《糖尿病専門医が教える》医学的に健康な減量法。1カ月で1センチの「腹やせ」で内臓脂肪1キロ減!

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「やせ型でおなかがぽっこり出た人」と、「がっちり型で体重はそれなりにあるけれど、おなかは出ていない人」では、どちらが病気になりやすいのでしょうか。糖尿病専門医で臨床内科専門医でもある福田正博医師は、「心筋梗塞や脳梗塞の原因になるのは、前者です。出っぱったおなかは体重に関係なく、健康にとって悪影響である内臓脂肪が溜まっているからです」と話します。その理由と「腹やせ」の方法について、詳しく聞いてみました。

内臓脂肪が、糖尿病、高血圧、脂質異常症の原因に

福田医師は内臓脂肪が健康に悪い影響を与える理由について、次のように話します。

「脂肪には、内臓脂肪皮下脂肪の2種類があります。自分はどちらが多いか、脂肪の種類を判別するには、おなかをつまんでみることです。

胸の下から突き出ていて脂肪がつまめない、また、たたくとポンポンと音がするいわゆる太鼓腹の場合は内臓脂肪です。おなかの奥の内臓に脂肪がからみつくようにたまっています。男性に多いタイプです。

一方、指でおなかや二の腕、内ももなどの肉がつまめる場合は、皮下脂肪です。女性に多いです。

内臓脂肪からは、悪玉ホルモンのアディポサイトカインが分泌されています。これは、血糖値をコントロールするすい臓から出るホルモンのインスリンの働きをさまたげ、動脈硬化を進行させるように働きます。

また、動脈硬化を予防する善玉ホルモンのアディポネクチンもありますが、これは悪玉が増えると減少します。やがて糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病を引き起こし、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などの重篤な病気の原因となります」

そういった病気になるサインはあるのでしょうか。

「メタボリック・シンドロームの診断基準の1つである、おなか周りのサイズが85センチの場合、内臓脂肪の面積は100平方センチメートルになり、すでに動脈硬化が進んでいると推定できます」(福田医師)

内臓脂肪1キログラムは、7,000キロカロリーに相当

福田医師は、『糖尿病は腹やせで治せ』(アスキー新書)などの著書で、健康のための減量法として、「腹やせ」を提唱しています。その具体的な方法を教えてもらいましょう。まず、目標の設定について、こう説明をします。

「内臓脂肪は、実は落としやすいこともわかっています。腹やせを実践すると、悪玉ホルモンの分泌が抑えられますから、生活習慣病の予防のために『腹やせ』は重要です。

はじめに、腹やせの目標を1カ月で1センチと設定しましょう。『たった1センチ!?』と驚かれ、『自分なら3センチは軽くやせられる』とおっしゃる患者さんは多いのですが、そんなふうには考えないでください。1カ月で1センチの腹やせを定着させることが重要であり、3センチなどとがんばると翌月には4センチ増えることになりかねません」

次に福田医師は、1センチの「腹やせ」について、「それが実現すると、内臓脂肪が1キログラム減ったと考えます。内臓脂肪1キログラムのエネルギーは、7,000キロカロリーに相当します。これを1カ月の日数である30日で割ると、1日あたり約230キロカロリーを減らせばよいことがわかります」と解説を続けます。

夕食のごはんを半膳にして、早歩き30分で『腹やせ』が実現する

1日に230キロカロリーを減らすというと、ちょうどお茶碗にごはん1膳ぐらいの量になります。毎日1膳を減らすといいのでしょうか。福田医師は、その方法についてこうアドバイスをします。

「毎日ごはん1膳を減らすのはしんどいことです。1週間から10日もすると、自然に自分の体を飢餓状態から守ろうとするホメオスタシスという力が働き、代謝が悪くなってやせにくくもなります。ですから、食事だけではなく、運動とのセットで約230キロカロリーを減らすようにしましょう。

1日
夕食のごはんをお茶碗に半膳 or パン半分 or スイーツ半分を減らす 
+ 早歩きを約30分 or 普通の速度なら40~50分を実践

これで230キロカロリーになります。コツは、多めに食べたり、ウォーキングができなかったりした場合は、休日に多めにウォーキングをして、1週間単位で運動量によってコントロールすることです。一食抜くなど食事の量で調整しようとすると、その後にまた食べたくなってリバウンドの可能性が高くなります。運動量で加減をしましょう」

内臓脂肪1キログラムが7,000キロカロリー相当だという数字にまず驚きました。1カ月で1センチの「腹やせ」でそれだけのカロリーが燃焼できるという数値目標はわかりやすく、また覚えやすくもあって、これなら実行できそうと前向きな気分になりました。さっそく開始しましょう。

取材・文 品川緑/ユンブル

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取材協力・監修
福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。臨床内科専門医。大阪府内科医会会長。日本臨床内科医会副会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、分かりやすく面白い講演でも定評がある。
医療法人弘正会 ふくだ内科クリニック

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↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)

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↑『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』(福田正博 アスキー新書)

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