森林セラピーの第一人者に聞いた! 森林浴の効果<前編>

夏こそ森林浴。森林浴の効果

森や林で緑に包まれながらストレスを解消する“森林浴”。心身ともに癒されそうなイメージですが、その効果は医学的にも立証されているそう。

どのような成分が、私たちの体にどんな癒しをもたらしてくれるのか? 森林セラピーの第一人者で森林総合研究所森林管理研究領域の香川隆英さんに伺いました。

そもそも“森林浴”って何?

夏こそ森林浴。森林浴の効果国内外で森林浴の効果を発信している香川隆英さん

――森林浴が体によいことはなんとなくわかるのですが、具体的には知らない部分も多いです。改めて、“森林浴”について詳しく教えてください。

「医学的な言葉で“代替医療”ともいわれる自然療法のひとつです。西洋医学は病気を治療することを目的にしているのに対し、“森林浴”は東洋医学的予防医学ともいえます。私たちがおこなった実験により、“森林浴”が科学的にも医学的にもストレスフルな心と体によい効果をもたらすことがわかりました。免疫力を高め、病気になりにくい体に整えることが森林浴の目的です」

いまや世界の“SHINRIN-YOKU”! 森林浴の歴史に迫る

――東洋的代替医療である“森林浴”は、いつどこで生まれ、どのように発展したのですか?

「長野県上松町に樹齢200~300年ほどのヒノキが林立する森があります。そこで林野庁が1982年にイベントを開催したときに、初めて“森林浴”という言葉が生まれました。“海水浴の森版”という意味で、森の中でストレスを発散させる成分を浴びることが目的です。イベントをきっかけに“森林浴”が広がり、その後樹木から発せられる成分が人間の体に効果的だと立証され“森林セラピー”として確立したのが2004年で、現在に至ります」

――海外ではいつから“森林浴”という考え方が定着していったのですか?

「森林浴はドイツやアメリカなど欧米諸国から始まった自然療法だと思われがちですが、実は日本発祥です。私たちが森林浴について論文を書く際、以前は『forest bathing(フォレスト ベイシング)』と表記していました。しかし、あるとき海外の学会から『shinrin‐yoku(シンリンヨク)』と表記してOKといわれたのです。欧米の研究者たちも『shinrin‐yoku』と書くようになり、世界的に“森林浴”が広まりつつあります」

“森林浴”が日本発祥で、日本で発展したとは驚きでした! なんだか誇らしい気分になりますね。

8割の人がストレス軽減! 驚きの森林浴効果とは!?

――日本から世界的に広がった“森林浴”の効果について教えてください。

「2003~2004年にかけて森林で実験を行ったところ、森林浴によるリラックス効果を確認できました。樹木から発せられる“リモネン”や“α-ピネン”といったテルペン類と呼ばれる香りをかぐことや森の景色を見ること、小川のせせらぎや鳥のさえずりなどの音にも同様の効果がありました。

同時に、実験では8割の人から副交感神経の活性が高くなるという結果も出ました。“森林浴”は嗅覚・視覚・聴覚など五感が刺激を受け、総合的にリラックスできるのです。

もう一つは、コルチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリンといったストレスホルモンの軽減効果です。3日間の実験ではアドレナリンの数値が1/3まで下がりました。アドレナリンの数値が高くなるのはケンカしたり怒ったりしているとき。そのままだと疲れますし心身ともによくありません。その数値が下がったということはストレスが軽減されたということになります」

――20~40代の女性にうれしい効果もありますか?

「実際に森林セラピーを体験している方の8割が女性だそうで、それだけ女性にとってうれしい効果があるのでしょう。実験では森林浴によって、DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロンサルフェート)というアンチエイジングホルモンの数値が高くなるという結果が出ました。森林浴を行うことで、若さと美しさを保つ効果が期待できます」

実験では同じ対象者に都市と森林でのさまざまな指標を比較したところ、歴然とした違いが出たそうです! 森林浴はアンチエイジングにストレス軽減、リラックス、そして免疫力を高めるのに大きな影響を与えてくれるんですね。

後編では森林浴の楽しみ方や、気軽に行う方法について香川さんに教えていただきました。森林浴は意外と身近でも楽しめるようなのでお楽しみに!

(取材・文/小野喜子)

【取材協力】
森林セラピーソサエティ
http://www.fo-society.jp/

夏こそ森林浴。森林浴の効果

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