膝の痛みを解消する専門家おすすめのストレッチ

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膝の関節は可動域が広く、日常生活の中で歩く・走る、立ち上がる、正座するなど状況に応じて便利に動くため、股関節や足の関節に比べて負担がかかりやすいといわれています。そのため、中高年になると膝の痛みに悩む人が増えています。

そんな膝の痛みを緩和させる方法をストレッチの専門家「Dr.ストレッチ」の中村竜太トレーナーに教えていただきました。膝のまわりの筋肉のストレッチや膝痛の予防まで、誰でもすぐにできる簡単なストレッチをご紹介します。

目次

 

膝が痛くなるのはなぜ?

膝が痛くなる原因にはさまざまなものがあります。病気やケガ以外の年齢や生活習慣、日常生活が原因で膝に痛みがでることもよくあります。

年齢を重ねるごとに膝を支える周辺の筋肉が衰えるほか、膝の関節軟骨がすり減っていき、膝に大きな負担がかかります。ケガや事故でない限り、多くの膝の痛みは長い時間をかけて起きている現象といえます。

その原因のひとつが“筋力の低下”です。筋肉量や骨量は20歳がピークとなりその後減少し、体を支える力は全体的に弱くなっていきます。加齢により筋肉や骨量が減少傾向にありながら運動など何もしない状態が続くと、さらに筋力が低下し筋肉が硬くなり、関節の可動域も狭まることで膝が痛くなります。

また、中高年で膝の痛みに悩む人の多くは、準備運動や整理運動をきちんと行わないままランニングなど膝に負荷のかかりやすい運動を続ける、あるいは、いきなり登山など膝に負担のかかるレジャーをすることで、膝の痛みを引き起こすことがあるようです。

なぜストレッチで痛みが解消できるの?

膝が痛くなるのは、膝のまわりの筋肉が硬くなるからです。この硬くなった筋肉をほぐす効果があるのが“ストレッチ”です。ストレッチは筋肉を伸ばすことで筋肉の柔軟性を促し、関節の可動域を広げます。ストレッチを毎日行うことで、膝の痛みを解消するのに役立つとともに、膝の痛みを予防することにもなります。

ただし、以下の症状がある場合は膝の痛みが悪化する可能性があるため、受診をして医師の指示に従いましょう。

  • ・外傷がある(骨折、打撲など)
  • ・関節リウマチや痛風などの病気がある
  • ・関節が腫れている。あるいは熱をもっている
  • ・安静にしていても痛みがある

 

また、ストレッチをしている途中で痛みが悪化した、腫れがひどくなったなどの場合はすぐにストレッチを中止して受診しましょう。

ストレッチを始める前に、まず筋肉をほぐそう

ストレッチで筋肉を伸ばすには、まず、ストレッチの前に筋肉をほぐすとより効果的だといわれています。筋肉がほぐされている方がよく伸びるからです。ただし、力任せに強い刺激を与えてほぐすのはNG!

逆に筋肉が硬くなってしまうだけでなく、血管や筋肉が傷ついてしまうこともあるので、力加減には注意しましょう。

※ストレッチ指導は「Dr.ストレッチ メトロ新宿店」で実施。また、Dr.ストレッチの店内では、下記の写真のようにベンチマットの上でストレッチを行いますが、自宅でストレッチをするときは平らな床の上などで行いましょう。

以下は、ストレッチを始める前にほぐしておきたい筋肉です。

【膝上の外側をほぐす】

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1 両脚を開いて座り、右脚膝上の外側の骨の部分に手を当てます

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2 中指と薬指で膝のお皿を押さえ親指の腹を使ってグッと膝上の外側を押しながらゆっくりと膝を曲げます。この部分が硬くなると膝の外側に痛みが出やすくなります

3 次に2と同様に指で押さえながら右脚を伸ばします

4 左脚も同じように行います

5 交互に2回繰り返します

【ハムストリング(ももの裏側)をほぐす】

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1 両脚を開いて座り、右脚のももの裏側に右手と左手の人差し指、中指、薬指の3本を当てます

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2 ももの裏側の少し内側と外側を下から持ち上げる感じで押しながら右脚をゆっくり曲げます。大きな筋肉なので両手でほぐしましょう

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3 次に2と同様に指でほぐしながら右脚をゆっくり伸ばします

4 左脚も同じように行います

5 交互に2回繰り返します

【膝の裏側】

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1 両脚を開いて座り、右脚の膝の裏側に右手と左手の人差し指、中指、薬指の3本を当てます。手でほぐしながら右脚をゆっくり曲げます。この部分が硬くなると膝が伸びにくくなります

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2 次に2と同様に指でほぐしながら右脚をゆっくり伸ばします

3 左脚も同じように行います

4 交互に2回繰り返します。慣れてくれば両脚をそれぞれの手でいっぺんにほぐすことができます

【脚の付け根の外側】
1 脚を開いて座る。もしくは椅子に座ります
2 脚の付け根の外側を手のひらで回しながら押して、筋肉をほぐします

この他、「膝蓋骨(しつがいこつ)」と呼ばれる膝の皿のまわりの筋肉をほぐす方法もあります。膝蓋骨は膝の前面にあり、関節を保護し、円滑な動きを助ける役割を担っています。下記の方法で1日2回程度行うことで、膝の柔軟性が増します。

【膝の皿のまわり】
1 床に座り両脚を前に伸ばします
2 膝の皿の縁に親指を当て、上下、左右、斜めに動かします。このとき円を描くイメージで回し、あまり強く押さないように気をつけましょう

膝を曲げる筋肉を滑らかにするストレッチ

膝を曲げる働きに関わる主な筋肉が、「ハムストリングス」と「内転筋(ないてんきん)」です。ハムストリングスは、太ももの裏側にある筋肉群の総称。内転筋は太ももの内側にある筋肉で、下半身のバランス調整を担います。

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1 右脚を曲げて左脚を横に伸ばします

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2 体を前にゆっくり倒します。このまま10秒、キープします。このとき、ハムストリングスと内転筋が伸びていることを意識しましょう

3 右脚も同様に行います

4 これを互いに2回繰り返します

膝の筋肉を伸ばすストレッチ

膝を伸ばす働きに関わる主な筋肉が「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」です。太ももの前側の筋肉で、膝を伸ばす他に、膝を上げる、歩く、走るなどの働きにも関わります。

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1 始めに両脚を開いて座ります。次に上体は背筋をまっすぐ伸ばしたまま、股関節から上体を後ろに倒します。このとき上体が倒れすぎないように、両手でしっかり支えます

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2 右脚を後ろに曲げます

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3 左脚のかかとを右膝の上に乗せます。このまま10秒キープします。このとき、大腿四頭筋が伸びていることを意識しましょう

4 右脚も同じように行います

5 これを互いに2回繰り返します

足首の関節を滑らかにするストレッチ

足首の関節を滑らかにするには、「ヒラメ筋」と「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」をストレッチするのが有効です。

【ヒラメ筋~ふくらはぎの深層筋】
ふくらはぎには3つの筋肉があり、それらを総称して「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)」といいます。

この中で、表層にあるのが“腓腹筋(ひふくきん)”で、深層にある筋肉が“ヒラメ筋”です。腓腹筋の下に、ヒラメのように薄く広がっているのが特徴で、ヒラメ筋の上に腓腹筋が覆うように存在しています。

つま先をまっすぐ伸ばしたとき、ふくらはぎがキュッと収縮しますが、これが、腓腹筋とヒラメ筋の働きによるものです。

つま先立ちをして、先に収縮するのが速筋である腓腹筋で、後から収縮するのが遅筋であるヒラメ筋です。深層筋かつ遅筋であるヒラメ筋をストレッチするには、ゆっくりと収縮させる動きを行うことがポイントです。

足首の関節を滑らかにするストレッチ① ~ふくらはぎの深層筋をストレッチ

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1 上体は背筋をまっすぐ伸ばしたまま、右膝は立て左膝をついて座わります

2 上体をゆっくりと前に倒します。この状態を10秒キープします。このとき、右脚のふくらはぎの筋肉が伸びていることを意識しましょう

3 今度は、左膝は立てて右膝をついて座り、2を行います

4 これを互いに2回繰り返します

【前脛骨筋~むこうずね】
前脛骨筋は、足の膝から足首までの前側にある筋肉で、“むこうずね”と呼ばれる部分です。主につま先を持ち上げる、足関節が内側に反る働きに貢献します。また、足底の内側のアーチ形成にも大きく関与しています。

足首の関節を滑らかにするストレッチ② ~むこうずねの筋肉のストレッチ

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1 上体は背筋をまっすぐ伸ばしたまま、右膝はついて左膝を立てて座わります

2 上体は背筋をまっすぐ伸ばしたまま、両手で右膝をゆっくり持ち上げます。この状態を10秒キープします。このとき、すねの横の筋肉が伸びていることを意識しましょう

3 今度は、左膝はついて右膝を立てて座り、両手で左膝をゆっくり持ち上げます。この状態を10秒キープします。このとき、すねの横の筋肉が伸びていることを意識しましょう

4 これを互いに2回繰り返します

アキレス腱とふくらはぎを伸ばすストレッチ

膝の痛みを解消するためには、「アキレス腱」と、ふくらはぎにある「腓腹筋・ヒラメ筋」の柔軟性を保つことも大切です。腓腹筋・ヒラメ筋については前章で述べているので、ここでは、アキレス腱について説明します。

【アキレス腱】
足首の後ろ側かかとの上の部分にある人体で最も強く最大の腱。腓腹筋とヒラメ筋というふくらはぎの筋肉をかかとの骨に固定しています。歩行や跳躍などの運動のときに重要な働きを担います。

【アキレス腱とふくらはぎを伸ばす】

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1 両手を肩幅の位置に置き、両膝を床につけて頭と腰を水平に保ちます

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2 腰をやや高めの位置に上げます

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3 次に頭をお腹の方に向け、左足首を右のかかとに引っ掛けクロスさせます。右の足裏全体を床につけます。この状態を10秒キープします。このとき、右脚のアキレス腱、ふくらはぎの筋肉が伸びていることを意識しましょう

4 反対側も同様に行います

5 これを互いに2回繰り返します

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膝が痛くなる前に、ストレッチで予防

膝に痛みを感じるようになったときは、ストレッチすることが効果的ですが、まず、何よりも膝が痛くなる前からストレッチを行い、膝が痛くならないように予防をすることが大切です。

ストレッチを実践して膝のまわりの筋肉を柔軟な状態に保ち、運動などで筋力を増やすことで膝関節への負荷を軽減することができます。

また、膝に痛みを感じたとき、膝が痛いからといって体を動かさない状態が長く続くことで、将来、要支援・要介護になるリスクが高まることがわかっています。

日本整形外科学会が提唱する概念で「ロコモティブシンドローム」があります。日本語名は「運動器症候群」、略称「ロコモ」といいます。これは、体を動かすために必要な器官に障害が起こり、自分で移動する能力が低下して、介護が必要になる危険度が高い諸症状のことです。

厚生労働省の調査によると、要支援・要介護になる原因の1位は、運動器障害で、脳血管障害や認知症よりも確率が高いとされています。

ロコモティブシンドロームであるか否かをチェックするポイントとして、日本整形外科学会では以下の7項目を挙げています。

  • □1 片脚立ちで靴下がはけない
  • □2 家の中でつまずいたり滑ったりする
  • □3 階段を上るのに手すりが必要である
  • □4 横断歩道を青信号で渡りきれない
  • □5 15分ぐらい続けて歩けない
  • □6 2㎏程度(1ℓの牛乳パック2個程度)の買い物をして持ち帰るのが困難である
  • □7 家のやや重い仕事が困難である

将来、要介護にならないようにするためにも、ストレッチや運動を継続して行い予防を心がけましょう。

【膝痛予防のストレッチ】

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1 両脚を伸ばして横向きに寝ます

2 上の脚を折り曲げます

3 下の脚のかかとを上の脚の膝の上に乗せます。この状態を10秒キープします。このとき、太ももの外側の筋肉が伸びていることを意識しましょう

4 反対側も同様に行います

5 これを互いに2回繰り返します

膝が痛いときのストレッチのコツ

膝の痛みが治っていくにはある程度の時間がかかります。それに、膝が痛いからといって、まったく動かさないのは逆効果です。あまりひどく痛む場合は別ですが、多少の痛みがある場合には、お風呂を利用するとよいでしょう。

水中では浮力があるため負荷は地上の10分の1です。膝を抱えたり、ゆっくり脚を伸ばしたりするなどのストレッチを行うとよいでしょう。

タオルを使ったストレッチとトレーニング

もともと体が硬く、ストレッチがうまくできないという人におすすめなのが、タオルを使ったストレッチ。前屈が苦手で脚の裏側が伸ばせないという人でも、タオルを使うことでいつもよりも楽にストレッチができます。

【ふくらはぎと太ももの筋肉を滑らかにするストレッチ】

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1 床に両脚を伸ばして座ります。左脚の土踏まずに二つ折りにしたタオルを引っかけて両手でタオルを持ちます。

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2 タオルをつかんだまま仰向けに寝て、左脚が床と垂直になるように引き上げます。

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3 左脚を右脚の方にゆっくりと倒していきます。そのまま10秒キープします。このとき、左脚のふくらはぎと、太ももの筋肉が伸びていることを意識しましょう。

4 反対側も同様に行います。

5 これを互いに2回繰り返します。

【膝の周辺の筋肉を鍛えるトレーニング】

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1 床に両脚を伸ばして座ります。右足の土踏まずに二つ折りにしたタオルを引っかけて両手でタオルを持ちます。

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2 両手でタオルをつかんだまま、右足首をゆっくり前に倒していきます。この状態を10秒キープします。このとき、ふくらはぎが伸びていることを意識しましょう。

3 反対側も同様に行います。

4 これを互いに2回繰り返します。

タオルの長さが足りない場合は、バスタオルを使いましょう。もともと体が柔らかい人は、タオルの長さを調節して自分で気持ちよく伸ばせる長さに変えてください。

中高年の膝が痛くなる原因のひとつに、加齢による“筋力の低下”があります。筋肉量や骨量は20歳がピークとなりその後減少します。そして、そのまま運動など何もしない状態が続くことで、さらに筋力が低下し筋肉が硬くなり関節の動きも悪くなり膝が痛くなります。

硬くなった膝のまわりの筋肉や関節をほぐして可動域を広げ、体を鍛えるのに最適なのが“ストレッチ”です。

ハムストリングや内転筋、大腿四頭筋、ヒラメ筋などの筋肉を柔らかくするストレッチを毎日行うことで、膝の痛みを解消するのに効果を発揮するとともに、膝痛予防にもなります。また、将来、介護が必要となる“ロコモティブシンドローム”になるリスクを軽減することにもつながります。

取材・文/高橋晴美

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取材協力・監修者プロフィール
中村竜太
Dr.ストレッチ テクニカルトレーナー
世界三大ミスコン「ミスワールド」大会のサポートトレーナーや、オリンピック種目「3人制バスケ」などアスリートのサポートトレーナーとして活躍。サロンやエステの講義活動も行う。資格はNASM-PES FMS
ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」 https://doctorstretch.com/
メディカルグローアップアカデミー  https://mgac.jp/

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