≪医師監修≫ 心療内科医が教える。不安や憂うつで眠れないときの8つのケア法

nozaki201705

悩みや落ち込むことが続き、不安と憂うつ感でいっぱいのとき、眠れない夜が続くことはありませんか。寝ようとするほどに目が覚める……そんな場合に、少しでも自分で不眠を改善する方法がないかについて、心身医学専門医で心療内科医・野崎クリニック(大阪府豊中市)の野崎京子院長にお話を伺いました。

寝つけない、夜中や早朝に目が覚める、熟睡できない

まず、近ごろよく耳にする「睡眠障害」の医学的な症状について、野崎医師は、「睡眠障害とは、眠れないときのタイミングと症状によって大きく4つに分けてとらえます」と、次のように説明します。

  • 入眠障害……寝床に入って30分以上寝つけない。
  • 中途覚醒……眠りについてから2時間や3時間ぐらいでぱっと目が覚め、その後なかなか寝付けない。
  • 早朝覚醒……朝の3時や4時に目が覚めて、その後なかなか寝付けない。
  • 熟眠障害……眠りが浅く、熟睡した感じが得られない。

「このすべてにあたると言う人も多いです。年齢とともに症状が重くなる、また症状を訴える人が増える傾向にあるので、早めに対処するにこしたことはありません」と野崎医師。

悩みごとや不安を抱えているとき、また、緊張する場面やイベントを控えているときなど、誰しもいずれかの経験があると思いますが、野崎医師は診断の基準について、こう説明を続けます。

「2~3日で回復したとか、なにか緊張するイベントが終わったら治ったという一時的な症状であれば心配することはありません。

ですが、出来事とは関係なくこれらの症状が週に2回以上あって1カ月以上続いているとき、また、不眠が原因で生活に支障が出る場合、例えば、昼間に眠気が強くて仕事にならない、運転の仕事をしている、体調も悪い、憂うつが続くなどであれば、睡眠障害という病気ととらえ、早めにかかりつけの内科や、心療内科、精神科を受診してください」

医学的に効果が確かめられている8つの睡眠セルフケア法

ではここで、「医学的に効果が立証されている、少しでも良質な睡眠をとるために自分でできること」について、野崎医師に教えてもらいましょう。

(1)原因を探る

医療機関でも医師が問診しますが、多くの場合、眠れないきっかけがあったはずです。不安や憂うつ、緊張で眠れない場合は、それがどのような出来事によるのかをうやむやにせずに、まずは自覚しましょう。そして、少しでもその原因を取り除くように努めましょう。

もしいますぐには無理、他人がからむので難しいと思う場合でも、その不安に対する考え方を変える、勇気を出して行動する方法はあるはずです。小さな一歩でも、アクションを起こすことで不安が和らぐことが大いにあります。

誰か冷静な第三者に相談する、家族や友人知人では適任者がいなければ、医師やカウンセラーに話すことで解決することもあるでしょう。うつ病が考えられる場合は、治療にあたりましょう。

(2)同じ不安感を持つ人と話をする

原因を自覚したら、「同じ思いを持つ人は必ずどこかにいる」と考え、同じ思いの人と話をする、情報交換をするなどしてみましょう。心療内科や精神科で相談すれば、しかるべき相談機関を紹介してくれる場合もあるでしょう。

(3)毎日同じ時刻に起床する

寝つけなかった、眠りが浅かったからといって昼までだらだら寝ていると、その夜にまた眠りにくい悪循環に陥ります。何時に寝たとしても同じ時刻に起きて、生活リズムを整えましょう。寝る時間も毎日同じであるに越したことはありませんが、なかなかそうもいかないでしょうから、無理をしなくて大丈夫です。

(4)日中は、ウォーキングなど軽い運動をする

できるだけ太陽にあたって(紫外線予防は必須)、軽く汗ばむ程度の運動を1日に30分~2時間ぐらいを続けましょう。昼間の軽い運動は、夜になると睡眠を促すことが分かっています。

(5)寝酒、タバコ、カフェインはやめる

これらは成分の刺激物によって脳が興奮し、睡眠障害を引き起こすことが分かっています。どうしてもやめられない場合は、最低、寝る3時間前にはこれらを口にしないようにしましょう。

(6)寝る前1~2時間はリラックスをする

照明をオレンジ色の間接照明に変え、ゆったりした気分でクラシック音楽を聴く、心が穏やかになるような読書をするなどして過ごしましょう。ホラーやミステリー系など、刺激が強い映画やテレビ番組を観ること、また、スマホやタブレット、パソコン、テレビなどモニターの強い光を見ることは避けてください。これらは脳に興奮や緊張をもたらし、寝つきが悪くなる、また中途覚醒の原因になります。

(7)入眠儀式を実践する

軽いストレッチをする、クラシック音楽を聴く、歯や顔を洗う、トイレに行くなど、「寝る前の単純な作業を習慣にする」と、脳に「眠りに入りましょう」と働きかけることができます。これは私も実践していますが、意外に効果があります。

(8)睡眠日誌をつける

「眠る前の日中の状態」、「入眠までのおおよその時間」、「途中で目覚めた回数」、「目覚めの質」、「睡眠時間」、「睡眠の満足度」のほか、「寝る3時間前に飲酒やタバコ、コーヒーなどカフェインを摂取したか」、「どう過ごしたか」などを、まずは2週間~1カ月ほど記録します。自分の状態が分かり、原因が見えてくることがあります。また、医療機関を受診する場合に持参すると、治療の役に立つでしょう。

最後に野崎医師は、「なお、高齢者では環境の変化(退職、死別など)、こころやからだの病気、その治療薬の副作用などによって、さまざまな睡眠障害にかかりやすくなります。この場合は原因に合わせた対処や治療が必要です。睡眠について悩んでいる親や祖父母ら家族の様子にも注意をしましょう」とアドバイスを加えます。

不安や憂うつ、ストレスをなくすように原因を探ってアクションを起こすことが最重要とのことです。また、運動をする、寝酒をしない、就寝前に毎日の儀式を行うなどは、すぐに実践できることばかりです。夜にリラックスタイムが持てるよう、昼間に行動しておきたいものです。

取材・文 阪川夕輝/ユンブル


nozaki_201705
nozaki_201705_02
↑野崎京子医師の著書『心療内科女医が教える 人に言えない不安やストレスと向き合う方法』(マガジンハウス)

取材協力・監修
野崎京子氏。心身医学・ペインクリニック・麻酔科専門医。京都大学医学部卒。国立京都病院、大阪赤十字病院、住友病院などを経て、現在、心療内科・ペインクリニックの野崎クリニック院長。著書に『心療内科女医が教える 人に言えない不安やストレスと向き合う方法』(マガジンハウス)。
野崎クリニック:大阪府豊中市新千里南町2-6-12
http://www.myclinic.ne.jp/nozaki/pc/

nozaki201705

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

おすすめコラム