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《心身医学専門医に聞く》「腸内フローラ」がストレス、性格にも影響する?

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ストレスや不安、緊張が強いと、便秘や下痢になる……多くの人に心当たりがある経験でしょう。「これは脳がストレスを感じると腸の働きに影響するという現象です。最近では逆に、腸の状態が脳や心に影響を与えているという研究結果が発表されています」と心身医学専門医で心療内科医・野崎クリニック(大阪府豊中市)の野崎京子院長は話します。腸が脳に影響するとは、いったいどういうことなのでしょうか。最新の情報を教えてもらいました。

腸こそ「第一の脳」か

「消化・吸収に限らず、腸には『第二の脳』とも呼ばれる多様な働きがあると言われています」と話す野崎医師は、その働きについてこう説明します。

「腸にはたくさんの神経細胞があり、独自の神経ネットワークを持っています。腸を通過する多彩な物質の情報をキャッチし、病気の原因になりそうな微生物を退治するように働くこともあります。しかも、病原菌が感染すると、脳では不安感が増すという報告もあります。

つまり、腸と脳はお互いに情報の伝達、情報の交換を行っていて、影響を与え合う関係にあるというわけです。これを『脳腸相関』と呼びます。

ストレスがあると便秘や下痢をするといったことはよく知られていて、これは脳から腸への影響ですが、近年、逆方向の、腸から脳への信号による影響があるのではないかとして研究が進んでいます。生体の状態や必要に応じて、腸は脳に指令をくだすこともあり、むしろ、腸こそが『第一の脳』といえるかもしれないという考え方です。そして、脳腸相関の背景には、腸内フローラが関わっていることが明らかになってきました」

「脳腸相関」のカギを握る腸内フローラ

腸のなかにいる細菌たちが非常に重要な働きをしていることが注目されます。野崎医師は、最新の研究結果についてこう解説します。

「マウスを使った研究などから、腸内フローラの状態、腸内にどんな細菌がいるかでストレスに対しての抵抗力が左右されて、不安な行動をとったり、大胆な行動をとったりすること、また、不安や苦悩を感じる『感情の反応』に影響があるという報告があります。腸内細菌が脳の働きや性格にまで影響を与えるということです」

では、腸内細菌は、どのようなしくみで脳に対して影響を与えているのでしょうか。

「自律神経を通じて信号を送るルート、免疫細胞がつくり出す物質によるルートが考えられます。そして、いま最も関心が集まっているのは、腸内細菌がつくり出す代謝物質によるルートです。

腸内細菌はいろいろな代謝物質をつくり出しますが、その種類によって、脳の中でつくられる神経伝達物質の種類が変わってきます。『腸内細菌が脳を育てる』とする研究者がいますが、それはつまり、腸の環境こそが脳の状態を左右するという意味合いです。

望ましい腸の環境とは、たくさんの種類の腸内細菌がいること、腸内フローラを健康に保つことであり、体だけではなく、心の健康につながると考えられるわけです」と野崎医師。

食事をはじめとする生活習慣が腸内フローラを健康に保つ

腸が脳に影響を与えるのであれば、ストレスや考え方、はたまた性格をなんとかしたいときに、まずは腸の心配をしたほうがいいということでしょうか。野崎医師は、次のように説明をします。

「まだ研究途上ですが、不安やストレスが強い、また、自分の考え方や性格が気になるときには、リラックスをする時間を持ちつつ、発想を転換して、腸内フローラの状態が悪化している可能性を考えてみるのもよいということです。腸内フローラを整えることで、これらを変化させようという研究は続いています。そして、健康な腸内フローラを保つために、食事や睡眠といった生活習慣を見直してみましょう」

そのために、野崎医師は次のチェックポイントを挙げます。

(1)食物繊維や発酵食品をたっぷりとる

腸内細菌のエサとなるのは「食物繊維」であることがわかっています。食物繊維が豊富に含まれる野菜、海藻、きのこ類、豆類、穀類をバランスよくとりましょう。また、ヨーグルト、納豆などの発酵食品をとることも有用です。

(2)運動を習慣にする

ウォーキングなどの運動習慣が腸内フローラを改善することがわかっています。

(3)体内時計に即して睡眠を充実させた生活を

腸内フローラも体内時計に応じて活動しています。朝食抜きや遅い時間の夕食、睡眠不足など、生活リズムの乱れを避けましょう。

ストレス、イライラ、性格のありようは、実は腸内環境が原因かもしれないということです。もしそうであれば、まずは、腸内フローラをきれいに咲かせることをイメージし、腸によい生活を心がけたいものです。それは実にシンプルな対処法であり、少しでも快適に暮らすための新たなヒントになるのではないでしょうか。

取材・文 ふくいみちこ×ユンブル

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監修者プロフィール 
取材協力・監修
野崎京子氏。心身医学・ペインクリニック・麻酔科専門医。京都大学医学部卒。国立京都病院、大阪赤十字病院、住友病院などを経て、現在、心療内科・ペインクリニックの野崎クリニック院長。著書に『心療内科女医が教える 人に言えない不安やストレスと向き合う方法』(マガジンハウス)。
野崎クリニック 大阪府豊中市新千里南町2-6-12

野崎京子医師ご監修による、次の記事も参考になさってください。
心療内科医が教える。不安や憂うつで眠れないときの8つのケア法
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↑野崎京子医師の著書『心療内科女医が教える 人に言えない不安やストレスと向き合う方法』(マガジンハウス)

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