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【医師監修】めまいが起きたらどうする? 種類と原因を知って対策しよう

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まわりがぐるぐる回って動けなくなるなど、突然、激しいめまいに襲われたら。吐き気を伴ったり耳が聞こえなくなったりと、他の症状が重なるとますます不安を感じるものですが、命の危険が伴うめまいは、それほど多くはありません。

治療に緊急を要するものと、そうでないものの違いを覚えておけば、無駄に不安感を募らせずにすみます。

めまいについて「男鹿みなと市民病院」耳鼻咽喉科の松本敏江医師にお話をうかがいました。

目次


めまいの症状にはどんなものがある?

めまいの症状には、大きく2つのタイプが

自分の周りがぐるぐる回ったり、流れたりしているように感じるめまい(回転性めまい)と、自分自身がぐらついている、まっすぐ歩けないというめまい(浮動性めまい)と、主に2つのタイプが見られます。

「なんだかふわふわする感じがしたり、体が地面に沈み込んだりするような感覚を訴える人もいますね」と話すのは男鹿みなと市民病院耳鼻咽喉科の松本敏江医師。めまいを訴える多くの患者さんを診療してきました。

貧血の症状である立ちくらみも広義のめまい

患者さんの中には、立ち上がったときなどに急に目の前が暗くなってクラッとする立ちくらみを、めまいと捉えて受診する人もいるそうです。

これは脳貧血を起こしたためですが、それとは別に、生理のある女性には血液成分のうち鉄分が足りない鉄欠乏貧血の人が多く、階段を上る、忙しく動く、激しい運動をするなどの際に、めまいの症状が起きがちです。

さらに低血圧だと「朝起きてもぼーっとしていて、特に午前中にフラっとする感じのめまいがすると訴える人もいます」(松本医師)

めまいを感じるしくみとは?

耳からの情報と目・身体からの情報が矛盾

脳は、眼からの視覚情報と、足の筋や腱からの深部知覚情報、そして、耳の中の内耳部分にある三半規管や前庭(ぜんてい)からの情報によって、自分の身体の向きや動きを認識します。

三半規管や前庭は、特に頭の位置や動きを感じ、その情報を脳へと送ります。脳はそれらの情報を統合して、身体の動きを制御します。

ところが、内耳の器官に何らかの障害が出ると、実際の動きや姿勢とは違う情報が脳に伝えられ、他の視覚情報や知覚情報とのあいだに矛盾が起こります。その結果、脳が統合不能となり、その際に感じるのがめまいの症状となります。

このことは、耳の障害だけでなく、視覚の異常や脳そのものに問題がある場合でも、それぞれの感覚情報に矛盾が生じ、めまいが生じることとなります。

めまいを起こす病気にはどんなものが?

症状の多くは耳に関する病気が原因に

「めまいの症状がある人の、半分以上が耳鼻科の領域の病気だといえるでしょう」と松本先生。命の危険に関わる脳の病気が原因となるのは実はそれほど多くなく、厳密に言うと数パーセントとのこと。

耳の病気と脳の病気以外にも、心因性によるものなどもあり、診断ではめまい以外の症状を注意深く見て検査をする必要があります。それでは、それぞれの病気にはどんなものがあるのか見ていきましょう。

耳の病気によるめまい

「検査の結果、病名がつくめまいもありますが、内耳性のめまいであることはわかっても、病名のつかないままのめまいもあります」と松本医師。

内耳性のめまいには、代表的な病気として、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎などがあげられます。めまい単独で起こるものでは、良性発作性頭位めまい症が多く、耳鳴りや難聴、吐き気、嘔吐などが起きる場合には、メニエール病である可能性が高くなります。

ウイルス感染が原因のひとつと考えられる前庭神経炎は、風邪を引いているときなどに起こりやすい病気です。

<めまいを起こす耳の疾患>
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上記以外に、内耳が関わるめまいとして、突発性難聴、中耳炎性内耳炎、外リンパ瘻などがあります。

脳の病気によるめまい

「皆さん、めまいが起きた際に怖いと感じるのは脳卒中だと思いますが、脳卒中の場合、めまいの症状が単独で現れるということはほとんどありません」と松本医師。

脳卒中(急性脳血管障害)とは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・一過性脳虚血発作を指す、脳の病気です。これらの病気が原因となっている場合は、めまい以外に、意識や言葉の障害、運動・歩行の障害、嚥下(飲み込み)の障害、しびれ(感覚麻痺)、視覚障害、激しい頭痛などが見られます。

複数見られることもあれば、一つだけのこともあり、時間経過で現れることもあります。このような症状がある際は、休日でも夜間でも、早急に医療機関を受診しましょう。早期に治療を受けることで、後遺症も軽減されます。

出血が起きた脳幹や小脳は平衡神経と密接な関連を持っている器官のため、めまいが生じることもあるのです。また、脳にできた腫瘍が原因となることもあります。

〈めまい以外にこんな症状があれば、すぐに医療機関へ!〉

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耳や脳の病気以外

耳や脳に異常がなくても、めまいが生じることはあります。脳貧血や低血糖、偏頭痛、不整脈、自律神経失調症などのほか、心因性のものや、更年期障害などでもめまいが生じます。

「思春期になりやすい起立性調節障害も、立ちくらみやめまいの症状が出ることが多いですね。これは低血圧でも高血圧でも起こる可能性があり、高齢で長引く起立性低血圧の方も多く診ています」(松本医師)。

他に、めまいを起こしがちがちな病気には、糖尿病、高脂血症、心臓病、高血圧症などのいわゆる生活習慣病があげられます。精神的なストレスにさらされている人や、睡眠時間が足りないなど肉体的なストレスにさらされている人も要注意です。

どんなときにめまいが起きやすい?

年齢性別関係なく、誰でも発症の可能性が

本来、めまいは、老若男女の病気です。「ただ、本来なら男女差はないはずなのですが、めまいを訴えて受診するのは女性の方が多いですね」と松本医師。

「男性は仕事が忙しくてなかなか受診に至らないということがあるのかもしれませんが、それよりも、女性の方が自分の体の変化に敏感なように思えます」とのこと。先に挙げた更年期障害では、自律神経失調症にもなりがちなので、めまいが生じる可能性も高くなります。

冠婚葬祭など非日常の際は要注意

「めまいを訴えて受診する患者さんにお話をうかがうと、結婚式やお葬式など、大きなイベントがあって、精神的にも肉体的にも疲労が重なるようなときに、めまいが生じたという人が多いですね。長期旅行に行くからと根を詰めて仕事をした結果、旅行先でめまいが生じるなどという残念なことも」と松本医師。

仕事で大きなプロジェクトを任されている、子どもの入学準備で頑張りすぎたなどで、突然めまいが生じた例もあります。どんなときも疲労を溜めないことが大切です。

めまいの治療法とは? セルフケアでできることとは?

自然に治ることが大多数

「実は、耳に原因があるめまいは、だまっていても治ります。脳がめまいを治そうとする前庭代償というしくみが働くので、自然治癒するんです。ただし、その治るスピードは人によって様々です」と松本医師。

めまいが起きた際、急性期の治療は、重症度によって点滴で補液をしたり、吐き気止めを注射したり、抗めまい薬、精神安定剤を投薬したりします。

「受診する患者さんの中には、めまいが最初に起きてから、何日も経ってから来られる方も多く、ほぼ治りかけのため、めまいの診断に大切な眼振(がんしん)(めまいに特徴的な眼の動き)の観察ができないことがあります。めまいが命に関わることはまずありませんが、転倒と、吐いた食物を喉に詰まらせることには十分注意してください」(松本医師)

望ましいのは規則正しい生活

めまいがどんなときに発症しやすいかを考えると、疲労を蓄積させず、精神的にも肉体的にもストレスをため込まない余裕のある生活が望まれます。そうはいっても、生活していく上で、ストレスを完全になくすということは難しいでしょう。

せめてストレスをため込まずに発散させることを心がけ、肉体的な負荷をかけないように、暴飲暴食は慎み、喫煙はせず、睡眠をしっかり取り、規則正しい生活をおくるのが望ましいでしょう。

「検査上、客観的にめまいはおさまっていても、まだめまい感があるという患者さんもいます。不安から来る心因性のめまいだと考えられることも」と松本医師。

めまい感があったからといって、深く悩まず、そのうちに治るとリラックスを心がけて生活することも大切ですね。

めまいが頻繁におきると、不快なだけでなく生活にも支障が生じます。QOL(quality of life 生活の質) を高めるために、長く躊躇せずに早めの受診を。

症状がめまい単独の場合は、耳鼻咽喉科やめまい外来のある医療機関を受診するとよいでしょう。

取材・文/仲尾匡代

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取材・監修者プロフィール
松本敏江
男鹿みなと市民病院 診療部長 耳鼻咽喉科
秋田大学大学院医学研究科卒。医学博士。耳鼻咽喉科専門医。秋田大学付属病院、国立水戸病院、秋田県厚生連病院等を経て平成22年より現職。日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本めまい平衡医学会会員。地域医療に根ざし、高齢者にもわかりやすい説明での診療を行っている。

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