≪医師監修≫ ○○だけ、置き換えはNG! 糖尿病専門医に聞く。ダイエット法のウソホント

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世間ではさまざまなダイエット法が次々とブームになります。そのたびに真意を問う意見も多様に出てきますが、中でも一般に注目が高いと思われる「単品ダイエット」、「置き換えダイエット」、「朝食抜きダイエット」、「糖質制限ダイエット」について、糖尿病専門医・臨床内科専門医として患者さんの減量の指導にあたる福田正博医師に、医学的な見解について尋ねてみました。

栄養不足で代謝が低下して、太りやすくやせにくい体質に

(1)リンゴだけ、卵だけなど「単品ダイエット」

福田医師:1種類の食材に限定した食事を続けると、代謝のために必要な栄養素が不足します。代謝とは、食事で取り入れた栄養素をエネルギーや生命の維持に必要な物質に変える仕組みです。代謝がうまく行われなければ、エネルギーが消費されないだけでなく、あらゆる生命活動に支障をきたす恐れがあります。

1日に消費するエネルギー量の約60%は、基礎代謝に関わります。基礎代謝とは、心身ともに安静なときに、心拍や呼吸、体温などを調整し、生命を維持するために消費されているエネルギーのことで、身長や体重、年齢によって異なりますが、40代の男性では約1,2000~1,500kcal、40代女性では約1,000~1,200kcalになります。

体重60 kgの人が5㎞のランニングをしたときに消費するエネルギー量は約250kcalですから、基礎代謝量は運動や日常生活の動作で消費するエネルギー量よりもずっと多いわけです。単品ダイエットを続けた場合、脂肪とともに筋肉も減少し、基礎代謝量が低下しますから、ダイエットを始める前よりも太りやすくやせにくい、リバウンドする体質になるでしょう。

また、医療の現場では、空腹でトータルの食事量が増えて結局太ったというケースはよくあります。

(2)1食をダイエット飲料や手作りジュースに変える「置き換えダイエット」

福田医師:食事をカロリーの低い飲料に変える分、一時的な減量効果はあるかもしれません。いわゆる「フォーミュラーダイエット」ですね。1食200kcal程度でビタミンなどが含まれているドリンクを飲むなら、1食抜くよりは栄養バランスが保たれると思われます。

しかし、ドリンクは噛(か)まずに飲み込むので、食事の時間が数秒になります。脳の働きで、時間をかけてよく噛むと摂食中枢を抑制するホルモンのヒスタミンなどが増えて満腹感を得ることができるのですが、ドリンクだと満腹を感じることができません。すると、イライラやウツウツした気持ちになりやすいことと、1食分を抜いているという油断からほかの2食を食べ過ぎる、さらに、飽きて長続きしないなどなど、リバウンドしやすい傾向にあります。

(3)朝はカロリーをとらない「朝食抜きダイエット」

福田医師:医学的に、食べた分のカロリーの燃焼率は朝が高く、夜になるほど低くなることが分かっています。朝と夜では約10%も違うのです。朝に食事をしてエネルギーを補給すると、体の機能が活性化されます。すると、午前中の脂肪燃焼効率が高まり、昼食後以降も継続して活発になります。

さらに、朝食を抜くと空腹感が強くなり、昼食や夕食を食べ過ぎる、間食で埋め合わせをするなどで1日のトータルの食事量が多くなり、翌朝になっても空腹感がわかないという悪循環に陥りやすくなります。生活のリズムに合わせて、1日3回の食事を取りましょう。

(4)ごはんやめん類などの炭水化物を食べない「糖質制限ダイエット」

福田医師:食事で過剰に摂取した糖質は、肝臓や脂肪細胞に脂肪として貯蓄されます。これが肥満の原因です。しかし、糖質が不足すると体内でタンパク質がアミノ酸に分解され、肝臓で糖に作り替えられるので、タンパク質本来の働きが損なわれやすくなります。

タンパク質は、筋肉など体の組織を作るためには欠かせない栄養素です。タンパク質が不足すると、筋肉量の減少、シワやたるみなどの皮ふのトラブル、薄毛や切れ毛などの髪のトラブル、免疫力の低下、思考力や集中力の低下などをまねきます。中でも筋肉量の減少は基礎代謝の低下につながるので、かえって太りやすくやせにくい体質になります。極端な糖質制限は、長続きもせずお勧めできません。

これらのことから福田医師は、「どのような方法でも、偏った食事法によるダイエットは体にも精神的にも負担が大きいために、リバウンドしやすく、太りやすくなります」と強調します。

最後に福田医師は、これらのダイエット法のNGな点を踏まえて、健康的な減量のためにこうアドバイスを加えます。

「まずは基礎代謝を低下させないことを考え、朝、昼、晩とも栄養のバランスが整った食事をおなかいっぱいになりすぎないようにとりましょう。また、朝食をおいしく食べるために夜遅い時間帯には飲食をしないことがポイントになります。

そして、筋肉量が減らないように日常生活の中で歩く量を増やしましょう。食後にウォーキングをする、通勤時や買い物時にひと駅多く歩く、エレベーターやエスカレーターに乗らず階段を利用する、テレビを見ながら足踏みをするなど工夫をして、適度に体を動かしましょう」

ダイエットのコツは「基礎代謝のアップ」にあり、それには「○○○しか食べない」、「◎◎◎◎は一切食べない」といった方法は逆効果だということです。自分の1日の食事量と運動量を把握し、栄養のバランスを考えて腹八分目の食事を1日3回取ることが、減量への近道と言えそうです。

取材・文 岩田なつき/ユンブル

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福田先生

取材協力・監修
福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。臨床内科専門医。大阪府内科医会会長。日本臨床内科医会副会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、分かりやすく面白い講演でも定評がある。

糖尿病は自分で治す!
↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)

kenkousyoku
↑『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』(福田正博 アスキー新書)

医療法人弘正会 ふくだ内科クリニック

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