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《消化器内視鏡専門医に聞く》頻繁に起こる足のつりは消化器系の病気のサイン?

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なんの前ぶれもなく足がつって、痛みでしばらく動けないことがあります。ふくらはぎや足の指に起こることが多いことから、原因は足の筋肉にあると思いがちですが、消化器内視鏡専門医・臨床内科専門医で漢方専門医でもある吉田裕彦医師は、「頻繁に足がつる場合、糖尿病や腎臓の病気などが隠れていることがあります。とくに見落とされがちなのが、消化器系の病気です」と指摘をします。詳しいお話を聞いてみました。

下痢が続いて頻繁に足がつるときは胃腸の病気かも

はじめに吉田医師は、消化器とはどの臓器を指すのかについて、こう説明をします。

「食べ物の消化や吸収に関係する臓器を消化器といいます。食道から胃、十二指腸、小腸、大腸までの消化管と、消化・吸収を助ける胆嚢(たんのう)、肝臓、すい臓などの臓器が消化器にあたります。

消化器系に不調が起きると、食欲不振、おう吐、胃もたれ、腹痛、下痢、便秘などのおなかの不調が現れます」

では、頻繁に足のつりを引き起こす場合には、消化器系ではどのような病気が隠れているのでしょうか。

「具体的な病気としては、暴飲暴食や食あたりなどで下痢を起こしたときのほか、胃炎慢性肝炎肝硬変など肝臓の病気、急性すい炎慢性すい炎などすい臓の病気、潰瘍(かいよう)性大腸炎という大腸の粘膜に慢性的な炎症が起きて潰瘍ができる原因不明の病気、クローン病というすべての消化管にも慢性の炎症が起こる原因不明の病気などが挙げられます。

また最近、若い男性を中心に増えている、IBSと呼ばれる過敏性腸症候群も考えられます。これは、ストレスや自律神経のバランスの乱れが原因で、刺激に対して腸が過敏な状態になり、便秘や下痢をくり返す病気です。IBSなどによって下痢が続くと、足がつりやすくなります」と吉田医師。

頻繁に足がつる場合は、下痢を伴う消化器系の病気を疑う必要があるようです。

「血液中の電解質のバランスの乱れ」と「脱水」が原因

なぜ、下痢が続くと足がつりやすくなるのでしょうか。吉田医師は、次のように解説をします。

「足のつりは、ふくらはぎの筋肉がけいれんして過剰に収縮して起こることから、医学的には『腓腹筋(ひふくきん)けいれん』と呼びます。腓腹筋とは、ふくらはぎのことです。

腓腹筋けいれんが起こる原因としては、運動による疲労、血流不良など複数ありますが、下痢との関係でとくに重要なのが、『血液中の電解質のバランスの乱れ』と『脱水』です。

電解質とは、水に溶けて電気を通すイオンのことで、体内の水分量や細胞の浸透圧を一定に保つほか、神経の伝達や筋肉を動かすことなどに深く関わっています。

筋肉の細胞が正しく働くためには、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、水素の各イオンのバランスが保たれていることが必要です。健康な人であれば、過剰なイオンは尿や汗を通じて排出され、電解質のバランスは常に一定に保たれています。

ところが、下痢をすると、大腸で水分の吸収が十分に行われなくなるため、体内の水分と電解質が多量に失われる『脱水』をまねきます。その結果、血液中の電解質のバランスが乱れて、筋肉のけいれんや過剰収縮が起こりやすくなるのです」

お酒を飲んだときはさらに注意を

お酒を飲んだ後におなかがゆるくなることがありますが、吉田医師はそれについても警告をします。

「脱水と関連して、『お酒を飲み過ぎたあとは下痢ぎみになる』という人は、足のつりに注意が必要です。アルコールには利尿作用があるので脱水をまねきやすいのです。

そのうえ、飲んで無防備になって体が冷えることもあるでしょう。そうすると血流が悪化して足のつりを起こす条件が重なり、いっそうと体内の水分や電解質が失われます」

それはどきっとする情報です。

水分補給をして、ほかの病気を確認する

下痢が原因の足のつりを予防するには、どのような対策があるのでしょうか。吉田医師は、こうアドバイスをします。

「まずは、下痢によって失われた水分と電解質を補給することが重要です。白湯や、カロリーオフタイプのスポーツ飲料、経口補水液、イオン飲料、クエン酸飲料などが水分補給に適しています。就寝中の足のつりを防ぐために、寝る前にコップ1杯程度の水分をとっておきましょう。

ただし、消化器の病気が根本の原因である場合は、その病気を治療する必要があります。足のつりは、消化器系の病気のほか、はじめに述べた糖尿病や腎臓の病気、また、甲状腺機能低下症、閉塞性動脈硬化症、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、椎間板(ついかんばん)ヘルニア、脳梗塞などの病気が原因で起こることもあります。頻繁に起こる場合は、早めに医療機関を受診しましょう」

足のつりの原因は、足の筋肉の状態だけではないことがわかりました。水分補給を十分にしながら、くり返すときは胃腸の調子や体調を見つめ直す機会だととらえて注意をしつつ、医師に相談したいものです。

取材・文 城川佳子、藤井空 / ユンブル

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取材協力・監修
吉田裕彦氏。 臨床内科専門医。消化器内視鏡専門医。漢方専門医。糖尿病療養指導医。大阪府内科医会理事。八尾市医師会副会長。医療法人朋侑(ほうゆう)会・吉田クリニック院長。
医療法人朋侑会・吉田クリニック:大阪府八尾市山本高安町2-1-3

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