≪医師監修≫ 糖尿病専門医が教える。ウォーキングで体脂肪の代謝効率がいい時間帯とは!?

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減量を目的とした生活習慣の見直しでは、毎日20分~1時間程度のウォーキングなどの軽い運動が欠かせないと言います。ではそれらを実践する場合、もっとも効率がいい時間帯はあるのでしょうか。糖尿病専門医・臨床内科専門医として患者さんの減量の指導にあたる福田正博医師は、「医学的に運動効果が高くなる時間帯が明らかになっています」と話します。詳しいお話を聞いてみました。

「朝食後30分~2時間の間」が最も脂肪燃焼率が高い

運動をすることで体脂肪が燃焼しやすい時間帯はいつなのでしょうか。福田医師はこう説明します。

「どのような目的でウォーキングなどをするのかによって違ってきます。肥満症やメタボリック・シンドローム(以下メタボ)、糖尿病予備群の人の場合、このごろ少し太り気味の人が適正体重にしたい場合、とにかくスリムになりたい場合など、また血糖値の改善といった健康のためか、減量そのものが目的なのか、モデルのようなスタイリッシュな体型になりたいのかなど、目的はさまざまでしょう。

若いアスリートやモデルがスリムになるためにひたすら減量したい場合は、空腹時の運動がてっとりばやいという説がありますが、実はその方法は健康を目的としたダイエットには適しません。後述しますが、かえって健康を害する原因となることも多くあります。

ウォーキングや自転車などの有酸素運動は、いつどの時間に実行しても体脂肪は燃焼されますが、中高年が実践する場合、また糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病対策が目的の場合は、食後が効果的だということが分かっています」

その理由について福田医師は、血糖の状態とインスリンの働きから次のように説明を続けます。

「効率的に減量するためには、代謝を高める必要がありますが、まず、代謝とはどういった反応かを知っておきましょう。血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のことですが、これが上がるとすい臓からインスリンというホルモンが分泌され、内臓や組織の細胞に血糖を取り込むように働いてエネルギーとして利用します。この活動が代謝です。

そして、血糖値が最も高くなるのは食後30分から2時間の間です。この間にウォーキングをするとインスリンの作用が高まり、筋肉へのブドウ糖の取り込みが増加するわけです。つまり、食後30分から2時間の間までにウォーキングをすることが最も代謝を促進すると言えます。」

では、朝食後、昼食後、夕食後のうち、どのタイミングが一番効果的なのでしょうか。

「結論から言って、『朝食後』です。理由はいくつかありますが、まず、血糖値と代謝の面から考えましょう。朝食後は血糖値が跳ね上がります。2時間ほどして下降しますが、数時間で昼食となるため、昼食前は朝食前より高めであり、昼食をとるとまた上昇します。同じパターンで夕食前、夕食後も繰り返します。

一日のスタートである朝食後にウォーキングをして血糖値を抑えることができれば、昼食前も下がっていて、昼食後の上昇も抑えられ、夕食前後も同様になります。これらのことから、朝食後の30分~2時間の間にウォーキングをすると、その後1日中の血糖値のピークを抑えることができるのです」と福田医師。

血糖値とインスリンの働きの関係で、朝食後の有酸素運動によって効率的な代謝アップがはかれるということです。

脂肪を燃焼する交感神経の働きが優位になるのは朝

さらに福田医師は、自律神経の働きから見た理由も解説します。

「脂肪を燃やすためには、自律神経の1つの交感神経が働く必要があります。その交感神経は、夜よりも朝の時間帯に活発になることからも、朝食後が有利だということが分かっています。

この点からも、朝の時間帯が最も体脂肪の燃焼効率がいいと言えるでしょう」

会社員の場合、朝にウォーキングをするのは忙しくて無理と考えがちですが、福田医師はこうアドバイスを加えます。

「通勤時にひと駅分のウォーキングをすることを習慣にしてください。朝のドタバタ気分をウォーキングで解消するように、歩幅を広くとって速足で歩くとさらに代謝効率はアップします。駅のエスカレーターやエレベーターを使わずに、階段を昇り降りすることもとても有用です」

また、朝に実行できなかったときは、「もちろん、昼食後や夕食後でもかまいません。歩かないよりはずっとよいわけです」と福田医師。

さらに、先に説明があった起床時の朝食前や朝食を抜いてウォーキングやジョギングをすることについて、福田医師はこう注意を促します。

「朝食抜きでは糖分や栄養が不足しているのでエネルギーの燃焼が活発化されず、血糖値の改善も代謝アップも望めません。また体が目覚めていないために心臓に負担をかけて、狭心症や心筋梗塞(こうそく)を引き起こす可能性が高くなります。早朝ゴルフで倒れるのもこれが理由であることが多いのです。特に肥満症や糖尿病、メタボ、脂質異常症、高血圧など生活習慣病の人、またはその予備軍の人は絶対に避けてください」

朝食後30分から2時間の間にウォーキングをすると、体脂肪の燃焼率が一日中高くなるということです。2週間ほど実践したところ、たしかに体重が少しずつ減って昼食や夕食がおいしく、体が軽快になって気分も晴れやかに感じています。健康のための朝食後のウォーキングをぜひお試しください。

取材・文 藤井空/ユンブル

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福田先生

糖尿病は自分で治す!
↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)

kenkousyoku
↑福田正博医師『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』(アスキー新書)

取材協力・監修
福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。臨床内科専門医。大阪府内科医会会長。日本臨床内科医会副会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、わかりやすく面白い講演でも定評がある。
医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック

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