《医師監修》糖尿病専門医が教える。 「アンチエイジングは血管から」

%e8%a1%80%e7%ae%a1_1801

糖尿病専門医からみた「若さ」とは!?  臨床内科専門医としても、また、ふくだ内科クリニック院長としても日々患者さんの診療にあたる福田正博医師に聞いてみると、ずばり、「血管年齢です」という回答が返ってきました。どきっ、気になる視点です。自分の血管は若いのか老けているのか、硬いか柔らかいか、血液はサラサラかドロドロか、血管年齢を若く保つ方法はあるのかなど、詳しく聞いてみました。

ヒトは血管から老いていく

「あの人、トシのわりには若く見えるなあ」、「え、そんなに若かったの!?」などと、若さ、老け具合とも印象に残る人がいます。「若く見える」とは、いったいどういった要因が考えられるのでしょうか。

福田医師は、「人は見かけによらないとよく言いますが、若さの印象には『血管の状態が反映される』と言えます」と強調します。

血管ですか!? 血管の状態が外見に現れるのでしょうか。福田医師はその根拠について、こう説明をします。

「血管のしなやかさは体の若さに直結しています。心臓から全身へ血液を運ぶ血管の動脈が硬くなることを『動脈硬化(どうみゃくこうか)』と言います。これが進むほどに血管の内部が狭くなり、血流が悪くなります

血液は各部の組織や臓器に酸素と栄養分を運んでそれらの細胞を生まれ変わらせます。これが新陳代謝ですが、血流が悪化すると、細胞が酸素や栄養不足に陥って代謝が滞ります

また、血管の抵抗が増し、血液が押し出されにくくなって心臓に負担がかかるため、心不全などの病気の原因になります。さらに血管が詰まると、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞など、命に関わる事態をまねく可能性が高まります。特に、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病や喫煙は、動脈硬化の原因になります。

このように血管の状態は、臓器や組織のありように大きく関わるわけです。ですから、ヒトは血管から老いていくと言えるでしょう」

「血管年齢」は検査で簡単に計測できる

では、「血管のしなやかさ」はどうやって見分けるのでしょうか。そのバロメーターについて福田医師は、次のように説明を続けます。

「血管のしなやかさとは、動脈硬化の程度で判断します。また『血管年齢』という言葉がありますが、血管は赤ちゃんのときはとても柔らかく、年齢や生活習慣によってだんだんと硬くなっていきます

医療機関では、約5分の検査でいまの血管の状態が何歳ぐらいなのかを算出することができます。調べる方法として、心臓から出た血液により生じた拍動が、血管を通じて手や足に届くまでの速度を計測するPWV(脈波伝播速度。みゃくはでんぱそくど)検査やCAVI(キャヴィ・心臓足首血管指数)検査、また、上腕と足首の血圧の比で心臓から足先までの血管がつまっていないかを診断するABI検査があります。

これらを総合で評価して血管年齢を診断します。費用は医療機関によりますが、PWV検査は保険適用でおよそ1,000円、また、人間ドッグのオプションでもあります。大阪の関西医科大学総合医療センター(大阪府守口市)では毎年秋に、年齢や人数は限定ですが、無料で『血管年齢測定イベント』を開催しています」

福田医師によると、「実年齢が40歳で、血管年齢が65歳」という人はとても多いそうです。動脈硬化が気になる人、生活習慣病がある人は、この検査を受けておきたいものです。

肌のシワやクスミの原因物質の正体とは

また福田医師は、「血管の老化を引き起こす物質がある」と言います。どういったものでしょうか。

AGEs(エイジス、エイジズ。Advanced Glycation End Productsの略)という、日本語では終末糖化産物糖化最終産物と呼ぶ物質の存在が分かっています。『タンパク質と糖がゆっくり結合してできた数十種類の生成物』の総称です。体内で生じる場合と、食事から取り込まれる場合がありますが、AGEsが蓄積すると、動脈硬化や糖尿病が進みます。見かたを変えると、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が高いほど多くのAGEsが発生し、腎臓や網膜の毛細血管、また皮ふの老化に大きな影響を及ぼします

糖尿病の人の場合、肌のシワやクスミが目立って年齢よりも老けて見えることが多いと言われますが、その大きな原因はAGEsであると考えられます」

血液の状態が肌にそれほど影響するとは……。「見た目の若さは血管のしなやかさを反映する」というイメージがわきます。高血糖値は老化を促すということでしょう。

血管年齢を若く保つには、メタボと肥満を避ける

血管年齢が若さのバロメーターであることが分かったところで、血管をしなやかに保つ方法を福田医師に教えてもらいましょう。

「血管年齢を高くする要素は、高血糖高血圧脂質異常ストレス喫煙メタボリック・シンドローム(以下、メタボ)、肥満年齢などです。自分でできる方法は、年齢を除いたすべての要素を取り去ること、あるいは改善、予防することです。まずは、多くの生活習慣病の原因となるメタボ、肥満を避けるようにしましょう。

自分に合った適切なカロリーで栄養バランスがよい食事をとり、ウォーキングと軽い筋トレといった適度な運動、また禁煙を実践し、できるだけストレスをためないようにして、脂肪燃焼、代謝がアップする生活を送りましょう。それほど難しいことではなく、日々の習慣を健康的な方法で積み重ねるということです」

アンチエイジングを意識するなら、血管の状態を見つめる。それが福田医師の提唱です。自分の血管の硬さは自分では分からないため、状態がとても気になります。これから鏡を見るときには、肌の様子に加えて、全身を映しておなかまわりに注目し、メタボや肥満にならない生活習慣を心がけたいものです。

取材・文 品川緑/ユンブル

※福田正博医師ご監修による、次の記事も参考になさってください。
《医師監修》自分は太い? 普通? 糖尿病専門医が教える。簡単に医学的基準で計算する方法
≪医師監修≫ 糖尿病専門医が教える、ダイエットの目標値を自分で簡単に計算する方法
≪医師監修≫ 糖尿病専門医が教える。ウォーキングで体脂肪の代謝効率がいい時間帯とは!?
《医師監修》 糖尿病専門医に聞く。太りにくいお酒の飲みかたとは!?
《医師監修》あなたもメタボかも!? 糖尿病専門医が教える。おなかにたまる脂肪の正体とは
≪医師監修≫ 糖尿病専門医が教える。太りにくい食べ方の小技集

福田先生
取材協力・監修
福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。臨床内科専門医。大阪府内科医会会長。日本臨床内科医会副会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、分かりやすく面白い講演でも定評がある。
医療法人弘正会 ふくだ内科クリニック

糖尿病は自分で治す!
↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)

kenkousyoku
↑『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』(福田正博 アスキー新書)

%e8%a1%80%e7%ae%a1_1801

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

おすすめコラム