《医師監修》ホルモンの乱れ? ダイエット? 臨床内科専門医に聞く、月経不順の原因とは

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月経の周期や期間は人それぞれと言いますが、予定通りではない、周期がばらばら、期間が短い、長い……などの場合、どこか体が悪いのではないかと不安になります。そこで、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に、これらの原因について詳しく聞いてみました。

25~38日周期、3~7日間が正常な月経の範囲

まず、正常な月経と月経不順の違いについて、正木医師は次のように説明します。

「月経の周期は、『前の月経が始まった日から次の月経が始まる前日までの日数』を指します。成人の場合、医学的には、25~38日間のサイクルで変動は6日以内、期間は3~7日(平均4.6日)の範囲が正常とされています。

個人差はありますが、月経が止まった、周期が不規則、周期が早い遅い、期間が短い長い、また、経血量が極端に少ない多い場合を、『月経不順』と言います」

その原因について、「月経は、女性の心と体の健康を映し出すバロメーターです」と話す正木医師は、こう話を続けます。

「月経は、脳からの指令を受けた卵巣が分泌する、卵胞ホルモンの『エストロゲン』と黄体ホルモンの『プロゲステロン』という、2種類の女性ホルモンの働きによってコントロールされています。

月経不順の主な原因は精神的、肉体的なストレスです。卵巣はストレスの影響を受けやすい臓器で、ホルモンの分泌に影響を与え、不順が起こりやすくなります」

ストレスや無理なダイエット、過労、環境の変化が原因

具体的な要因について、正木医師は次の7つを挙げます。

(1)精神的なストレス

卵巣の働きが低下し、排卵のリズムやホルモンの分泌のリズムに乱れが生じます。すると、周期や期間が不規則になります。

(2)無理なダイエット

体が飢餓状態と判断し、エストロゲンの分泌量を減少させるので、月経不順につながります。また、単品ダイエットや食事制限ダイエットなどで栄養が不足すると、ホルモンの合成ができずに月経が止まることがあります。

(3)過労や過度な運動

過度な活動や、それによる極端な体重の減少が、体の負担となってエストロゲンの分泌量が減少するために、排卵が止まることがあります。

(4)不規則な食事や睡眠

健康に生きるためには、充足した食事と睡眠は不可欠です。生活習慣のリズムが乱れていると、月経を含めた体調全般が不調になります。

(5)環境の変化

ホルモンの分泌量のバランスが崩れやすく、月経の周期や期間が乱れがちになります。

(6)体質

初潮以降、月経の不順が目立つ場合は、排卵しにくい体質の可能性があります。

(7)卵巣や子宮、甲状腺などの病気

「多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群」などの卵巣の病気の場合は、排卵しにくくなります。
 
出血量が増える、経血にレバー状のかたまりが混じる、月経痛が重いなどの症状が気になる場合は、「卵巣機能不全」、「子宮筋腫(きんしゅ)」や「子宮内膜症」、「子宮がん」などの病気の可能性があります。

また、のどにある甲状腺で作られる「甲状腺ホルモン」の分泌に異常がある場合は、その分泌量が過剰でも不足していても卵巣の働きを妨げます。ほかに、「糖尿病」が月経不順の原因となることもあります。

基礎体温を測って、体内の変化をチェックする

月経リズムが乱れたとき、不調が続くときは、どうすればいいのでしょうか。正木医師は、次のように対処法を伝えます。

「先述の(1)~(4)の項目に思いあたれば、それを取り除くようにしましょう。ストレスのもとを見つめて改善する、できるだけ規則正しい睡眠や食事の習慣を実践することが重要です。

また、原因が多様であることからも分かるように、周期が乱れることは珍しいことではありません。ストレスのケアと生活習慣を改善しながら2~6カ月ほど様子を見て、その後、自然と正常な月経リズムに戻れば心配はないでしょう。不安が過度になると、かえってストレスが増し、悪化しかねません。

ただし、それ以上に月経不順が続く、痛みや不調で生活に支障が出るほどつらい場合は、婦人科やかかりつけ医に相談しましょう。月経困難症である、ホルモンの分泌量が低下している、ホルモンバランスが乱れている状態で放っておくと、妊娠しにくくなる、閉経が早まる可能性もあります。

病院では、問診や診察、血液検査、エコー検査などで原因を探り、症状に応じてホルモン剤の投与などをします。

また、日ごろから、基礎体温を測って記録をしましょう。低温期と高温期の2層に分かれている場合は、正常な状態と言えます。基礎体温を測っていると、排卵の有無、排卵日、月経の時期、妊娠など、体内で起こっている変化を知る手掛かりになります」

精神面、ダイエット、過労、環境などのストレスが月経リズムに影響を与えるということですが、思い当たることはありませんか。月経の不調は心身の状態を反映するようです。基礎体温を測って自分の体の状態を知っておくと、ちょっとしたときに体調の変化に気づきやすいでしょう。月経リズムの把握は、自分の健康管理につながると言えそうです。

取材・文  岩田なつき/ユンブル

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取材協力・監修
正木初美氏。日本臨床内科医会専門医、大阪府内科医会理事、日本内科学会認定医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、正木クリニック院長。内科、リハビリテーション科とともに、漢方治療、更年期外来、禁煙外来を行っている。
正木クリニック:大阪府大阪市生野区桃谷2-18-9
http://masaki-clinic.net/wp/

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