関節痛対策するなら知っておくべき、プロテオグリカンって?

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健康と美容に効果的な成分として近年注目を集めている成分「プロテオグリカン」。

関節痛対策を行う上でも欠かせないと言われるプロテオグリカンですが、いったいどのような成分なのか、どんな効果があるのか、どのように摂取すればいいのか?そんな疑問を抱いている方は少なくないのでは?

プロテオグリカンの研究者であり、実際にご自身でもプロテオグリカンを服用し、実感されているという順天堂大学総合診療科助教の吉田靖志先生にお話をうかがいました。

目次

 

プロテオグリカンとは?

「プロテオ」とはプロテインを意味し、つまりたんぱく質のことです。「グリカン」は多糖類のことで、プロテオグリカンは糖とたんぱく質の複合体なのです。

プロテオグリカンは、私たちの身体の脳や骨、筋肉や血管などの細胞以外の部分である細胞外マトリックスや細胞の表面に存在します。特に関節部分の軟骨に多く見られます。

軟骨は水を除く成分の約75%がⅡ型コラーゲン、15%がプロテオグリカンによって形成されています。プロテオグリカンがうまく働くことによって、身体中のヒアルロン酸と繋がり、細胞の間を水分で満たして保水をしながら関節のクッションの役割を果たします。

また、過剰な炎症を抑えてくれる働きもあります。炎症を抑えるというのはアンチエイジング分野の話なのですが、活性酸素の酸性を抑えてくれるのです。

プロテオグリカンの歴史

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プロテオグリカンは50年以上前から研究されてきましたが、従来は牛の軟骨から抽出するしか手段がありませんでした。さらには、抽出が困難で非常に希少な成分だったため、1グラムあたり3千万円もすると言われ、健康食品として摂取するには高級原料すぎる成分でした。

それが近年、鮭の鼻の軟骨からプロテオグリカンを抽出する方法が確立され、医療の分野をはじめ美容・アンチエイジングを始めとする、さまざまな分野で大きな可能性を持つ成分として、国際的に注目を集めています。

そもそも鮭は私たち日本人には毎日のように食卓に並び、イクラや塩辛などとしても美味しくいただける馴染みのある魚です。鼻の軟骨部分も、北海道や青森、岩手、新潟県などでは薄切りにして塩酢漬けにして、大根と合わせた「氷頭なます」という郷土料理として親しまれているようです。

「氷頭なます」は平安時代には朝廷へも奉納されていたという記述があるほど歴史のある食べ物でした。

しかしながら、現代の鮭全体の消費量から考えると、プロテオグリカンが含まれる鮭の頭部は、加工品の製造工程において廃棄されることが多かったそうです。捨てられていた部位から、製品開発へとつながったというわけなんですね。

プロテオグリカンの性質

プロテオグリカンは保水作用が非常に強いのです。カラカラのスポンジと水をたっぷり含んだスポンジを思い浮かべてみていただくとわかるように、どちらがクッションの働きをしてくれるかというと、当然しっかり保水されているスポンジのほうです。

保水されたクッションによって衝撃が吸収され、骨と骨がぶつかりにくくなるので関節の痛みが軽減されるのです。プロテオグリカンは関節のお水の中にある栄養素のようなものと捉えてください。プロテオグリカンがないと、なかなか軟骨の生成につながっていかず、どんどんすり減っていくばかりです。

そもそも私たちが日常生活で元気に歩けるのは、骨と骨をつなぐ関節があるからです。これがしっかりと働くことによって、曲げたり、伸ばしたりということが可能になります。関節が自由に動かないと、日常生活が非常に厳しいものになっていきます。

関節の中には、滑液(かつえき)と呼ばれる水と軟骨があって、それをクッションとしてジョイントしているんですね。加齢とともに、そのクッションを構成する成分であるプロテオグリカン、Ⅱ型コラーゲン、ヒアルロン酸が少しずつ減少していきます。

クッションになっていた成分がなくなってしまうと、体重の負荷がかかり、痛みが出て、歩きにくくなってしまいます。関節は飛んだり跳ねたりはもちろん、歩くために重要な存在です。

軟骨がなくなると、痛みを伴い、転倒しやすくなりますし、寝たきりの状態になってしまう可能性もあります。だからこそ、食品やサプリメントからある程度軟骨の成分を補うことが大切なのです。

私は肌のために服用しはじめたのですが、今ではプロテオグリカンはなくてはならない存在です。元気にスポーツを続けていく上でも必要と考えています。

軟骨がしっかりしていないと骨折リスクも高くなってしまいます。ちょっとした段差が一番危ないんですよね。寝たきりも床ずれができてしまいますし、感染や肺炎も起こしやすくなります。

ある研究結果によると、推定1800万人の方が関節の悩みを抱えていると言われています。高齢者だけに限らず、多くの方が何かしらの不具合を感じていますが、原因は体重増加もあるんですね。

体重が増えると関節に負担がかかります。関節には体重の数倍から数十倍負担がかかると言われていますから、ジャンプすると数十倍になってしまいます。

それを軟骨が支えているのですから、どれだけ軟骨が大切な役割をしている部位かわかりますよね。体重増加にも要注意です。肥満の方は、適度な運動と腹八分目を心がけましょう。

プロテオグリカンの種類

プロテオグリカンには存在する場所によって、さまざまな種類があります。
軟骨組織に存在するプロテオグリカンはアグリカン、細胞の外にある膜状の基底膜(きていまく)に存在するのがパールカン、表皮と皮下組織の間にある真皮層(しんぴそう)に存在するのがバーシカンです。バーシカンはアグリカンと比べて小型になります。

プロテオグリカンとグルコサミンの違いは?

関節痛に効果があると言われているグルコサミンですが、グルコサミンはプロテオグリカンを構成するごく一部の成分でしかありません。プロテオグリカンは非常に分子量の大きいもので、その中の一部がコンドロイチンやグルコサミンなのです。

グルコサミンは分子量が小さく、胃酸の影響を受けてしまうので、なかなか体内に吸収されないのです。その点プロテオグリカンは酸に強いので原型のまま吸収されやすく、グルコサミンよりも有効性が高いと言われています。また、プロテオグリカンは保水力が高く、軟膏の炎症を抑えてくれる働きもありますが、グルコサミンには炎症を抑える働きはありません。

また、グルコサミンとプロテオグリカンを摂取したときにどちらの方が早く効果が出るかという研究をしている論文では、やはりプロテオグリカンの方が早く効果が出たと報告されています。

プロテオグリカンとヒアルロン酸・コラーゲンは何が違う?

プロテオグリカンとヒアルロン酸・コラーゲンとの違いですが、そもそもコラーゲンはたんぱく質から成り、ヒアルロン酸はムコ多糖類の一種なのでプロテオグリカンとは異なる成分です。

肌への働きを簡単に言うと、コラーゲンは肌の弾力をつくる働き、ヒアルロン酸は肌の潤い、保湿などを行う働きがあります。プロテオグリカンはどの成分よりも保水力が高く、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進し、お互いの効果をしっかりと発揮させる役割を持っています。

この3つは、身体組織や皮膚組織を維持するために最も相性の良い成分ともいえるでしょう。プロテオグリカンはヒアルロン酸と比べると、サラッとした肌触りも特徴です。ベタつかず高い保湿力を実現してくれるところもポイントです。

もともと私は肌に対する作用があるということで、プロテオグリカンに興味を持ちました。加齢による変化で肌はどんどん衰えていきます。

ヒアルロン酸による働きも低下しますし、なんとか補う方法がないかと思って見つけた成分なのですが、プロテオグリカンは関節だけでなく肌にも働きかけてヒアルロン酸を保持してくれるのでみずみずしい肌を保つことができるのです。

プロテオグリカンが持つ効果効能

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健康効果については、主に関節に効果を発揮すると言われており、特に加齢によって起こりやすい変形性関節症への効果を期待されています。

変形性関節症とは、関節の軟骨が磨り減ることで痛みが起こり、それによって関節が変形してしまう病気です。原因は軟骨の減少や骨化、骨棘(こつきょく)、炎症によるとされています。プロテオグリカンを摂取することによって、軟骨の減少を抑制することができると言われています。

骨棘は、聞き慣れない言葉かと思いますが、軟骨が炎症を繰り返すことによって骨がトゲトゲしてしまうことです。顕微鏡レベルでしかわからないトゲなのですが、プロテオグリカンはその炎症を抑えてくれるので、トゲを作らないようにしてくれる働きが期待できるというわけなのです。

プロテオグリカンに副作用・危険性はある?

プロテオグリカンの副作用や危険性についてですが、今のところ副作用の心配はあまりないとされています。

そもそもプロテオグリカンは身体の中に存在する物質なので、過剰に摂取しなければ安心であると考えられています。ただ、アレルギーがある方は注意する必要があります。プロテオグリカンは鮭の鼻から抽出されているので、鮭アレルギーの方はアレルギー症状が出てしまう可能性があります。

鮭以外の由来の場合も同様です。また、サプリメントには甲殻類由来のコンドロイチンという成分が含まれている可能性もあるので、甲殻類アレルギーの方は注意が必要です。必ず成分表をチェックしてから購入するようにしてください。

服用後、気になる症状が現れた方は、すぐに服用を中止して医師に相談しましょう。

プロテオグリカンの摂取方法

プロテオグリカンを効率的に摂取するには経口摂取が有効です。プロテオグリカン単体を飲むのではなく、Ⅱ型コラーゲンとヒアルロン酸の3つの成分を一緒に飲むとより有効に働いてくれます。

私は5年くらい前から内服しているのですが、旅行に持っていくのを忘れてしまったことがありました。10日間くらいだったのですが、なんだかキシキシするようになって「あれ?」と思っているうちに痛みが出てきたのです。なんかいつもと違うなと思っていたらプロテオグリカンを飲んでいなかったからだと気づきました。

肌への違いは実感していたのですが、その時に関節にも違いがあるのだと実感したのです。皮膚よりも関節の変化の方が実感として大きかったのには驚きました。

プロテオグリカンを配合したサプリの効果や選び方

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成分が熱や薬品などで壊れてしまうことを「変性」と言います。プロテオグリカンにも「変性」と「非変性」があります。

プロテオグリカンは熱に弱いため、食品や化粧品に加工するときに性質が変化してしまいますので、抽出過程で熱や薬品を使わず体内にあるプロテオグリカンと同じ形を維持したものを非変性プロテオグリカンと言います。

変性のものを服用してもヒアルロン酸を繋げてくれず、水分保持もしにくくなります。軟骨の形成も生成もうまく働かなくなってしまうのです。

たとえば卵もタンパク質です。卵に熱を加えると、卵焼きになったり、ゆで卵になったり、目玉焼きになったりと形が変わる。それと一緒で形が変わると味が変わるように、機能も変わるのです。

変性のものよりも非変性の生の状態のものの方が有効な働きをするということです。変性したプロテオグリカンでも関節の炎症反応が改善したという臨床試験もあるのですが、とはいえ実際には痛みまではとれなかったそうです。非変性プロテオグリカンは痛みも炎症もどちらも改善しているのです。

そういったことから、サプリなどでプロテオグリカンを摂取する場合には、できるだけ非変性プロテオグリカンを選ぶことをおすすめします。また、コラーゲンとヒアルロン酸をともに摂取することでより有効に働いてくれるので、配合成分をチェックすることもポイントです。

また、非変性プロテオグリカンは生の状態なので、体内への吸収率も高く、効果が出るのも早いと言われています。

プロテオグリカンの今後の可能性

プロテオグリカンは日本独自の成分なので、海外ではまださほどエビデンスが出ているわけではありません。しかしながら、軟骨の生成に関しての実験は進んでおり、ウサギの身体を使ってプロテオグリカンを投与すると軟骨成分の生成を促進できたという結果は出ています。

人体での実験はまだ難しいとされていますが、Ⅱ型コラーゲンの実験では生成されたという結果が出ており、おそらくプロテオグリカンもそれに近い反応が出るのではないかと推測されています。

軟骨成分の生成が促進されると、関節を痛みなく動かすことができますから、私たちが日常生活を普通に過ごせるというのは素晴らしいことです。普通に歩ける、階段を登れる、それが一番私たちにとっていいことだと思います。

アンチエイジングの分野を研究している私としては、肌や皮膚への働きかけについても期待したいですね。また、アスリートなど、プロのスポーツ選手に対しての効果検証も課題にしたいと思っています。プロテオグリカンがアスリートにどのような変化をもたらすのかに興味を持っています。

いかがでしたか? プロテオグリカンがどのような効果を発揮し、関節痛対策にはなくてはならない成分だということがとても理解できましたね。

高齢化社会に伴って、多くの方が何かしらの身体の悩みを抱えていると言いますが、なかでも手足の関節の悩みがとても多いそうです。関節は私たちの骨と骨をつなぐ大切な部位です。関節が健康であることは身体全体が健康であることとも言えるのです。

歩くことができなくなると、骨代謝や糖質代謝、ホルモンの分泌などがうまく行われなくなり、筋肉の発達にも悪影響が出てくるそうです。そうなると老化が進んで寝たきりという状況にもなりかねません。

関節を健康に保つためにも、プロテオグリカンを食事やサプリなどで積極的に摂取するように心がけたいですね。

取材・文/横田可奈

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取材協力・監修者プロフィール
吉田靖志
順天堂大学医学部総合診療科研究室非常勤助教
予防医学をベースとしたさまざまなアンチエイジング療法を実施。近年では美容皮膚科の治療にも取り組み、身体の内側からだけでなく外側からも治療することでトータルアンチエイジングを目指す。また、得意のナチュラルホルモン補充療法とサプリメント療法で自らアンチエイジングを体現。

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