野菜や果物をブーケなどにしてアートとして楽しむ「ベジフルフラワー」。前編では、ベジフルフラワーの魅力や適した野菜などについて、ベジフルフラワーアーティストプロフェッサーの李美栄さんにお話をうかがいました。後編では手軽に作れる野菜ブーケの作り方を教えていただきます。
約10分で完成!? 野菜ブーケの作り方
今回使用する野菜は、ロメインレタス、ナス(ヘビナス)、ニンジン、ミョウガ、カブ、レモン、すだち、グリーンレタスの全8種類
今回は秋の野菜を使った「カラフル秋野菜」がテーマ。ヘビナスやニンジン、グリーンレタスなど、彩り豊かな8種類の野菜を使用します。そのほか、野菜を固定するために、竹串や花瓶のような細長い器なども用意。
【1】竹串などで下処理をする
まずは、ミョウガなど高さや長さのない野菜に竹串を刺していきます。そのまま調理ができるよう、針金などではなく、人の口に入れても害のない自然素材の道具を使用します。
「ブーケを作り始めてしまうと、手が野菜でふさがってしまい、ほかの作業ができません。最初に下処理をしておくことで効率良く進められます。野菜は触れば触るほど痛むので、素早く短時間で仕上げることが大切です。慣れると完成までに10分もかからないと思いますよ」
【2】細長いものを軸に、野菜をまとめる
下処理が終わったら、ようやく作業スタート。ブーケの軸となる細長い野菜を中心に、複数の野菜をまとめ、手早く葉物で包んでいきます。
「小さな野菜だけだとブーケの軸になるものがなくて、完成した後にぐらついてしまいます。まずはニンジンやキュウリなど縦長のもので軸を作りましょう。野菜はまったく同じものがないので、特徴的な形や大きさなども生かして組み合わせてみてください。ベジフルフラワーでは、普段はB級品として扱われる曲がったキュウリでも、表現の一つとして生かせるのが魅力ですね」
「葉物は滑り止めにもなるんです。野菜と野菜の間の空間を埋めてくれるんですよ」
野菜がまとまったら、下部をハサミでカットし、高さをそろえます。
【3】野菜の色に合わせてラッピング
長さを整えたら、野菜の上部が外に出るようにビニールで束ね、ラッピングの工程へ。
「これは鮮度保持ビニールといって、野菜をまとめる役割のほかに、野菜の持ちを良くしてくれる効果があるんです」
「ビニールを巻いたら、ラッピングしていきます。ラッピングペーパーとリボンの組み合わせ次第でイメージががらりと変わります。今回はヘビナスとグリーンレタスに合わせ、ピンクとグリーンを使ってみました」
【4】竹串に刺した野菜を飾り付ける
束ねた野菜を器に立て、【1】で用意した竹串に刺した野菜を、すき間に差し込んでいきます。
バランスを考慮し、すべての野菜を配置し終えたら、ようやく完成です。
プレゼントの新定番になってほしい
でき上がったブーケを持ってみると、ずっしりとした重みにびっくり。また、畑から採ってきたばかりのような、新鮮な野菜の香りも印象的でした。
「ベジフルフラワーでは、同じ作品は二度と作れません。野菜の形、色、状態、組み合わせなどは、その時によって大きく異なります。その“一瞬の美しさ”も、お花に負けない魅力ですね」
花とは違う、野菜の重みに加え、野菜を用意してくれた人の想いもぎゅっと凝縮されているように感じました。
「日本には母の日や敬老の日、クリスマス、バレンタインなど、年間を通してプレゼントを贈り合う行事があります。そんなさまざまなシーンで、花束だけではなく、野菜ブーケを当たり前に贈る時代が来ればいいなと思っています」
ベジフルフラワーは、身近な野菜や果物を用意するだけで気軽にチャレンジできます。大切な人の誕生日や記念日などに、旬の味覚たっぷりの野菜ブーケを贈ってみてはいかがでしょうか。
(取材・文/五十嵐綾子)
【取材協力】
日本野菜ソムリエ協会
http://www.vege-fru.com/

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