糖尿病専門医が警告。頻繁に起こる足のつりは、糖尿病のサインかも!?

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寝ている最中に突然、ふくらはぎの筋肉がつって飛び起きた経験はありませんか 足のつり(こむら返り)は、筋肉の痙攣(けいれん)が治まるまでは痛くて動くこともままならず、つらいものです。一般に、過剰な運動や疲れがたまって体力が落ちているときなどに起こりやすいと言われますが、糖尿病専門医で臨床内科専門医でもある福田正博医師は、「頻繁に足がつる場合は、糖尿病の可能性もあります」と指摘します。糖尿病と足のつりの意外な関係について、詳しく聞いてみました。

糖尿病の三大合併症「神経障害」で足がつる

福田医師はまず、糖尿病について、
「糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度を示す血糖値が高くなる病気です。『高血糖』の状態が続くと、全身の大小の血管や臓器を傷つけ、体のあちこちにさまざまな合併症を引き起こします。また、動脈硬化から心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞をまねく要因になります」と切り出します。

次に、糖尿病の合併症について、福田医師は具体的にこう指摘をします。

「糖尿病の三大合併症として知られているのが、全身の神経に故障を起こす神経障害、眼底出血を起こす網膜症、腎臓の機能が衰える腎症です。これらは『しめじ』と覚えておきましょう。『し……神経障害』『め……目(網膜症)』『じ……腎臓(腎症)』です。糖尿病と診断されたにも関わらず、高血糖を放置していると、『し・め・じ』」の順に合併症が出現しやすくなります。

もっとも早く自覚症状が現れる神経障害は、個人によって違いはありますが、早ければ糖尿病を発症してから3年程度で起こることもあります。

神経障害の症状としては、『足の先がしびれたような感じがする』、『足の裏がじんじんしびれる』、『足の裏に紙が貼りついている感覚がある』、『皮膚(ひふ)に虫が這(は)っているような感覚がする』、『手足の先が冷たい。もしくは熱い』など、実にさまざまですが、初期のころには、『睡眠中など安静にしているときに足がつる』ということもしばしば見られます。

糖尿病の患者さんの場合、足のつりは『糖尿病性神経障害』の症状のひとつと言えますが、逆に見れば、足のつりが頻繁であれば糖尿病を疑おうというサインでもあるわけです」

神経障害で筋肉が異常に収縮して足がつる

では、神経障害と足のつりはどう関係しているのでしょうか。福田医師は次のように説明を続けます。

「体の末端まで伸びている末梢神経には、痛みなどを感じる感覚神経と、筋肉を動かす運動神経、血圧や体温、内臓の働きなどを自動的にコントロールする自律神経の3つがあります。

足のつりは、運動神経の働きの乱れと深く関係しています。高血糖の状態が続くと、神経細胞内にソルビトールという糖がたまり、刺激を伝える神経細胞の働きが失われて、神経障害を引き起こします。

また、神経に栄養を届ける血管が傷ついて血流不良になることや、神経を構成しているタンパク質にブドウ糖がくっついて変性することがあります。こうして神経の働きに障害が生じると、筋肉が異常な収縮を起こして足がつると考えられます」

糖尿病予備群の人もチェックシートで足を確認

では、糖尿病による足のつりを放置しておくと、どうなるのでしょうか。福田医師は、こう警告をします。

「神経障害のなかでも、足のつりは、先にお話したように比較的初期に現れるので、早期の段階で適切に治療することが重要です。症状の程度が軽いからといって放置していると、悪化が進んで治らなくなります。これが糖尿病性神経障害の怖いところです。

たとえば、感覚神経が侵されると、しびれから激痛へ、そして神経が壊死して無感覚になります。すると、石ころが靴の中に入っても、切り傷ややけどを負っても、みず虫が悪化しても気づかず、潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ。組織が腐ること)へと進行し、最悪の場合、足を切断せざるを得なくなることもあります」

福田医師はここで、日本糖尿病対策推進会議(日本医師会・日本糖尿病学会・日本糖尿病協会の三者で設立)が発行する「足チェックシート」を紹介し、「こうした事態を防ぐためにも、糖尿病の患者さんや糖尿病予備群の人は、自分の足に異常がないかをチェックしましょう」と話します。

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↑複数の医学会で構成される「日本糖尿病対策推進会議」が使用を推しょうする「足チェックシート」

「たかがこむら返り」と軽く見ていると重篤な事態をまねくことになるというわけです。福田医師は、足がつったときの応急処置についてこうアドバイスをします。

「ふくらはぎがつったときは、つったほうの足の膝(ひざ)を片方の手で押さえて、もう一方の手で足の指全体をつかみ、すねに向けてゆっくりと曲げましょう。すると筋肉が伸びて少しずつ痛みが和らいでいきます。足の甲や指がつったときは、その部分を手でそっとさすって伸ばします。

冷えや水分不足による血流不良も足のつりの要因となるので、予防策として、寝る前に足全体のストレッチをする、またコップ1杯の水を飲むとよいでしょう。また、アルコールは神経障害を悪化させるので、ひかえるようにしましょう。

もっとも、糖尿病が原因で足がつる場合は、なによりも糖尿病を治療する必要があります。神経障害は初期のうちであれば、血糖のコントロールを行えば元に戻ります。

血糖値が改善して安定すると足のつりをはじめ、足の痛みは起こらなくなります。早めにかかりつけ医に足の状態を説明し、相談をしてください。

糖尿病予備群の人の場合、健康診断で『血糖値が高い』と注意を受けても放置している人が少なくありませんが、高血糖はじわじわと全身にダメージを及ぼしますから、決して放っておかないでください。

健康な場合は、睡眠中などの安静時に足のつりが頻繁に起こることは、そう多くはないでしょう。足のつりは、糖尿病のほか、脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症、椎間板(ついかんばん)ヘルニア、閉塞性動脈硬化症、甲状腺機能低下症、腎疾患、脳梗塞などの病気が原因で起こることもあります。

足のつりをくり返すという人は、これらの病気が隠れている可能性も考えられます。速やかに医療機関を受診しましょう」

ありふれたトラブルのように思える足のつりですが、実は深刻な病気のサインかもしれません。気になる場合は、できるだけ早めに医師の診断を受けてみましょう。

取材・文 城川佳子 × ユンブル

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取材協力・監修
福田正博氏。医学博士。糖尿病専門医。臨床内科専門医。大阪府内科医会会長。日本臨床内科医会副会長。医療法人弘正会・ふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)院長。著書に、『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)、『専門医が教える 糖尿病食で健康ダイエット』、『糖尿病は「腹やせ」で治せ!』(ともにアスキー新書)、『専門医が教える 糖尿病ウォーキング!』(扶桑社新書)、『専門医が教える5つの法則 「腹やせ」が糖尿病に効く!』(マガジンハウス)など多数。名医として知られる存在で、分かりやすく面白い講演でも定評がある。
医療法人弘正会 ふくだ内科クリニック

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↑福田正博医師の最新刊『糖尿病は自分で治す!』(集英社新書)

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↑『専門医が教える5つの法則 「腹やせ』が糖尿病に効く!』(福田正博 マガジンハウス)

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