≪医師監修≫ 臨床内科専門医が教える。むくみがつらいときの原因と対処法

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仕事や遠距離の交通移動などで立ちっぱなし、座りっぱなしのとき、足や手のむくみが目立つことはありませんか。とくに夕方から夜になると靴下のあとが足にくっきりと残ることがあります。臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美医師は、「むくみの原因は、長時間同じ姿勢をとることのほか、生活習慣や体質など多くのことが考えられます」と話します。詳しく聞いてみました。

筋力不足、塩分のとり過ぎ、運動不足、睡眠不足ではないか

――何もしていないのに、どうして夕方になると体がむくんでくるのでしょうか。

正木医師 血液の循環の過程で、水分が毛細血管から細胞と細胞の間の間質(かんしつ)と呼ぶ部分にしみ出すようになります。しみ出た水分は通常、静脈に再吸収される、またリンパが流すなどしますが、血流やリンパの流れが滞るとそのしくみが働きにくくなってむくみにつながります。

夕方には、デスクワークが長い、歩きっぱなしだったなどで重力が下半身にかかる時間が長くなります。すると、血液が心臓に戻ろうとする力が弱くなってむくんできます。むくみは、同じ姿勢をとっている時間が長いとひどくなるわけです。

――むくみやすい人、またむくみやすい日があります。そうでない場合とではどう違うのでしょうか。

正木医師 同じ姿勢をとり続けている複数の人が同じようにむくむわけではありません。むくみやすい人は、心臓に血液を戻すふくらはぎの筋肉の力が弱いとも考えられます。

また、塩分をとり過ぎていないか、運動不足になっていないか、睡眠不足ではないか、疲れていないかを見直してください。体力が弱っていると代謝が悪くなって血流やリンパの流れが滞りやすくなります。さらに、太っている人や高血圧の人、高齢者も同じ理由でむくみやすいと言えます。

「いつもはむくまないのに今日はむくみがひどいなあ」と思ったときは、これらを自問自答してみてください。

足を壁に立てかける、歩く、けんこう骨を動かす、足湯、足枕を

――自分でケアする方法があれば教えてください。

正木医師 立ちっぱなしや座りっぱなしといった同じ姿勢を長くとらないようにします。姿勢を変える、可能であれば寝転がって足を5~10分ほど壁などに立てかけるといいのですが、仕事中で無理な場合は、足首を回すつま先立ちとかかと立ちを交互にする、トイレ休憩のときに血流を促すためのストレッチをする、通勤時に一駅分多く歩くなど、日ごろからこまめに軽い運動をしましょう。

また、けんこう骨の周りも意識して動かしてください。骨や筋肉の動きが少ないと心臓近くの血流やリンパの流れが滞りがちになるからです。肩をぐるぐる回す首をそっと左右に動かす回すなどしましょう。

バスタイムの前に、足湯を2~5分ほどするのも血流が促されるので有用です。寝るときには、高さ5~15センチメートルぐらいの足枕に足を乗せておくのもいいでしょう。

――むくみがひどい場合、薬で治すことはできるのでしょうか。

正木医師 むくみの多くはひと晩寝ると改善すると思われますが、十分な睡眠をとった起床時でもむくんでいる、足が痛くて立っていられないなど、生活に支障をきたす状態が続く場合はまずは内科を受診してください。

むくみは医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼び、脚のむくみは「下腿(かたい)浮腫」と言います。

むくみ以外に、例えば、動悸(どうき)や息切れがある、急に体重が増えた、尿の量が減ったなどの症状があれば何らかの病気の可能性があるため、検査をして原因を探ります。脚の静脈がふくらんでこぶのように見える下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)、また、心臓、腎臓、肝臓の機能低下、がんなどさまざまな病気が隠れていることがあります。

病気ではなくて一時的なむくみでも、しつこくつらい場合は、症状や体質によって漢方薬を処方することがあります。疲れやすくて筋肉にしまりがなく太っているタイプの人には「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」、おなかをつまむと皮下脂肪が目立ち、便秘がち、血圧が高めの人には「防風痛聖散(ぼうふうつうしょうさん)」、頭痛、めまい、二日酔い、下痢がともなう人には「五苓散(ごれいさん)」などが考えられます。

――むくみ改善用のハイソックスなどが多様に市販されていますが、効果はありそうでしょうか。

正木医師 医療用の圧が強い弾性ソックスを着用することが有用な場合もあります。市販品について患者さんからは、「口ゴムで締め付けられてかえってむくむ感じがする」とよく耳にします。違和感があればすぐに着用を中止して、医師に相談してください。

――ありがとうございました。

同じ姿勢をとらない、ストレッチをする、足を上げる、足と肩まわりの血流を意識して軽い運動をする、足湯や足枕を試す、また、ひどい場合は医師に相談して漢方薬や弾性ソックスを用いるという選択肢もあるということが分かりました。日ごろの習慣こそが改善のポイントだということを覚えておき、一つずつ実践したいものです。

取材・文 海野愛子/ユンブル

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取材協力・監修
正木初美氏。日本臨床内科医会専門医、大阪府内科医会理事、日本内科学会認定医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、正木クリニック院長。内科、リハビリテーション科とともに、更年期外来、禁煙外来、漢方治療を行っている。
正木クリニック:大阪府大阪市生野区桃谷2-18-9
http://www.masaki-clinic.info/

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