株式会社ウェルヴィーナス

《薬剤師監修》薬剤師に聞く。鼻炎の症状を和らげる 西洋薬と漢方薬の違い、選びかたとは

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花粉症、アレルギー、鼻風邪と、鼻炎に悩む人は後を絶ちません。筆者もそのひとりで、市販薬を求めてドラッグストアであれこれ探すも、ずらっと並ぶ薬を前に、何をどのように選べばいいのか迷います。そこで、大阪府薬剤師会理事で薬剤師の近藤直緒美さんに、鼻炎対策の薬について尋ねてみました。

風邪かアレルギー性鼻炎かを判断して薬を選ぶ

まず、「鼻炎とは鼻の粘膜で起こる炎症のことで、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が現れます」と話す近藤さんは、鼻炎対策の薬の選びかたについて、こう説明します。

「鼻炎が起こる原因を探って、適切な薬を選びましょう。鼻炎とは、鼻風邪のようにウイルスや細菌に感染して起こる『急性鼻炎』、花粉やハウスダストなど体内に侵入した特定のアレルゲンに反応して起こる『アレルギー性鼻炎』、急性鼻炎が長期化した場合や薬の服用、疾患などで慢性的に鼻の粘膜が腫(は)れる『慢性鼻炎』など、原因によって種類があります。

急性鼻炎もアレルギー性鼻炎も、体外から入ってきた異物をくしゃみや鼻水で追い出そうとします。鼻づまりは、鼻の粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなるために生じます。

慢性鼻炎の疑いがあるときは耳鼻咽喉科を受診する必要がありますが、急性鼻炎やアレルギー性鼻炎の場合は、それぞれの症状を緩和する薬が、漢方薬も含めてたくさん市販されています」

風邪とアレルギー性鼻炎では、くしゃみや鼻水の出かたが違う

「薬を選ぶ際は、原因を探ろう」とのことですが、風邪による鼻炎の症状とアレルギー性鼻炎のそれは、どう違うのでしょうか。近藤さんは、次のように説明を続けます。

「アレルギー性鼻炎の場合のくしゃみは、連続して何度も出ますが、風邪では連続しません。

また、見分けやすいのは『鼻水の色や状態』です。風邪の場合は、ひき始めはサラサラな鼻水が、数日経つとネバネバと黄色や緑色を帯びてきます。これは細菌やウイルスと戦った白血球の死がいが含まれているためで、体が外敵と戦っている最中というサインです。一般的には、出始めから1週間程度で治まるでしょう。

アレルギー性鼻炎の場合は、下を向くと垂れるようなサラサラで透明な鼻水が出ます。ハウスダストが原因の場合は一年を通してしばしば起こりますし、花粉が原因のときは毎年決まって飛散の時期に発症します」

漢方では「鼻炎は余分な『水(すい)』がたまっている」と考える

薬局の店頭では漢方薬を目にする機会が増えました。西洋薬とはどのように異なり、どちらを選べばいいのでしょうか。近藤さんはこう話します。

「漢方では、『水(すい)』と呼ぶ体内の血液以外の体液であるリンパ液や汗、涙、尿などが余分にたまっていることが鼻炎の原因と考えます。

漢方薬は、鼻炎の諸症状を止めるのではなく、水分の代謝を促し、体全体の調子を整えて鼻炎の改善に働きかけるように配合されています。また、症状だけでなく、個人の体力や体質、抵抗力などを総合的に判断する『証(しょう)』に基づいて、薬の種類を選びます。

西洋薬は成分に着目し、鼻炎の症状を緩和するよう作用します。西洋薬の服用を続けても改善がみられないときや、症状が強い場合は、漢方薬を服用してみるか、西洋薬と漢方薬を併用する方法をアドバイスしています。2週間ほど服用しても改善しない場合は、医療機関を受信しましょう」

ではここで、「鼻炎対策の漢方薬5つ」を近藤さんに挙げてもらいましょう。

(1)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

症状:せき、くしゃみ、透明でサラサラした鼻水に対して用いる。
体力・証:体力が中程度にあり、胃腸が虚弱ではない。
特徴:鼻炎の諸症状を改善するために用いられる代表的な漢方薬。抗アレルギー作用をもつ「甘草(かんぞう)」、せきやたんを鎮める「半夏(はんげ)」、体を温めるための発汗や発散を促す「麻黄(まおう)」や「桂皮(けいひ)」など8種類の生薬が配合されている。

(2)麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

症状:風邪で体力が落ちている、悪寒や倦怠感が強い、微熱程度、たんや水っぽいサラサラした鼻水が出るときに用いる。
体力・証:体力が低下している、やせ型で疲れやすい、冷え性、胃腸が虚弱ではない。
特徴:体を温めて発汗を促し、せきを鎮めて痛みを和らげる働きをする「麻黄」、「附子」、「細辛」の3種類の生薬からなる。

(3)苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)

症状:せきやたんが出る、くしゃみ、透明でサラサラした鼻水に対して用いる。
体力・証:体力が低下している、やせ型で疲れやすい、冷え性、胃腸が虚弱である。
特徴:せき、たん、鼻水やくしゃみなどのアレルギー症状を鎮める「杏仁(きょうにん)」、「半夏」、「五味子(ごみし)」、「細辛」、水分の循環や排尿を促す「茯苓(ぶくりょう)」など7種類の生薬で構成されている。

(4)葛根湯(かっこんとう)

症状:風邪のひき始めで寒気がある、水っぽい鼻水が出ている、頭痛、首の後ろから背中にかけてこりがある、筋肉痛などがあるときに用いる。
体力・証:体力が中程度ある。虚弱体質ではない。胃腸の調子は悪くない。
特徴: 解熱や抗炎症作用がある主成分の「葛根」、炎症を和らげる「甘草」、発汗作用やせき、痛みを和らげる「麻黄」など7種類の生薬からなる。

(5)葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

症状:鼻づまりが強いときや慢性鼻炎に対して用いる。
体力・証:体力が中程度ある。虚弱体質ではない。胃腸の調子は悪くない。
特徴:「葛根湯」に、鼻のとおりを改善する「辛夷」、強壮、鎮静作用を持つ「川芎」を加えている。

最後に近藤さんは、「風邪のどの症状にも葛根湯を求める人が多いのですが、症状や自分の体力、体質によって選ぶようにしましょう。薬の違いや選び方に迷ったときは、ドラッグストアや最寄りの調剤薬局の薬剤師に気軽に相談してください」と呼び掛けます。

症状から風邪かアレルギー性鼻炎かを考える、西洋薬と漢方薬の特徴を知ったうえで併用し、体全体の調子を整えて鼻炎の諸症状を和らげる方法もある、ということです。薬を選ぶ際の参考になさってください。

取材・文  岩田なつき/ユンブル

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取材協力・監修
近藤直緒美氏。薬剤師。大阪府薬剤師会理事。なのはな薬局本店、真上(まかみ)店、ケアプランセンター(ともに大阪府高槻市)を運営する有限会社スターシップ代表取締役。
なのはな薬局:大阪府高槻市城北町1-4-18

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