《医師監修》糖尿病専門医に聞く。1回5分のウォーキングでも運動効果はありますか?

ウォーキング

ダイエットを決意し、「運動をしよう、まずはウォーキングだ!」と意気込んで始めたものの、1週間も経てば忘れてしまっている……ということをくり返しています。糖尿病専門医・臨床内科専門医で、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング』(扶桑社新書)の著者である福田正博医師によると、「毎日1時間、休日は1万歩ウォーキングをしようと決意しても、急には難しいと思います。実は、1回につき5分ぐらいの『こまぎれウォーキング』でも運動効果があることがわかっています」ということです。1回5分でもOKとは! 筆者には朗報です。そこで、詳しいお話しを聞いてみました。

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歩きはじめの20分は血糖が燃焼している

――「1日20 分以上続けて歩かないとやせない」とよく耳にします。違うのでしょうか?

福田医師 はい、違います。初めに話したように、5分歩いただけでも脂肪は燃焼することが医学的な研究で明らかになっています。

歩きはじめるとまず、血液中のブドウ糖(血糖)が燃焼を開始します。ウォーキング開始後、15~20分ごろまでは脂肪よりも血糖の方が燃焼する比率が高いのですが、20分ほど経ってからこの比率が逆転するのです。つまり、20分以上歩かないと脂肪が燃えないのではなく、20分以上歩くと比較的効率よく脂肪が燃焼するというわけです。

ですから、時間や体力に余裕があるときは20分以上歩くほうが脂肪燃焼には効率的ですが、5分ずつを数回に分けて歩いた場合でも毎回血糖は燃焼するため、代謝がアップし、減量に有用であると言えます。1回5分であれば、通勤時や買い物時でも、3回以上は歩いているでしょう。私はこの方法を「こまぎれウォーキング」と呼んで患者さんに推奨しています。

『こまぎれウォーキング』のほうが運動効果は高い

――歩数の目標は「1日1万歩」とよく言われますが、それは目安となるのでしょうか

福田医師 1万歩を歩くと、約300キロカロリーを消費します。これは、加齢によって低下する基礎代謝の分を補う量です。生活習慣病のメタボリック・シンドロームや肥満症の解消や急ぎのダイエットが目的の場合は、症状や体質によりますが、1日1万歩で週に3日~5日歩くのが望ましいとされています。

しかし、歩数はあくまで目安です。「今日は5000歩しか歩かなかったので、明日は1万5000歩を歩きます」とか、「2万歩、3万歩を目標に、1歩でも多く歩数を伸ばしたくてがんばっています」と話される方もいますが、肝心なことは、ウォーキングを習慣化することです。1万歩を歩く場合は1時間20分~40分ほどの時間になりますから、毎日だと無理があって続かないことになりかねません。また、無理なウォーキングは、膝や腰などの筋肉痛、関節痛、免疫力の低下、疲労などをまねく恐れもあります。

ウォーキングの運動効果は、歩く人の性格や体力、環境、また目的や歩き方によりますが、仕事をしながらウォーキングを続けたい場合、まとめて1万歩を歩くよりも「こまぎれウォーキング」のほうが、継続や体に無理がない点でむしろ健康効果は高いと考えています。

当初は、「生活面での歩数3000歩ほどとウォーキングで5000歩ほど、トータルで8000歩ほど歩こう」といった目標を立てるとよいでしょう。生活習慣病の改善やダイエットが目的の場合は、「1週間で5万歩歩く」などと1週間単位で目標を立てて、記録をしながら実践しましょう。時間的、精神的に余裕がある休日に、不足分として3000歩ほどまでをカバーするのはいいでしょう。

『こまぎれウォーキング』の運動効果を高めるポイント6つ

――時間がないときに、ウォーキングの運動効率をアップする方法はありますか

福田医師 理想的なフォームで、速足で歩くことです。次の6つのポイントを実践してみてください。

1.背筋を伸ばして真っ直ぐに立ち、視線は遠くに向ける。
2.腰から下を脚とイメージし、骨盤を前へ出すように踏み出す。
3.かかとから着地して、おや指の付け根で地面を蹴る。
4. ひじを直角に曲げ、腕を後ろに引くように意識して大きく振る。
5.腹筋に力を入れながら、歩幅を広めに保つ。
6.生活での歩行より、時速6km程度の、少ししんどいけれど風景を楽しむ余裕があるくらいの感覚で速く歩くことを意識する。

雨の日、運動不足の日は『室内ウォーキング』を

――雨の日や寒い日、暑い日は、こまぎれでも外に出るのがおっくうです。室内で効率的にウォーキングをする方法はありますか

福田医師 室内のウォーキングでも、方法によって運動効果は認められています。「その場でゆっくり足踏みウォーキング」を試みてください。背筋を伸ばしてまっすぐに立ちます。右腕を大きく後ろに振って左足を上げたら、太ももと床が平行な状態で2秒キープし、静かにゆっくりと足を降ろします。これを左右20回ずつ繰り返し、2~3セットを行います。

また、階段の一番下の段や、市販の「踏み台」を利用した「階段ウォーキング」も有用です。一方の足ずつ1段上がり、両足が上がったら後ろに一方ずつ降ります。適宜、踏み出す方の足を左右変えながら、1分を1セットとし、2~5セットを行いましょう。

どちらも、けっこう筋肉に負荷がかかっていることを実感するでしょう。テレビを見ながら、音楽を聴きながら、家事をしながらできるというメリットがあるので、運動不足と思った日にも実践するとよいでしょう。

――なんだかやる気が出てきました。ありがとうございました。

ウォーキングについての正しい知識や誤った認識、また、屋内でできるウォーキング実践法も伝授してもらうことができました。背筋を伸ばし、大またで腕を振って速足でさっそうと歩く――。そんな自分の姿をイメージしていると、いますぐ歩き出したくなります。目標を立て、無理なく楽しく続けたいものです。

取材・文 岩田なつき/ユンブル

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福田先生
取材協力・監修
福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。臨床内科専門医。大阪府内科医会会長。日本臨床内科医会副会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、分かりやすく面白い講演でも定評がある。
医療法人弘正会 ふくだ内科クリニック

糖尿病は自分で治す!
↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)

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↑『専門医が教える 糖尿病ウォーキング』(福田正博 扶桑社新書)

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