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【医師が解説】肩こりの症状とその改善方法とは?

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老若男女を問わず、肩こりに悩まされる人は少なくありません。近年、IT機器の普及に伴い、肩こりを訴える人は増え続ける傾向にありますが、肩こりは、現代病ではなく、江戸や明治時代の文学作品に登場するなど、日本人には昔からなじみのある症状です。

肩こりを改善するには、どんなことに気をつけて、どんな対処をしたらよいのでしょう。肩こり外来のある平沼整形外科クリニック、院長の平沼尚和医師にお話をうかがいました。

目次
肩こりに大きく関わる上半身の筋肉って?
肩こりを引き起こす原因とは?
年齢や性別でも変わる、主な肩こりの原因
頭痛やめまい、吐き気など 肩こりが原因で起きる症状とは?
ひどい肩こりを改善するには?

肩こりに大きく関わる上半身の筋肉って?

肩こりは、太古の昔、人間が二足歩行を始めたときから生じるようになったと考えられています。

重い頭を首、肩の骨と筋肉が支えるようになり、さらに肩には、両腕がぶら下がっています。このため、骨にも筋肉にも負荷がかかり、筋肉が緊張して血行が悪くなると、肩が「凝った」「張った」「痛む」「重だるい」といった症状が出てきます。

しかし、肩こりはあくまで自覚症状で、病名ではありません。では、肩こりに関わる筋肉にはどんなものがあるのか、上半身の筋肉を見ていきましょう。(図1)

まず、上半身の筋肉で一番大きいのは僧帽筋(そうぼうきん)です。首から背中にかけての表層部にある筋肉で、腕をつり下げている三角筋などとつながっています。それより腰の方に広がるのが広背筋です。

僧帽筋の深層部には、脊椎とつながる肩甲挙筋(けんこうきょきん)、菱形筋(りょうけいきん)などがあります。首には、胸鎖乳突筋、頭半棘筋(とうはんきょくきん)、頭・頸板状筋(けいばんじょうきん)などがあります。

(図1)
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首から肩の筋肉は、腕を吊っており、重さで筋肉が伸びています。これらの筋肉の血流が悪くなったり、筋肉に沿った血管や神経が締めつけられたりすると痛みが生じます。また、首の胸鎖乳突筋が緊張して、トリガーポイントとなる痛みが生じている場合、そのせいでも肩こりは生じます。

肩こりを引き起こす原因とは?

「肩こりを訴えて受診する患者さんたちの、その原因は実に様々です」と平沼医師。原因はひとつだけではなく、いろんな原因が絡まっていることが多いとのこと。肩こりは、大きく分けると、首や肩の筋肉が緊張して生じる場合、首や肩の筋肉まわりの神経や血管が病んで生じる場合とがあるそうです。いずれにせよ肩がこる原因には、下記のようなことがあげられます。

姿勢の悪さ、長時間の同じ姿勢
長時間同じ姿勢で作業していると、筋肉の緊張が生じます。昨今ではパソコン作業などが  代表的ですが、スマートフォンを見る際も、猫背の姿勢だと肩こりが生じやすくなります。

眼精疲労、視力調整の不具合
視力矯正のためのコンタクトや眼鏡の度数が合わないと、目の筋肉や神経に負担がかかり、その影響で肩こりになることも。同様に目の使いすぎでも肩こりが生じます。

寒冷、冷え性
寒いと肩が縮こまる姿勢になりがちです。また、寒さのせいで筋肉が緊張し、血管も収縮して血流が悪くなります。夏場でも冷房のせいで体が冷えるので要注意です。

精神的ストレス
精神的ストレスにより自律神経に乱れが生じると、リラックスできる副交感神経が上手く働きません。そのため筋肉の緊張がなかなか緩まず、肩こりを自覚する人が多くなります。

喫煙
交感神経が刺激されて血管の収縮が起きると、血流が低下し肩こりが生じると考えられます。また、他の病気を引き起こすこともあり、その二次症状で肩こりが生じることも。

筋力の低下
運動不足や加齢などで、筋力が衰えると、体を支えきれなくなって筋肉に負担がかかり、姿勢も悪くなります。血流が悪くなり、肩こりを感じるようになります。

更年期、加齢
更年期では自律神経の失調により、頸部,肩甲部の血流が悪くなり、そのために肩こりの症状が出ます。加齢によって背骨の椎間板の水分や骨密度が減少し、椎間板や脊椎椎体の高さが減少すると、背中が丸くなり、いわゆる猫背の状態になります。これを円背(えんばい)というのですが、そうなると姿勢が悪くなり、肩こりを感じたりします。

病気の二次的症状
内科的な疾患の他、整形外科、婦人科、耳鼻咽喉科、神経内科、脳外科、歯科、口腔外科など、様々な領域での疾患の二次的症状として、肩こりを感じることがあります。元となった疾患を治療すると、肩こりも改善されたりします。

(図2)
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年齢や性別でも変わる、主な肩こりの原因

「最近目立つのは、ストレートネックになっている患者さんですね。そのせいでの肩こりも増えていると思います」と平沼先生。

ストレートネックは、スマートフォンの普及が関連しているともいわれています。肩を丸め、首を下に向けた姿勢で長時間スマートフォンを見ていると、首や肩の筋肉が緊張します。それが長く続くと、本来ゆるくカーブしているはずの首の骨が、まっすぐな状態になってしまいます。この状態をストレートネックといいます。

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▲ストレートネックの患者さんのレントゲン写真(左)。正常なカーブを呈している首の骨を持つ患者さんのレントゲン写真。(右)

患者さんの年齢や性別でも、主な原因は変わってくるとのこと。

「10代で圧倒的に多いのは、側湾症(そくわんしょう)を原因とする肩こりですね」と平沼医師。側湾症とは、正面から見るとまっすぐであるはずの背骨が、左右に曲がったりねじれたりしている病気のことです。

20代になると、パソコンの長時間作業やスマートフォンを見る際の姿勢の悪さの影響が増え、ビジネスパーソンの場合は、男女、年齢を問わず、それが肩こりの大きな原因に。

女性の場合は、出産後、子育てにおける肩こりが増えるといいます。さらに40代後半から50代では更年期でホルモンバランスが乱れ、そのせいでの肩こりも。

平成25年度の厚生労働省の調査によると、女性が訴える健康上の不具合の第一位が肩こりであり、なかでも40代〜50代の女性にその数多く見られます。(図2、図3参照)60代以降は、加齢による筋力低下や関節の不具合などから生じる肩こりが目立ってきます。

(図3)
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(図4)
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頭痛やめまい、吐き気など肩こりが原因で起きる症状とは?

「首が起因となる肩こりには、後頭部の上の方にある神経の大後頭(だいこうとう)神経が病んでいるケースが見られます。その神経の痛みは、脳から顔に向かって3つに枝分かれする三叉(さんさ)神経の一番上を通る第一枝にまで伝わり、それが目の奥の痛みとして表れることもあります。この疾患は、大後頭三叉神経症候群と呼ばれています」(平沼医師)

他にも、ひどい肩こりでは、吐き気の症状が現れたり、頭痛やめまいが起きたりすることもあります。「頭痛と肩こりは相関関係にあります。頭痛が治まれば肩こりの症状が消えることもあれば、肩こりを解消することで頭痛が治まったという人もいます」(平沼医師)

さらに、ひどい肩こりを放置すると、目がしょぼついたり、手や腕のだるさ・しびれを感じるようになったり、不眠などほかの症状が加わることもあります。

ひどい肩こりを改善するには?

首や肩の血流をよくする

「肩こりの原因は、血管にたまる疲労物質のせいだとよく言われていますが、実はまだはっきりとは解明されていません。あくまでも推測に過ぎないのです」と平沼医師は説明します。

ただ、血流が滞ると、肩こりの症状が生じることは確かなので、血流をよくすることは大切とのこと。

「ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがよいですね。さらに、炭酸ガスを発生する入浴剤を使用すると、効果は高まります」と平沼医師。

炭酸ガスは皮膚から吸収され、末梢血管を開く効果があり、これにより血液循環が促進されるとのこと。他にも、温めたぬれタオルや使い捨てカイロを首や肩にあてることも、血流を高めることになります。

自宅や職場でできる簡単ストレッチ

肩こりは、肩の筋肉を動かすことで解消されたりもします。簡単なストレッチは、縮こまった筋肉を伸ばすことにもなり、血流を高めることにつながります。長時間のデスクワークの際には、意識的に休憩を取り、上半身を動かしましょう。椅子に座ったままできるストレッチをご紹介します。

背筋伸ばし
両腕を前に伸ばして手を組み、そのまま手首を返して手の平を外側に向けます。
腕を伸ばしたまま、頭の上まで持っていき、背伸びをします。

肩回し
両腕を曲げて肩に手を乗せ、両肩の腕の付け根を、肩甲骨を意識しながらグルグルと回します。
前回し、後ろ回しを交互に。

肩甲骨伸ばし
頭の後ろで手を組み、息を吸いながら両肘を開き、次に息を吐きながら頭を挟むように
ゆっくり両肘を閉じます。

「最近、肩こりを訴える患者さんにお薦めしているのが、松岡修造さん直伝の「ロコロコモリモリ体操」です。NHKのサイトでも紹介されているので、参考にしてください」と平沼医師。子ども向けの体操ですが、手軽で誰にもできるのでお薦めとのことです。

参考サイト: NHK Eテレ「くうねるあそぶ~こども応援宣言」
http://www4.nhk.or.jp/kodomo-pj/

つらい肩こりは、他の症状と重なり合い、人々のQOL(生活の質)を低下させます。症状がひどくなった際には、整形外科などの受診も必要となりますが、できれば普段の生活の中で、自分自身で予防や改善を図りたいものです。

疲れを溜めない、筋肉を適度に動かす、凝り固まったなと思ったら血流をよくするように、温めたりストレッチしたりするようにしましょう。また、他の病気からの二次的症状ではないか、肩こり以外に気になる症状があれば、その症状に適した医療機関を受診しましょう。

取材・文/仲尾匡代

取材・監修者プロフィール
平沼尚和
平沼整形外科クリニック 院長
日本医科大学卒。日本医科大麻酔科、日本医科大学整形外科、協友会屏風ヶ浦病院整形外科を経て、2005年に平沼整形外科クリニックを開業。肩こり外来を開設し、原因がそれぞれに違う患者さんにあわせた治療を行っている。

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