【管理栄養士監修】和食に使われる「だし」でダイエット!

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2013年12月、日本人に欠かせない「和食」がユネスコ無形文化遺産に指定されました。和食には、だしが欠かせませんよね。昆布やかつお節に含まれるうまみ成分は、食事の満足感を高めて食べ過ぎを防いだり、脂肪の蓄積を防いだりと、ダイエット効果も期待されています。そこで、美味しいだけではないだしの魅力を、管理栄養士である筆者がお伝えします。

だしの「うま味」とは? 何に含まれる?

うま味とは、5大基本味(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)のひとつであり、他の味を混ぜては作れない独立した味です。他の基本味に比べて、うま味は舌の広い範囲で感じることができ、長く舌に残り、唾液の分泌を促すという特徴があります。

うま味物質は主に3つあります。

<グルタミン酸>…アミノ酸の一種

昆布、海苔、たまねぎ、えんどう豆、あさり、チーズ、トマト、ブロッコリー、しめじ、白菜など多くの食品に含まれますが、一般的に動物性食品よりも植物性食品に多く含まれます。

<イノシン酸>…核酸の一種

かつお節、煮干し、あじ、さんま、鶏肉、豚肉、牛肉など、動物性食品に多く含まれます。

<グアニル酸>…核酸の一種

乾しいたけ、松茸、生しいたけなど、特にきのこ類に多く含まれます。

この3つのうま味物質を、ただ増やすだけではうま味の効果は上がりませんが、アミノ酸系と核酸系のうま味物質を合わせて使うことにより、うま味を増強することができます。例えばグルタミン酸とイノシン酸が合わさると、そのうま味は単体のときの約7~8倍にもなります。これを「うま味の相乗効果」といいます。

このうま味の相乗効果は、和洋中問わず、昔から料理に生かされてきました。

和食 一番だし     かつお節×昆布
洋食 フォン・ブイヨン 肉×セロリ・たまねぎ・にんじん
中華 湯(タン)    鶏肉・ホタテ貝柱×白菜・ねぎ   などが良い例です。

肉や魚の動物性(主に核酸)の材料と、野菜などの植物性の材料(主にアミノ酸)を組み合わせると美味しい、と昔の人は経験的にわかっていたのですね。

だしでダイエットができる? だしと健康の関係

だしは美味しいだけではなく、ダイエットにも効果的です。私たちの健康を支えてきた、だしの秘密のパワーについても、さまざまな研究でわかってきていますのでご紹介します。

<脂肪の蓄積を抑える>

ILSI Japan(日本国際生命科学研究機構)が立ち上げた研究部会の研究によると、高脂肪食で飼育しているラットの皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積は、グルタミン酸を摂取することで抑制できることがわかりました。

また、かつお節に含まれるヒスチジンが、内臓脂肪を分解し、体熱の産生をすすめて体重の減少につながることが報告されています。

<食欲を抑える>

英国の実験でも、うま味が食事の満足感を高め、食欲を抑えるということが報告されました。この実験では、27人の被験者を2つのグループに分け、同じ朝食をとった後、昼食の45分前に、グルタミン酸とイノシン酸が入っているスープを片方のグループに、もう片方には両方とも入っていないスープを飲んでもらったそうです。

その結果、うま味の入ったスープを飲んだ被験者は、満腹感を得たため、昼食の摂取量が減ったとのことです。
また、かつお節に含まれるヒスチジンも食欲の抑制につながることが報告されています。

食欲が止まらない…体脂肪や体重増加が気になる…そんなあなたは、早速だしを普段の食事に摂り入れてみてくださいね。

<血圧を下げる>

塩分を摂り過ぎると、血液中の塩分濃度を下げるためにたくさん水分を摂ってしまう傾向があります。すると、血液量が増加し、心臓から送り出される心拍出量が増えることで、血圧が上がってしまうのです。だしをきかせると、調味料の量が少なくても美味しく感じるため、減塩することができます。

<消化を助ける>

ロシアの実験でも、犬の餌にグルタミン酸を含むうま味物質を加えて与えてみたところ、胃液分泌を促すことがわかりました。また、消化能力の低下した慢性萎縮性胃炎の患者に、グルタミン酸ナトリウムを加えた食事を摂らせてみたところ、胃酸分泌能力が改善されたとのことです。

最近の研究からも、グルタミン酸は食事に含まれる栄養素に依存し、胃から腸へと食物を運ぶバランスを調整して、消化効率を上げているという可能性が示されつつあります。

<疲労回復>

味の素株式会社の研究によると、激しい運動をしたあとに、水、抗疲労効果のあるといわれているアンセリン、カルノシン、かつおだしのいずれかを与えたときに、動物がどれだけ自発的に運動するかを測ったところ、かつおだしそのものを与えたグループが、最も自発運動量が高く、かつおだしには疲労回復効果があるということが示されました。

日本人にとって身近なだしのパワー、すごいですね。

簡単! だしの摂り入れ方

だしとダイエットや健康との関連はわかったけれど、毎日だしをとるのはハードルが高いという方もいるかもしれません。そこで、正しいだしの取り方ではなく、簡単なだしの取り方をご紹介します。

<具材と一緒に煮込む>

薄削り(花かつお)よりも、厚削りのかつおの削り節の方が濃厚なうま味が出ます。スープや味噌汁などの具材と一緒に昆布と厚削り節を2~3枚入れて5分ほど煮込んで味付けするだけでも美味しいですよ。

<冷蔵庫で水だし>

麦茶ポットのような容器に昆布とかつお節(または煮干し)と水を入れて、冷蔵庫に一晩置くだけで美味しいだしがとれます。ポケットがついているものだと、だしの素が取り出しやすいですよ。

<水筒で作る>

水筒にお湯+かつお節+塩や醤油を少々入れる。これだけで外出時も、美味しいかつおだしがいただけます。また、かつお節を事前にミルもしくは手で細かく砕いておくと、かつお節の栄養素が丸ごといただけます。

だしを取らなくちゃ…と身構えると大変に思えてしまうかもしれませんが、やってみると意外と簡単なので、まずは試してみてくださいね。

日常的にだしを摂り入れて美味しく健康的にダイエットしましょう!

【参考】
農林水産省|「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました!
http://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/ich/
かつお節塾|株式会社にんべん
https://www.ninben.co.jp/katsuo/katsuobushi/eiyo/
うま味について|味の素株式会社
https://www.ajinomoto.com/jp/rd/reserch_output/umami/
日本食からみる発酵食品の多様性と日本人の健康―肥満を中心に|日本調理科学会誌(2010)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/43/2/43_131/_pdf/-char/ja
「うま味」には食欲を抑える作用がある 海外で和食が注目される理由|日本医療・健康情報研究所
http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2014/003730.php
12月 血圧を上げないための生活習慣!|全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat510/h26/261201
かつおだしに新しい疲労回復効果〜かつおのパワーの秘密を探る!〜|味の素株式会社
https://www.ajinomoto.com/jp/presscenter/press/detail/2003_05_08_1.html
ドクタークロワッサン
『クロワッサン特別編集だしの本』鉄尾修一編(マガジンハウス)

海老沢直美
海老沢直美
生理前の不調(PMS)改善カウンセラー・管理栄養士

管理栄養士としてレストランやスポーツの現場で選手の栄養サポート及び健康指導に従事。病院給食勤務、特定保健指導を経て現在は、PMS(月経前症候群)に悩む方へ食事カウンセリングを行う。高校生から13年悩んでいた自身のPMSを「食×睡眠×心」で心身共に楽にした経験を活かし、望む人生を送る女性のサポートをしている。昭和女子大学卒。
海老沢直美「生理前を楽にする方法」
公式ブログ

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