《管理栄養士監修》管理栄養士が教える。疲労回復のために毎日食べたい「栄養素」と「食材」と「総菜」

Balanced diet, cooking and organic food concept on rustic wooden table. Top view

疲れを感じたとき、スタミナをつけようと焼肉やうなぎなど油の多い料理を食べることがありますが、それは疲労回復食と言えるのでしょうか。管理栄養士として食事指導を行う西山和子さんは、「疲労回復につながる栄養素をバランス良くとらなければ、効果的ではありません」と言います。詳しいお話を聞きました。

偏食、野菜嫌い、甘いもの好きは疲労体質になる

西山さんはまず、「次のような食生活は疲労を募らせるだけ」と、具体例を挙げて警鐘を鳴らします。

(1)栄養バランスを考えずに、好きなものだけをダラダラ食べる

揚げ物やスイーツなど自分の好物ばかりを食べ続けると栄養のバランスが偏って、代謝がうまくいかず疲れやすくなります。また、代謝の悪い状態が続くと、疲労が増します。皮ふ、髪の状態などに不調が表れ、カロリー摂取量が過剰になるとメタボリック・シンドローム、糖尿病、心臓や脳の病気などの生活習慣病につながることがあります。

(2)野菜や果物をまったく食べない

健康的な体を維持するうえで欠かせないビタミンやミネラルが不足します。これらは摂取した食べ物をエネルギーに変えるなど代謝に必要です。また、食物繊維が不足がちになるため、便秘になりやすいでしょう。

(3)鉄分の不足

鉄分は、血液中の赤血球のヘモグロビンの成分です。ヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割があり、不足すると貧血、動悸(どうき)、息切れにつながり、「疲れる、だるい」といった不調の原因になります。

(4)ジュースやアイスクリームなど甘いものをよく飲食する

甘いものをたくさん飲食すると、血液中のブドウ糖の濃度である「血糖値」が一時的に高くなり過ぎることがあります。すると、眠気や倦怠感を覚えて体がだるくなります。 

タンパク質、イミダペプチド、ビタミン、鉄、クエン酸をとる

では次に、疲労を回復する栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか。西山さんはこう説明します。

「栄養素には、過剰に摂取しても不足しても体によくないものがあります。次に挙げる栄養素はどれも疲労回復に作用しますが、『1日にとる適量』『1日に食べたい目安』とともに紹介しますので、大まかにでも注目して食材を選んでください。分量は成人用です」

タンパク質‥‥‥男性50~60g、女性40~50g が目安

タンパク質を多く含む食材で食べたい目安‥‥‥卵1個、大豆製品(豆腐なら100g)、肉類(豚肉なら50~60g)、魚(鮭なら80~100g)、乳製品1カップなど

イミダペプチド‥‥‥200㎎が目安

イミダペプチドを多く含む食材‥‥‥鶏むね肉100g、豚ロース130g、カツオ150gなど

ビタミンB1‥‥‥男性約1.5㎎、女性約1㎎が目安

ビタミンB1を多く含む食材‥‥‥うなぎの蒲焼き4~5切れ(100g)で0.75mg、豚ヒレ肉70gで0.69mg、玄米ごはん1膳(120g)で0.19mgなど

ビタミンB12‥‥‥男女ともに約2.5㎍ (マイクログラム。1マイクログラムは100万分の1グラム)が目安

ビタミンB12を多く含む食材‥‥‥豚レバー70gで17.6㎍、あさり30gで15.7㎍、牛乳コップ1杯で0.6㎍、チーズ20gで0.6㎍など

‥‥‥男性7.5mg、女性6.5mg(月経中は10.5mg)が適量

鉄分を多く含む食材‥‥‥あさり缶詰水煮25gで7.4mg、小松菜100gで2.8mg、ホウレン草100gで2.0mgなど

鶏むね肉焼きやレバニラ炒め、豚のしょうが焼き

さらに西山さんに、これらの栄養素が含まれていて、デパ地下やスーパー、コンビニで買える総菜を教えてもらいましょう。

「ご紹介した栄養素をまんべんなくとることができて、イダペプチドを含む鶏むね肉のサラダや、ビタミンを多く含む緑黄色野菜のサラダが良いでしょう。

メインの料理にはレバニラ炒めが最適です。レバーにはビタミンB1が豊富で、ニラの成分はビタミンB1の吸収率を高めます。また、あさりの味噌汁を献立に入れると疲労回復メニューになります。

弁当を選ぶ場合は、これらの栄養素が複数含まれる鶏むね肉焼きやレバニラ炒め、豚のしょうが焼き魚や貝類がおかずの弁当を選びましょう」

水分補給は水かお茶、胃腸にやさしい食事を中心に

最後に西山さんは、疲れをとる食生活のポイントについて、こうアドバイスを加えます。

「疲労と血液の循環は大きく関係しています。疲労回復に必要な栄養や酸素を全身の細胞に運ぶ血流を改善するため、水分補給を心がけてください。水かお茶をこまめに、1日では1.5~2リットルを目安に飲みましょう。

また、胃腸が弱っていると、油ものや食物繊維が多い食品、辛味など刺激の強い食品は負担が大きくなります。おかゆや味噌汁といった消化によい食事をとるように意識をしましょう」

確かに筆者は、焼肉やうなぎを食べると胃もたれがして、スタミナをつけるどころか体調不良で元気が出ないということがあります。これからは疲労をまねく食生活を改め、とりたい栄養素とその分量の目安、具体的な食材をざっくり把握しておき、水分補給を怠らず、消化がよいものをとることを日々の食事で実践したいものです。

取材・文 小山田淳一郎/ユンブル

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西山和子氏。糖尿病専門・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)にて管理栄養士、糖尿病療養指導士。糖尿病、生活習慣病、メタボリックシンドロームの患者さんを対象に、パーソナルな食事指導にあたる。『専門医が考えた 糖尿病に効く「腹やせ」レシピ』(福田正博 洋泉社)の監修担当。また、食生活に関する記事の執筆、監修多数。

医療法人弘正会 ふくだ内科クリニック

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