株式会社ウェルヴィーナス

《医師監修》固太り? ストレス太り? 水太り? 漢方専門医に聞く、太りすぎの原因を漢方医学でチェック ――後編

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前編では、肥満は血液ドロドロをまねいて糖尿病、脳卒中、心筋梗塞(こうそく)などの重い病気の原因となること、および、「固太り」の特徴と対策を臨床内科専門医で消化器内視鏡専門医、また漢方専門医で吉田クリニック(大阪府八尾市)の吉田裕彦院長に具体的に教えてもらいました。

吉田医師は、「前編でお話ししたように、『固太り』は中年以降の男性に多いのですが、女性に多いのが、『水太り』『冷え太り』と呼ばれるタイプです。また、『ストレス太り』は若い世代から高齢者までの男女と広い層に見られます」と話します。ではそれぞれのタイプの順に、原因、証、特徴、伴う症状、セルフケア法、向いている漢方薬について教えてもらいましょう。

水太りは、「水(すい)」が滞っている

<水太り……ぽっちゃり、おなかや二の腕の脂肪がつまめる>

原因: 体内の水分の代謝や排出がうまく行かず、余分な水分を溜めていると考えられます。漢方医学では、前編で説明した「気・血(けつ)・水(すい)」のうち、「水(すい)」が滞っていると解釈します。食事の偏りや運動不足、加齢などで筋肉の量が低下していることも関係します。

証:体力があまりない、虚弱で色が白い、冷えや疲れがある「虚証」で、ぽっちゃりして見える女性に多い。

特徴:筋肉にしまりがなく、おなかや二の腕、ふとももの脂肪が指でつまめてぷよぷよとしています。胃腸が弱く、軟便、下痢気味で、食べすぎではないのに消化吸収がよくなくて太りやすい。ダイエットをしても成果が出ないことも多いでしょう。

水分が関節や組織に溜まりやすく、季節では梅雨、1日のうちでは夕方になると、むくみが気になる、ひざやひじなどの関節、腰が痛む人がいます。

じっとりと汗をかきやすいことも特徴の1つですが、これは代謝による反応ではなく、冷や汗や虚弱の体温調整のための汗だと考えられます。そう快感はなく、だるさも感じるでしょう。

伴う症状:むくみ、関節痛、頭痛、食欲不振、汗の量が多いなど。

セルフケア法:毎日20分~1時間程度のウォーキングと、スクワットなどの筋トレやストレッチを継続して筋肉量を増やしましょう。また、豆製品や魚、肉を食べてタンパク質をとってください。ジュースやお酒、塩分のとりすぎは水分を滞らせるため、できるだけ避けましょう。

向いている漢方薬:「水(すい)」の代謝を促す原動力の「気」を補い、胃腸の活動を整えて消化吸収力や代謝をアップ、脂肪を分解燃焼する「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」。

冷え太りは、「血(けつ)」や「気」の流れが滞っている

<冷え太り……一年中手足が冷たい。むくみがある>

原因:「血(けつ)」のめぐりが弱い、あるいは悪くて血流不足であること、また、「気」の流れが滞っていると考えられます。代謝や消化吸収、脂肪を分解する力が低下しています。

証:体力は虚弱で、疲れやすい、顔色が悪く、貧血の傾向がある「虚証」。

特徴: いつも手足が冷えて辛く、肩こりや頭痛があり、全身に倦怠感がある。女性に多く、月経困難、トイレが近い、肌荒れが気になることもあるでしょう。

伴う症状:冷え症、貧血、めまい、立ちくらみ、むくみ、頭重感、肩こり、月経困難、更年期の不調など。

セルフケア法:毎日20分~1時間程度のウォーキングを継続して代謝アップをはかります。体温を上げることを意識し、起床時や寝る前に足湯、手湯で温浴をする、また、体を冷やさない食材を選び、栄養のバランスが整った食事を心がけましょう。

向いている漢方薬:「血(けつ)」のめぐりを促し、体を温めて代謝をアップする「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」。

ストレス太りは、「気」が滞り、食べて精神を安定させようと食欲を促す

<ストレス太り……食欲が止まらない。甘いものが食べたくて仕方がない>

原因:ストレスがあってイライラすると、脳では興奮のホルモンが分泌されます。過剰になると脳疲労を起こし、食べ物を得て精神を安定させようと食欲を促すようにも作用します。すると食欲が止まらず、甘いものを見るとストップできずに食べ続けて、カロリー過多な状態が続くようになります。漢方で言う「気」、つまり活動の源であるエネルギーが滞っているととらえます。

また、イライラしているときは自律神経の1つの交感神経が優位になっていますが、これは消化吸収を抑制するように働きます。すると脂肪が分解されにくく、便秘気味になって体重が増加します。

証:体力があって、下半身太り、筋肉質でおなかに脂肪が溜まっている、便秘気味の「実証」、また体力がなくてやせ気味、冷え症、顔色が悪くて便秘と下痢をくり返す「虚証」の両方ともが考えられます。

特徴: 「実証」でも「虚証」でも、ストレスが原因の不眠、イライラ、不安や憂うつ感があります。

伴う症状:胃炎、便秘、下痢、頭痛、肩こり、神経症、精神不安など。

セルフケア法:睡眠時間を6~8時間はキープし、質も高めるように努めましょう。また、日中に毎日20分~1時間程度のウォーキングを継続して代謝アップをはかります。だらだらと食べ続けることをせずに、1日3回、栄養バランスが整った食事を規則正しい時間にとりましょう。

向いている漢方薬:エネルギーの流れを改善し、胃の働きと便秘をケアして脂肪を分解する薬を選びます。

「実証」で、みぞおちや脇腹が苦しく便秘がある場合は「大柴胡湯(だいさいことう)」。

「実証」で、神経過敏、精神不安、不眠、動悸(どうき)、便秘、更年期の場合は「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」。

「虚証」で、疲れやすくてイライラする、不眠症、月経困難、冷えとのぼせがある、更年期の場合は「加味逍遙散(かみしょうようさん)」。

吉田医師は、これらのタイプを見極めるにあたり、
「自分のタイプを見つめるポイントは、いまの体質と、太りすぎにまつわるつらい症状を考え合わせることです。便秘、胃が痛い、冷えがある……など、複数の不調が挙がるでしょう。ストレス太りと水太りの2つのタイプにあてはまることもあります。漢方薬を選ぶ際に迷う場合は、かかりつけ医や薬局薬店の薬剤師に相談しましょう」とアドバイスをします。

「こういった太り方のタイプを自覚してケアすることは、生活習慣病の予防に直結する」と吉田医師。
これを機会に不調の原因や特徴を知っておき、適切なセルフケアを開始したいものです。

取材・文 藤井空/ユンブル

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取材協力・監修
吉田裕彦氏。 臨床内科専門医。消化器内視鏡専門医。漢方専門医。糖尿病療養指導医。大阪府内科医会理事。八尾市医師会副会長。医療法人朋侑(ほうゆう)会・吉田クリニック院長。

医療法人朋侑会・吉田クリニック:大阪府八尾市山本高安町2-1-3

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