冬の「かくれ脱水」に要注意! 知らぬまに起きる冬の危険な脱水症<前編>

冬の「かくれ脱水」に要注意! 知らぬまに起きる冬の危険な脱水症<前編>

夏のイメージが強い脱水症。じつは、冬にも起こるのはご存知でしょうか。暑くないはずなのに、なぜ脱水症になってしまうのか。済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師にお話をうかがいました。

原因は水分不足と乾燥! じわじわと進行する冬の脱水症

――初めに、脱水症とはどのようなものなのか。症状とその原因を教えてください。

「脱水とは、体内の水分が枯渇してしまう状態で、『急性型脱水症』と『慢性型脱水症』の2種類があります。急性型脱水症は、健康な人が暑さやウイルス性の腸炎などでかかってしまう症状。一方、慢性型脱水症は長期間にわたり水分を摂らなかったことや、皮膚や呼吸から目に見えないまま水分が蒸発する『不感蒸泄(ふかんじょうせつ)』などが原因になって起こります」

――脱水症は夏にかかりやすいイメージですが、なぜ冬にも注意が必要なのでしょうか?

「水分摂取が減るためです。冬場は寒く、トイレが近くなるため水分の摂取を控えたり、野菜や果物など水分の多い食事をあまり摂らなくなったりします。また、空気が乾燥しているため、不感蒸泄によって身体から水分が奪われやすくなることも一因です」

――夏と冬の脱水症で、何か違いはあるのでしょうか?

「夏の脱水症は急性型が多く、目に見える形で劇的に症状が出ることが特徴です。一方、冬の脱水症は本人が気づかないうちに進行しており、脱水症の手前である『かくれ脱水』がよく見られます。暖房にずっと当たっているときや就寝時、アルコール摂取後などは特に注意が必要です」

便秘も要注意…さまざまなところに現れる脱水症の症状

――「冬の脱水では?」と疑われる症状を教えてください。

「脱水症状は主に、水分が80%以上含まれる脳や胃腸、筋肉に顕著に現れます。脳の水分や酸素、糖が不足すると、めまいや立ちくらみ、集中力・記憶力の低下、頭痛、意識消失、けいれんなどが起きます。消化器系では、食欲の低下、下痢、便秘といった症状が見られ、特に便秘の方には脱水症状が多くみられますね。筋肉には筋肉痛、しびれ、こむら返りなどが起こるほか、ひどくなると筋肉が動かせなくなることもあります」

――脱水症に気づくため、意識しておくべきポイントはありますか?

「体調不良や日頃とは異なる体調の変化があれば、大きな病気よりもまず脱水症を疑ってください。じつは、風邪からガンに至るまで、ほとんどの病気ではその前兆として脱水症が起きているのです」

緊急時は病院へ! 自宅でも作れる経口補水液が対処の鍵に

――どの程度の症状であれば、病院に行くべきでしょうか?

「水分や食事が摂れなくなるほど体力を消耗しているときですね。また、意識や言動に異常が見られるときや、足腰に力が入らなくなったときなども病院に行った方がよいでしょう。急性型脱水症には点滴や経口補水液で処置し、慢性型脱水症の場合は一時的な水分補給だけでなく、時間をかけて水分補給や食事摂取などの栄養指導を行います」

――何かしらの不調を感じたとき、自分なりにできる対処法も教えてください。

「自力での水分摂取が可能で、意識がはっきりしている軽度~中度の脱水症であれば、経口補水液で対処してください。経口補水液は水とナトリウム、ブドウ糖が主な成分のため、水や電解質を効率的に吸収できるほか、水分をすばやく吸収できる性質もあり症状の改善に適しています。ドラッグストアなどで市販品を購入できますが、目安として水1Lにブドウ糖20g、食塩3gを溶かせば、手作りで似たような成分のものが再現できます」

知らず知らずのうちに進行している冬の脱水症。後編では、冬場の脱水症を予防するために気を付けたいポイントについて伺います。

【取材協力】
済生会横浜市東部病院
http://www.tobu.saiseikai.or.jp/

谷口英喜先生プロフィール
済生会横浜市東部病院 周術期支援センター長 兼 栄養部部長。専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-Dメディカルアドバイザー。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。学位論文は「経口補水療法を応用した術前体液管理に関する研究」。
著書『熱中症・脱水症に役立つ 経口補水療法ハンドブック 改訂版』『イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本』

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