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【医師監修】動悸・息切れの原因とその対処法

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さしたる理由もないのに、急に動悸がしたり息切れがしたりすると、心疾患など何かの病気ではないかと不安を感じたりするものです。

そもそも、動悸や息切れは、何が原因で起きるのでしょうか? 運動後や緊張・興奮状態にあるときの動悸と、そうでない時の動悸には、どんな違いあるのでしょう?

更年期障害の症状のひとつとしても知られる動悸・息切れについて、「やすこレディースクリニック」院長の林康子医師にお話をうかがいました。

目次

 

動悸・息切れの症状って? その原因は?

症状の感じ方、表現はひとそれぞれ

動悸とは、普段よりも心臓の鼓動が早いように感じたり、鼓動が大きく感じたりすることで、「心臓がバクバクする」「ドキドキが止まらない」「ドックンドックンと音がする」など、人によってその表現も様々です。

また、動悸のために息苦しくなったり、「ハアハア」と息切れしたりすることも多いようです。動悸があっても、ほとんどの場合は心配いりませんが、時には病気が原因となることもあるので要注意です。ただし、動悸や息切れは自覚症状であり、不整脈などとは異なり、検査ではかることは出来ません。

心臓や甲状腺の病気が原因のことも

動悸がした時に考えられる病気には、不整脈のほかに、心筋梗塞、肺塞栓症、貧血、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)などが上げられます。不整脈のうち、頻脈では心臓の鼓動が早くなるので、動悸がします。心筋梗塞の場合は、胸の痛みを感じるなど、他の症状も見られます。

また、肺塞栓症(はいそくせんしょう)では、呼吸困難やふらつきといった症状が見られ、いずれも早急に治療が必要となる病気です。

貧血とは、血液成分である赤血球が不足している状態で、めまい、頭痛、息切れ、疲れやすいといった他の症状が見られます。貧血になると血液中に酸素が足りなくなるので、心臓が酸素を送りだそうと鼓動が早くなるのです。

また、甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの分泌過多のために様々な症状が出る病気で、動悸・息切れ以外に、手の震え、大量発汗などが見られます。食欲があるのに、食べても体重が減るなどの症状もあり、女性に多い病気のひとつです。

更年期障害の一症状としても

また、脱水症状や、低血糖症になったときも、動悸が見られます。一般的には、以上の病気よりも、自律神経の乱れや精神的なものが原因となる動悸の方が多いとされています。更年期症状としての動悸もそのひとつです。

<動悸・息切れで疑われる疾患>
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「動悸がするので、病気ではないかと不安になり、ますます動悸が悪化するということも少なくありません」と話すのは、更年期障害で受診する患者さんも多い「やすこレディースクリニック」院長の林康子医師。

原因となる病気がなく、激しい運動をしたわけでもないのに、突然、動悸がするのであれば、それは更年期症状のひとつとも考えられるとのこと。それでは、どのようなメカニズムで、更年期になると動悸がするのでしょうか?

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更年期に、動悸・息切れがするメカニズムとは?

脳の視床下部の働きと大きく関係

体の内臓器官の働きを調節する自律神経をコントロールしているのが、脳の視床下部という部位です。自律神経には、交感神経と副交感神経があります。

例えば、運動をすると全身に酸素を供給させようと交感神経が心臓に指令を出して心拍数を上げます。運動後に動悸がするのはこのためです。

「人前に出るとあがってドキドキするというのも、自律神経が関係する動悸でしょうね。病気とはいえません。ただし、あまりひどければ、自立神経失調症かもしれません」と林医師。

視床下部は自律神経以外に、甲状腺ホルモンや女性ホルモンの分泌もコントロールしています。閉経前後の10年を更年期と呼びます。この時期になると、卵巣は加齢のため、女性ホルモンのひとつエストロゲン(卵胞ホルモン)を十分に分泌出来なくなります。

「そこで視床下部が、卵巣にもっとエストロゲンを作るようにと強い指令を出すために、同時に自律神経に乱れが起きてしまうのです」(林院長)。

自律神経に乱れが生じることで、動悸や息切れ、のぼせやほてり、頭痛、めまいといった症状が現れ、それを更年期症状と呼び、日常生活に支障が出た場合、更年期障害と呼びます。

病気ではない動悸・息切れの原因

精神的な影響によるもの

自律神経の乱れは、精神的なストレスからも起き、動悸・息切れにつながることも。緊張したり怒ったりしたときに動悸がするのは、交感神経が優位になっているためで、特に心配する必要がありません。スポーツの試合前や大勢の人の前でスピーチをするときなどに、動悸を経験したことがある人も多いでしょう。

生活習慣によるもの

交感神経が優位になることの多い生活習慣があると、その影響で動悸が生じることも少なくありません。

例えば、カフェインには交感神経を活発にさせて、脈を早くする作用があります。過剰にカフェインを取ると、動悸・息切れが生じることもあります。アルコールも、タバコのニコチンも、同様に交感神経を活発にさせる働きがあり、動悸が生じる原因ともなります。

動悸・息切れの対処法

生活習慣の見直しを

動悸・息切れが起きた際は、安静にすることが大切です。原因となる病気が疑われない場合は、リラックッスすることで動悸はおさまっていくはずです。不安に思うと、よけいに動悸がひどくなることもあるので、「たいしたことはない」と思うことも大切です。

普段から、健康的な生活を意識して、自律神経の不調を起こさないように心がけましょう。バランスのよい食事、適度な運動はもちろん、なるべくストレスを回避し、睡眠もしっかり取りましょう。

エストロゲン補充の治療を

更年期障害が原因の動悸・息切れの場合は、女性ホルモンを投与すると改善する場合もあります。分泌が減少しているエストロゲンを補充する治療法で、HRT(ホルモン補充療法)と呼ばれます。HRTはHormone Replacement Therapyの略で、シールやジェルなどで皮膚からエストロゲンを補充する方法が主流です。

HRTでは、子宮体がん予防のために、必ず黄体ホルモン製剤も併用します。治療により、のぼせ、ほてり、発汗など他の更年期障害の症状の改善も期待出来ます。また、漢方薬による治療を行う場合もあります。

病院を受診するタイミングは?

動悸・息切れ以外の症状をチェック

動悸や息切れを感じた場合、他にどんな症状があるか注意深く確認を。心臓関係の病気ではないか、肺は大丈夫か、貧血はないか、血糖値が下がっていないか、脱水症状ではないかなど、全身の状態をチェックします。これらの病気が疑われるなら、早めに病気にあわせた診療科を受診します。

内臓系の病気が考えられなくても、ストレスのために気分の落ち込み、不眠、食欲不振などを伴うならば、自律神経失調症を疑い、心療内科や精神神経科などを受診しましょう。

また、更年期症状としての動悸・息切れだと考えられる場合は、婦人科を受診します。特に、動悸や息切れ以外の症状もあり、生活に支障があるようなときは、早めに受診して相談するのがよいでしょう。

軽度の動悸・息切れは、単独の症状だけでは、ほとんどの場合、心配いりませんが、他にも症状があるときは要注意。

少しでも早い治療が必要となる心臓や肺の病気のほか、甲状腺の病気などが原因となっている場合もあります。

おかしいなと思ったら、早めの受診を心がけましょう。特に思い当たる症状がなければ、体も気分もリラックスさせるのが一番の対策です。

取材・文/仲尾匡代

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取材・監修者プロフィール
林 康子
やすこレディースクリニック 院長
日本医科大学卒。日本医科大学病院、下館市民病院、横浜日赤病院などの勤務を経て、2003年「やすこレディースクリニック」を開業。
患者さんひとりひとりにあわせ、丁寧な説明を伴う診療を行っている。
https://yasuko-clinic.com

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