《医師監修》内科医が教える。その頭痛、肩こりは便秘が原因かも!?

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しつこい頭痛や肩こり、便秘に悩まされている人は少なくありません。これらはそれぞれ別の原因による不調のように思えますが、内科医で泉岡医院(大阪市都島区)の泉岡利於(いずおか・としお)院長によると、「実は大元の原因は便秘であるケースが多いのです」ということです。詳しく教えてもらいましょう。

便秘で生じた腸内環境の悪化が頭痛や肩こりをまねく

――なぜ便秘によって頭痛や肩こりが引き起こされるのでしょうか。

泉岡医師 排便には、体に溜まった老廃物や毒素を排出するという役割があります。便秘になると、便に含まれる毒素や便から発生するガスなどが腸内に長く溜まり、老廃物や毒素の排泄がうまくいかないまま血液が全身を巡ることになりかねません。

すると、全身の血流が悪くなって新陳代謝も低下します。だんだんと痛みの原因物質などが蓄積されて頭痛や肩こりが引き起こされるのです。

――便秘で腸の環境が悪化することが原因だということですか。

泉岡医師 そうです。腸内細菌の数には諸説がありますが、ヒトの腸には約100~1000種類、100兆~1000兆個の腸内細菌が生息していて、便の約半分は、腸内細菌とその死骸が占めていると言われています。

腸内細菌は、体にとって有益に働く「善玉菌」と、人体に悪影響を及ぼす「悪玉菌」に大別されます。

善玉菌の代表格は、ビフィズス菌などの乳酸菌です。これには悪玉菌の繁殖を抑え、病原菌の感染を防ぐほか、腸のぜん動運動を活発にして便秘を予防する働きがあります。

一方、悪玉菌の代表格は、大腸菌やウェルシュ菌などです。腸内のタンパク質や脂質を分解して、悪臭ガスやアレルギー物質などさまざまな腐敗物質を作り出します。この悪玉菌が増えると腸の動きが悪くなって便秘をまねき、便秘になると悪玉菌がさらに増えて善玉菌が減少し、腸内環境がいっそうと悪化する悪循環が生まれます。

自律神経のバランスの乱れで筋肉が緊張して頭痛、肩こりに

――便秘と腸内環境の悪化は相互の関係があるとのことですが、ストレスが関係しているとも聞きます。

泉岡医師 便秘のもう1つの原因は自律神経のバランスの乱れです。自律神経は、自分の意思とは無関係に働いて、呼吸や脈拍、血圧、体温の調整など、生命を維持するうえで欠かせない機能をコントロールしています。食べ物の消化や吸収から排便に至る一連の活動も、自律神経によって調整されています。

自律神経は、活動中や緊張度が高いときに働く交感神経と、休息・リラックス状態へ導く副交感神経の2つがあり、両者がバランスを取ることで、体を無意識のうちに環境や状況に適応させています。

ところが、心身の疲労やストレス、夜更かしや暴飲暴食などによって生活のリズムが乱れると、緊張・興奮状態を司る交感神経の働きが優位になります。すると、胃腸の消化や吸収作用が鈍くなり、便を送り出す大腸のぜん動運動が低下して大腸内に便が長時間たまって便秘になります。

また、大腸に便が停滞している間に水分がどんどん吸収されるため、便秘が続くほど便が硬くなり、排便しづらくなります。

――ストレスや悩みがある、それに睡眠不足や運動不足だと頭痛や肩こりが起こります。

泉岡医師 頭痛や肩こりは、筋肉の緊張と深い関係があります。頭痛のタイプの1つである緊張型頭痛は、緊張した筋肉が神経を圧迫することで起こります。自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位な状態が慢性化すると、肩や首の筋肉が常に緊張した状態になります。これが、頭痛や肩こりにつながるのです。

薬に頼るよりも生活習慣の改善とストレスケアが先決

――頭痛がつらいときは鎮痛薬、肩こりには湿布やマッサージ、便秘には下剤と、それぞれの症状ごとに薬を飲む人が多いと思います。

泉岡医師 それは良い方法ではありません。鎮痛薬の中には、副作用で腸のぜん動運動を低下させるタイプがあり、かえって便秘が悪化することもあります。その場しのぎで湿布やマッサージを利用しても、しつこい肩こりはすぐにぶり返します。大元の原因が便秘である場合、まずは便秘の改善が先決です。

ただし、下剤は便秘の根本的な解決にはなりません。常用すると「下剤を飲まないと排便できない」ようになることもあるからです。

――便秘の改善のために自分でできることはありますか。

泉岡医師 バランスのよい食事、適度な運動、規則正しい生活といった生活習慣の改善が重要です。腸内環境と便通の改善に役に立つ食物繊維が豊富な食品や発酵食品を積極的にとり、1日3食、規則正しい時間に食事をしてください。

朝、起きたときにコップ1杯の水を飲むと腸の動きが活発になり、その後に朝食を食べると便意が生じやすくなります。そのためにも朝はゆっくりとした時間を過ごすようにしましょう。

運動は、ウォーキングなどの全身運動がおすすめです。体を動かすことで全身の血流が促され、腸の動きも活発になります。

同時に、ストレス対策を実践しましょう。ストレスは直接便秘の原因となるほか、自律神経のバランスを乱す原因にもなります。毎日、少しでもリラックスできる時間を持つようにし、自分なりのストレス改善法を取り入れましょう。

趣味の時間を大切にする、ゆったり入浴する、友人や家族と会話や食事を楽しむ、好きな音楽を聴くなど、どんなことでもかまいません。自分がリラックスできて、気分がリフレッシュするようなことを行うと、心身の緊張がゆるみ、自律神経のバランスも整いやすくなります。

ただし、便秘の原因として、大腸ポリープなど器質的な疾患の場合もあります。これら生活習慣の見直しを試みても便秘が一向に改善しない場合や、日常生活に支障をきたすほどつらいときは、ほかの病気の可能性もありますから、早めに内科を受診してください。

――腸内環境の悪化と自律神経のバランスの乱れが便秘から頭痛、肩こりを引き起こすことがわかりました。ありがとうございました。

便秘・頭痛・肩こりはいずれも、体がつらいだけでなく気分をどんよりとさせます。便秘を改善して頭痛や肩こりも退散すれば、一石三鳥です。まずは生活習慣とストレスの改善を心がけてみてはいかがでしょうか。

取材・文 城川佳子 × ユンブル

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泉岡利於氏

取材協力・監修
泉岡利於氏。医学博士。内科医。大阪府内科医会副会長。医療法人社団宏久会泉岡医院院長。内科、循環器内科、小児科の診察とともに、自治体の医療活動にも積極的に取り組んでいる。
泉岡医院 大阪市都島区東野田町5-5-8

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