《臨床内科専門医に聞く》下剤?食物繊維?「腸ストレス」改善の方法、これは正しい?

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最近、「腸活」という言葉をよく耳にします。精神的なストレスや緊張が高まると便秘や下痢をすることがありますが、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長は、「それは腸の機能にもストレスがかかっていることが原因です。便通がないとすぐに薬を飲んだり、食物繊維をたくさんとったりする人が多いのですが、その方法が正解ではないケースも多いのです」自己流の腸ストレス改善法で間違ったことをしていないか、正木医師に聞いてみました。

(1)毎日便が出なかったら下剤を使う

正木医師: ×です。毎日排便があるのが正しい便通と考えている人は多いようですが、おなかが苦しい、気分が悪いといった症状がなければ1・2日は排便がなくても大丈夫でしょう。むしろ、「今日は排便がない」と気にしすぎてそれがストレスになり、ますます排便リズムが乱れることがあります。そして、1日排便がないからと、すぐに薬を使おうとせず、まずは食事の量と内容を見直すとともに睡眠不足やストレス、冷えなどがないか振り返ってみることが重要です。

(2)クセになりそうだから、下剤は飲まない

正木医師: ×です。便秘薬には、「腸を刺激して腸のぜん動運動を促して排便に導く刺激性下剤」、「便が腸の水分を吸収・保持し、量を増やして排便を促す膨張性下剤」、「腸から吸収されにくい塩類を多量に服用し、便に水分を含ませて柔らかく膨張させる塩類下剤」などがあります。

このうち刺激性下剤の場合は、長く服用すると腸が刺激に慣れて効きづらくなり、服用量が増えていきます。これが「クセになる」という状態です。また、おなかが痛くなりやすいという特徴もあります。よく効くからといって刺激性下剤を我慢して服用する人や、逆に、クセになるのは嫌だからといって薬をまったく利用しない人も多くいます。

もっとも自然な排便に近いのは、膨張性下剤です。排便までには刺激性下剤より少し時間がかかりますが、「おなかが痛くない」、「クセになりにくい」タイプでもあるので、様子を見て利用するとよいでしょう。

(3)便秘になったら食物繊維をたくさんとる

正木医師: △です。サツマイモやゴボウ、玄米、キノコ、豆類など、食物繊維が多いものをたくさんとれば便秘が治ると思っている人は多いようです。これらの食品に含まれる「不溶性食物繊維」は、便の量を増やし、腸を刺激するため便意を促す作用があります。しかし、腸がねじれて便が通りにくい場合や、出口の近くにある直腸に便が詰まっている状態で食物繊維をとりすぎると、便の量が増えてかえっておなかが張り、苦しくなることがあります。

また、便秘と下痢を交互にくり返す「けいれん性便秘」の場合も、食物繊維をとりすぎるとサイクルが激しくなります。

先に挙げたサツマイモやゴボウ、玄米、キノコ、豆類には不溶性食物繊維が多く含まれます。一方、リンゴや海藻類、納豆などには水溶性食物繊維が含まれます。日ごろの食事で、このどちらかに偏ることなく、両方をバランスよくとるようにしましょう。

(4)便秘と下痢をくり返すので、多少排便がなくても気にしない

正木医師: ×です。便秘と下痢をくり返す人は、便秘が続いても、「そのうち下痢になって排便できるから」と、なんの対処もしないことがよくあるようです。しかしこれは「けいれん性便秘」の疑いがあり、心身のストレスが腸に悪い影響を及ぼしているという可能性が高くなります。放っておいてはいけません。

けいれん性便秘の場合は、なによりもストレスの改善を第一に考えてください。精神的・肉体的に強いストレスがかかっていることが原因なので、ゆっくり休養を取る、栄養バランスが良い食事をとる、軽い運動する、趣味の時間を持つなどしてストレスと向き合うことから始めましょう。

(5)腸内フローラを整えるために、ヨーグルトを食べる

正木医師: ○です。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えると考えられています。また、腸内フローラの状態は毎日変化するため、毎日100グラムほどを継続して食べると良いでしょう。

もし苦手な場合は、ヨーグルトにこだわる必要はありません。乳酸菌はチーズや発酵バターにも含まれています。ただし、「発酵」と名のつかないバターには含まれていないのと、これらを食べすぎるとカロリーオーバーになるので、注意が必要です。

さらに、乳酸菌は、ぬか漬け、キムチ、ザーサイ、醤油、味噌、納豆にも多く含まれているので覚えておきましょう。

便秘になったら下剤を飲めばいい、といった方法は短絡的なようです。また、日ごろのストレス、睡眠不足や冷え、食事時間が不規則、栄養バランスが悪いなどは、腸にとってもストレスで腸内環境を悪化させているということです。まずはこれらを改めて、乳酸菌食品を毎日食べるといった、適切な腸活を始めたいと思います。

取材・文 堀田康子 × ユンブル

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取材協力・監修
正木初美氏。日本臨床内科医会専門医、大阪府内科医会理事、日本内科学会認定医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、正木クリニック院長。内科、リハビリテーション科とともに、更年期外来、禁煙外来、漢方治療を行っている。正木クリニック 大阪府大阪市生野区桃谷2-18-9

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