≪医師監修≫ 糖尿病専門医が教える、医学的根拠がある太りにくい食べ方5つ

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ダイエットを決心しますが、何から始めればいいか迷います。糖尿病専門医・臨床内科専門医として、治療の現場で減量の指導にあたる福田正博医師は、「ダイエットには食事療法や運動療法などさまざまな方法がありますが、まずは誰もがいつでもすぐに取り組める食べ方に注目してみてください。太る食べ方、太りにくい食べ方があります」と話します。そこで、意識したい「太りにくい食べ方とその理由」について、医学的な観点から分かりやすく教えてもらいましょう。

食欲のコントロールには脳の働きとホルモン、血糖値が関係する

はじめに福田医師は、太る原因と食欲のコントロールについてこう説明をします。

「結論から言って、太る原因は単純です。1日に摂取するカロリーが消費するカロリーよりも多いことです。空腹や満腹を感じるのも、食欲を調整しているのも、脳の視床下部(ししょうかぶ)という場所にある『摂食中枢(ちゅうすう)』です。胃が空になると胃の壁からグレリンというホルモンが分泌されてここを刺激し、空腹を感じます。

一方で、体に蓄積している脂肪細胞からはレプチンというホルモンが分泌され、これが視床下部の『満腹中枢』におなかいっぱいだというサインを送って食べすぎを防ぎます。このとき、重要な役割をするのが、血糖値(血液中の糖分の濃度)です。また、自律神経による胃の拡張や収縮、精神的作用、視覚や味覚、嗅覚など五感も食欲調整の大きな要因となります。

減量には食べすぎないことが肝心なので、腹八分目の量で満足感を得る方法を体得しましょう。それが難しいのだとよく言われますが、体のメカニズムを知って食べ方をちょっと工夫するだけで、いつもより少なくても満足がいく食事ができるようになります。

食欲に影響する体のシステムは複雑ながら、こうした働きを理解しておくだけで食生活に変化を起こすことができるでしょう。

早食い、噛まない、ダラダラ食いでは満腹感が得られない

では次に福田医師に、食べ方の工夫を具体的に挙げてもらいましょう。

(1)「早食い」をしない

福田医師:食事をスタートして20分ほどで脳が活性化して摂食中枢を抑制するホルモンが分泌されます。そのホルモンが分泌されないうちにガツガツと早食いをすると満腹感を得ることができないため、おかわりをする、また一気にたくさんの量を食べることにつながります。

特にランチ時に、忙しいからと急いで食べる、お茶やみそ汁でおかずやごはんを胃に流し込むなどする人が多いようですが、これは消化にもよくなくて太る原因になります。できるだけ誰かと一緒に会話を楽しみながら、また、ひとりのときはその都度の食事を味わうようにして、ゆっくりと食べましょう。

(2)ひと口に30回以上噛(か)む

福田医師:噛むという行為は、摂食中枢を抑制するホルモンの分泌に働きかけ、また腸管からのホルモンの分泌も促して血糖値の上昇を防ぎ、食欲を抑えます。ひと口につき、30回以上噛んで食べてください。食事の途中から、いつもより満腹感を覚えるでしょう。わたしはこれを「よく噛むダイエット」と呼んでいます。顎(あご)をしっかり動かすように意識をすると、よく噛めるようになるでしょう。

(3)ダラダラと食べない

福田医師:間食や長時間何かを食べながらの作業が習慣になると、摂食中枢が常に刺激されている状態になるため、空腹と満腹の感覚が乱れていきます。すると、実際には空腹でなくても何かを食べる、作業を止めるとまた食べたいという欲求がわくようになります。食事の時間は朝、昼、夜の3回がなるべく一定となるようにし、その間にダラダラと食べ続けるのは避けましょう。

(4)食事回数を減らして「まとめ食い」をしない

福田医師:1日1食や2食にするダイエット法があるようですが、食事の回数を減らした場合、空腹でいる時間が長くなります。すると、そうでないときと比べて一度にまとめてたくさん食べるようになり、また同じものを同じ量だけ食べたとしても血糖値が上がりやすくなることがわかっています。

食事をすると血糖値は上昇しますが、上がりすぎるのを抑えて一定に保つために、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンは、糖を燃やしてエネルギーに変える役割がありますが、同時に中性脂肪をつくって蓄えるようにも働きます。つまり、空腹の状態でたくさん食べると、血糖が急に上がってインスリンがたくさん分泌されるため、脂肪を溜め込みやすくなるわけです。食事の回数は1日に3回として1回を食べすぎないようにし、(3)で述べたようにできるだけ一定の時間に食べましょう。

(5)先に、ごはんやパンなどの炭水化物を食べない

福田医師:空腹のときに、お菓子やごはん、パンなど糖質が主体のものをたくさん食べると、血糖値が一気に上昇し、インスリンが必要以上に分泌されます。すると(4)と同じく、脂肪が溜まりやすくなります。

最初に野菜や海藻類、こんにゃく、きのこなど食物繊維が多く含まれる料理を食べてから、次に魚料理、続いて肉料理などのおかず、最後にごはんやパン、めん類などの炭水化物を食べるようにします。すると、糖質や脂質をゆっくりと消化吸収して血糖値の急上昇を抑え、脂肪はつきにくくなることが医学的に多くの研究で明らかになっています。

最後に福田医師は、栄養のバランスについて、こうアドバイスをします。

「患者さんのお話しを聞いていると、食べすぎているだけではなく、たとえば肉ばかり、丼ものばかりなど好物のみを食べておられるケースが多々あります。太りにくい食事法とは栄養のバランスが整った食事を適切な量だけ食べることと言えます。栄養バランスの偏りに思い当たる場合は、食べ方とともに改善しましょう」

普段の食事を振り返ると、無意識ながら、太りやすい食べ方をしていたことに気づきました。ゆっくりとよく噛む、ダラダラ食べやまとめ食いをしない、一定の時間に食べる、野菜や海藻類から食べるといった方法は、太りにくいことに根拠があったのです。さらに、誰もがすぐに始められる点でメリットが大きいでしょう。常に実践したいものです。

取材・文 岩田なつき/ユンブル

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福田先生

取材協力・監修
福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。臨床内科専門医。大阪府内科医会会長。日本臨床内科医会副会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、分かりやすく面白い講演でも定評がある。
医療法人弘正会 ふくだ内科クリニック

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↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)

kenkousyoku
↑『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』(福田正博 アスキー新書)

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