《薬剤師監修》あなたの耳鳴りはどこから? 体質別おすすめ養生法

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皆さんは、耳鳴りを経験したことがありますか? 年齢を重ねていくと耳鳴りが起こりやすいといわれていますが、耳鳴りの種類はさまざまあり、若い人でも起こり得る症状なのです。

耳鳴りは、現代医学では原因の特定が難しく、放置することで修復が不可能になることもあるため、早めの治療や養生が必要です。そこで今回は、中医学の観点を含め、体質別の養生法をご紹介します。

耳鳴りはどうして起こるの?

キーンという高い音、逆にボォーという低い音、あるいはザァーという騒音のような音など、耳鳴りの種類はさまざまで、いきなり起こることや、長い時間鳴り続けることがあります。それではなぜ、これらのような音が耳の中で鳴り響くのか。それは、鼓膜よりも奥にある内耳の聴覚器官が関係してきます。

その聴覚器官は「蝸牛(かぎゅう)」とよばれ、そこには音を感知する有毛細胞があり、有毛細胞の毛が折れたり抜け落ちたりすることで、耳鳴りや難聴が起きるのです。
原因としては、ストレスや疲労、加齢によるものから、原因がわからない異常によるものまであります。

めまいや難聴を伴う耳鳴りに要注意!?

一般的に、耳鳴りは一時的ですぐに直るものが多いですが、放置すると慢性化し悪化することもあります。また、めまいや難聴を伴う場合は、「メニエール病」や「突発性難聴」といった病気が疑われます。

メニエール病は、更年期の女性に多い病気です。耳鳴りが突然始まり、10分から数時間で治まりますが、ぐるぐる回っているようなめまい(回転性めまい)を生じます。これが繰り返し起こります。

一方、突発性難聴はストレスや疲れがたまっている人に起こりやすく、片耳が聞こえなくなることが多いです。難聴の前後に耳鳴りが起こり、めまいや吐き気を催すこともあります。
これらのような症状が出た場合は、直ぐに医療機関へ受診しましょう。

あなたはどの耳鳴りのタイプ?

中医学的な観点では、さまざまある耳鳴りの症状は体質に応じて大きく次の4タイプに分けることができます。自分に合った養生をするには、まずご自身がどの耳鳴りのタイプに当てはまるかを知ることが大切です。

1.肝鬱(かんうつ)タイプ

強い高温の耳鳴りが起こる方、ストレスをため込みやすい方に当てはまります。突発性難聴に伴う耳鳴りもこのタイプです。
「肝」は自律神経を調節して、ストレスを発散する役割を担っています。肝が不調だとストレスがたまり、陽気がスムーズに流れなくなります。そうすると、陽気の通り道である穴、つまり、耳に障害がでてしまうのです。

2.痰湿(たんしつ)タイプ

更年期の女性に多く見られます。肥満でむくみやすい方、胃のむかつきや口の中が粘つく方に当てはまります。メニエール病に伴う耳鳴りもこのタイプです。
痰湿とは、体内の余分な水分の汚れで粘りがある集合体のことです。胃腸の機能が弱まると、水分代謝がうまくいかず、身体に余分な水が滞ります。これにより耳が詰まり、耳鳴りが生じます。

3.脾虚(ひきょ)タイプ

疲労や体力不足の時に起こりやすく、立ちくらみや倦怠感、食欲不振を伴う方に当てはまります。
脾胃は、栄養分や陽気を体中に運ぶ役割がありますが、慢性的な疲れや病後による体力低下で脾胃の働きが弱まると、気や血が全身に回らず耳鳴りを引き起こします。

4.腎虚(じんきょ)タイプ

夜中に耳鳴りが起こりやすく、低温の耳鳴りが鳴り続くなど、症状が慢性化している方に当てはまります。老化に伴う耳鳴りのため、聴力の低下や物忘れ、めまいも起こることがあります。

腎の陽気は、全身の陽気の源ともいわれ、腎に蓄えられている「精」(生命エネルギー)によってつくりだされます。この「腎精」は、年をとると低下し陽気が十分に身体を回らなくなります。結果、耳鳴りを引き起こすのです。

タイプ別、自分に合った養生法とは?

ここからは、紹介した4つのタイプ別におすすめの食養生法や漢方をご紹介していきます。

1.肝鬱(かんうつ)タイプ

食養生法:ストレスによって肝にたまった熱を鎮めるために、涼性(身体の熱を冷ます性質)の食べ物を摂りましょう。セロリやトマト、緑茶などがあげられます。

漢方薬:肝の流れをスムーズにする「抑肝散(よくかんさん)」や「釣藤散(ちょうとうさん)」がおすすめです。

他にも、ご自身に合ったストレス発散方法を探しておくのも良いかもしれません。

2.痰湿(たんしつ)タイプ

食養生法:血や水の流れをスムーズにし、余分な水を身体から取り除く食べ物を摂りましょう。ネギやハトムギ、しじみ、緑豆などがあげられます。

漢方薬:ついつい暴飲暴食をしてしまう方には「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」、逆に食欲不振でめまいがする方には「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」がおすすめです。

3.脾虚(ひきょ)タイプ

食養生法:脾胃の機能を改善し、体力をつける食べ物を摂りましょう。米や大豆製品、いんげん、そら豆などがあげられます。

漢方薬:気を補い脾を健やかにする「六君子湯(りっくんしとう)」や、さらにお腹を温める作用もある「人参湯(にんじんとう)」、「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」がおすすめです。

4.腎虚(じんきょ)タイプ

食養生法:腎を養い、耳にまで栄養を届けられるよう腎精を補う食べ物を摂りましょう。クルミやクコの実、松の実、黒ゴマ、山芋などがあげられます。

漢方薬:腎の機能を高める「六味丸(ろくみがん)」や、さらに肝の機能も高める「耳鳴丸(じめいがん)」がおすすめです。

今回ご紹介した養生法の他にも、耳のマッサージや十分な睡眠、適度な運動など、日頃簡単に行えることは多くあります。まずは自分のタイプ(体質や状態)を知り、日常生活や食習慣を見直すことから始めましょう。

文・杉岡弥幸 監修・森田博美

【参考】
OMRON|「耳鳴り」が教えてくれる難聴対策
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/48.html
All About|漢方による耳鳴りの対処法と漢方薬
https://allabout.co.jp/gm/gc/302632/
COCOKARA|耳鳴り
https://chuigaku-cocokara.jp/shoujou/2016/05/post_21.php

森田博美
森田博美
漢方薬剤師

都内の有名美容クリニックで漢方薬剤師として勤務した経験を活かし、セミナー、執筆、カウンセリング等を通じて女性の健康と美容に携わっている。現在はウィメンズ漢方( https://womens-kampo.co.jp)にて、妊活女性に対するカウンセラーとしても活躍中。
インスタグラム( https://www.instagram.com/romi1208/)や各種ウェブ媒体では、薬剤師の視点から美容やインナービューティについて発信を行う。ミスグランドジャパンに出場した経験を活かし、女性の健康的な美しさについてアドバイスを行っている。

漢方薬剤師 森田博美のウェブサイトhttp://romibalance.com

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