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《医師監修》漢方専門医が教える。便秘と太り気味の対策に漢方薬を選ぶポイント

漢方便秘

中年世代の体調の悩みとして、「便秘がちになって体重は増える一方、おなかが出てきた。太ったから便秘なのか、便秘だから太るのか……」という声をよく耳にします。臨床内科専門医で消化器内視鏡専門医、また漢方専門医でもある吉田クリニック(大阪府八尾市)の吉田裕彦院長によると、「便秘はメタボや肥満症のみならず、多くの生活習慣病に悪影響を及ぼします。少しでも気になる場合は放置せずに改善し、同時に無理のない減量を実践していきましょう」ということです。詳しいお話を聞いてみました。

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食事と睡眠と運動、ストレスを見直す

便秘を改善しながら減量を試みる――。健康でいるために吉田医師のご提案はぜひ取り入れたいものです。はじめに吉田医師は、生活習慣についてこうアドバイスをします。

食事の内容や量を整え、3食を決まった時間に規則正しく食べる、睡眠不足を解消して質の高い睡眠をとる、軽い運動をする、ストレスを溜めないなど、日常生活の習慣を整えると便秘の改善と減量につながります」

日々の食事と睡眠、運動にはできるだけ注意したいところです。ただ、仕事や付き合いで外食が続く、忙しくてストレスがいっぱいだ、当面早く床につけそうにないなどで生活習慣の改善が難しく、頑固な便秘がつらいことがあります。そんなときに市販の薬を利用したいという人は多いのですが、たくさんある中から自分に合ったものを選ぶコツはありますか。

吉田医師は、「便秘改善の薬として、患者さんでも、おなかに刺激が少ないタイプを希望する方が多くいらっしゃいます。その場合は、漢方薬を選ぶという方法もあります」と話します。

漢方薬を選ぶには、体格と体質、便秘の状態を見つめる

続いて吉田医師は、漢方薬を選ぶポイントについてまず、「漢方では、体格や体力、体質、抵抗力などの個人の特徴を『(しょう)』と呼んでいますが、これが漢方薬を選ぶ際にとても重要になります」と言い、「証」について説明を続けます。

「簡単に言えば、体格はやせ型かぽっちゃり型か、あるいは標準かがっちり型か、体力はあるか、中ぐらいか虚弱なのか、体質は冷え気味か暑がりか、顔色はどうかなどによって『証』を見て、それぞれに合う薬を選びます」

まずは自分の『証』を判断しようということです。ここで吉田医師に、そのポイントを教えてもらいました。これらの項目について自分はどうかを考えましょう。

体格……やせ型・華奢(きゃしゃ)・標準・太り気味・ぽっちゃり・がっちり・筋肉質など
体力……活力がある・中等度・疲れやすい・虚弱など
ストレス……ストレスが強い・ストレスがある・ストレスは感じていないなど
血色……血色がよい・肌つやがよい・顔色が悪い・肌が荒れ気味など

次に、便秘のタイプも、『証』を判断するポイントになります。

慢性的か一時的か
残便感や腹痛はあるか
便秘と下痢を繰り返すか

さらに、「次のような『証』のタイプについて知っておくと、理解しやすくなるでしょう」と吉田医師。

実証……太り気味でがっちり体型で体力があって筋肉質、血色がよい、声が大きい、暑がり、慢性的に便秘気味のタイプ
虚証……細身で体力がなくて弱々しく、顔色が悪い、声が小さい、寒がり、慢性的に下痢気味のタイプ
中間症……中肉中背、体力は中等度、体質はバランスがとれた状態。一時的に便秘になることがあるタイプ

自分では「証」がわからない場合はどうすればいいのでしょうか。

「自分の体質を認識しておらず、医師が指摘して初めて気づかれる患者さんは多いです。漢方薬を試したい場合は、一度、『証』の判断を含めて専門医に診察してもらうといいのですが、無理な場合は薬店の薬剤師に聞いてみてください」(吉田医師)

便秘と体重の悩みをひとつの漢方薬で改善できる!?

次に吉田医師に、「証」のタイプごとに、それらに合う代表的な漢方薬を紹介してもらいましょう。

太り気味で強壮なタイプの「実証(じっしょう)」
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
おなかに指でつまめる皮下脂肪が多く、肥満、肥満気味、尿量が少ない、むくみ、肩こり、のぼせ、ふきでものなどの症状がある場合に。体の熱を冷まし、水分の循環を促して便秘を改善します。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
手足は冷えるのに、顔はのぼせやすいタイプで、月経前、月経時に憂うつ感やイライラをともなって便秘をする場合に。血液の巡りを改善します。

疲れやすく虚弱なタイプの「虚証(きょしょう)」
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
腸が敏感で便秘と下痢をくり返す、おなかが張る、便秘のときに腹痛がある、残便感がある、ストレスを感じやすい場合に。腸の緊張やぜん動運動が過剰になるのを抑えるように働きます。

標準タイプの「中間証(ちゅうかんしょう)」
麻子仁丸(ましにんがん)
慢性的に排便が少ない、コロコロとした乾燥した便や硬い便が続く、おなかが張る場合に。高齢者に向く。水分不足の便を軟らかく、自然に排出しやすくします。

吉田医師はこれらの漢方薬について、こうアドバイスを加えます。
「ひとつの漢方薬で便秘と肥満、便秘と月経トラブル、便秘と腹痛やストレスといった複数の症状が改善できる可能性があります。もちろん、薬を飲みながらお酒をたくさん飲む、食べる量が増えた、運動をしないなどでは服用しても意味はありません。それをふまえたうえでこういった薬の働きを知っておき、自分の状態によって活用するとよいでしょう」

便秘だからと食事を極端に減らしてはいけない

さらに、「便秘が続くとおなかが出てくるような気がする」、「便秘になると太るので食事を減らすべきか」という悩みについて吉田医師は、こう指摘をします。

「肥満の場合は便秘を訴える人は多いのですが、太る、おなかに脂肪が溜まる理由は個人の体質や生活習慣などによってさまざまで、便秘が原因とは限りません。ただし便秘が続くと、排出されるべき便が腸内に溜まっているため、また、水分の排出も滞るため、むくみが生じて体重が増えることはあるでしょう。

だからといって食事の量を急に、あるいは極端に減らすと、栄養や水分不足でかえって便秘が悪化することがあります。食事の習慣としては、栄養のバランスがよいものを適量、あくまで食べすぎずに、規則正しい時間帯にとることが便秘や肥満改善にとって最良の方法なのです」

便秘や体重で悩む場合、生活習慣の改善も漢方薬を試みるにあたっても、自分の日々の活動と体格や体質、また便秘の状態を見直す必要がありそうです。これを機会に、それらのアクションを起こして改善に取り組みたいものです。

取材・文 堀田康子 × ユンブル

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取材協力・監修
吉田裕彦氏。 臨床内科専門医。消化器内視鏡専門医。漢方専門医。糖尿病療養指導医。大阪府内科医会理事。八尾市医師会副会長。医療法人朋侑(ほうゆう)会・吉田クリニック院長。

医療法人朋侑会・吉田クリニック:大阪府八尾市山本高安町2-1-3

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