福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。大阪府内科医会会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』 (ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、わかりやすく面白い講演でも定評がある。
医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック

糖尿病は自分で治す!
↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)

kenkousyoku
↑福田正博医師『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』(アスキー新書)

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