グルコサミンって効果があるの?医師に聞いたホントのところ

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「関節の健康維持や痛みにグルコサミンがよい」というイメージは、一般的に定着しています。とはいえ、グルコサミンが実際にどのようなものか、体にどのような作用をもたらしているのかを詳しく知っている人は少ないはず。

そこで、グルコサミンのサプリメントを診療で取り扱っている平沼整形外科クリニックの平沼尚和先生に、グルコサミンの基礎知識やサプリメントの摂り方などを伺いました。実は、平沼先生の父親がグルコサミンのサプリメントを利用していたとか。果たしてその効果は!?

目次

 

グルコサミンと関節の密接な関係とは

グルコサミンと関節の関係を知るために、まずは、関節の構造を詳しく解説します。肩、手足の指、ひじ、股、膝、足首など、私たちの体にはあらゆる関節があり、骨と骨とをつないでいます。

関節は、関節包(かんせつほう)という袋に覆われています。その内側にある滑膜(かつまく)という膜から関節液が分泌され、関節の栄養補給を行い活性化させています。

ところで、骨はご存じのように堅い組織です。堅い骨同士が直接触れ合ってつながると、骨がこすれて減っていきます。それを防いでくれるキーマンが「軟骨(なんこつ)」。関節の表面は薄い軟骨に覆われているため滑らかで弾力性に富み、骨同士がこすれて傷つけ合うことを防いでいます。

このように、軟骨や関節液が機能することで私たちは自由に関節を動かして、歩く、走る、しゃがむ、跳ぶ、物をつかむといった日常生活の基本的な動作ができるのです。軟骨の主な成分を見てみましょう。

主な軟骨成分

水分……軟骨の約80%が水分で満たされ、関節に加わる衝撃を吸収しています。

Ⅱ型コラーゲン……軟骨に弾力性を与えるたんぱく質。皮膚や骨などに含まれますが、特に軟骨に多く見られます。軟骨では潤滑油の働きもするため、衝撃を吸収し関節の動きを助けます。

プロテオグリカン……近年、軟骨成分として非常に注目を集めている成分。脳、骨、筋肉、腱、血管などさまざまな組織をつくっていますが、特に軟骨には多く含まれることがわかっています。

プロテオグリカンは、コンドロイチンやヒアルロン酸などから構成されているため、スポンジのような弾力性を持ち、衝撃を吸収するほか、軟骨のスムーズな動きをサポート。

そのプロテオグリカンがつくられるときに、必要な材料となるのがグルコサミンです。グルコサミンは、コンドロイチンやヒアルロン酸の材料にもなります。

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グルコサミンの主な働き

「グルコサミンは、あらゆる国で動物や人に対しての研究がされています。グルコサミンを投与することにより、動物実験で軟骨の修復ができた、人の変形性関節症の痛みの改善につながった、ヒアルロン酸の産生が増えたなど、高く評価されているデータはたくさんあります」(平沼先生)。

それらを踏まえて、グルコサミンの主な働きについて次のことが期待できると平沼先生は話します。

  • ・軟骨を強くする
  • ・軟骨の柔軟性や弾力性を維持する
  • ・関節の痛みを抑える
  • ・傷ついた軟骨を修復する
    など

 

グルコサミンは、年齢とともに減る一方!

グルコサミンは、自然に増えることはなく年齢を重ねるごとに減る一方です。軟骨の主成分であるプロテオグリカン、コンドロイチン、ヒアルロン酸はグルコサミンを材料としているので、グルコサミンが減ると軟骨の主成分も減ります。

加齢により軟骨は少しずつ消耗するうえ、軟骨成分が減るため、関節の動きがぎこちなくなったり、骨同士がこすれて痛みを感じたりすることが。40~50代ごろから、「関節の動きがスムーズにいかない」「関節に痛みを感じる」といった不具合の起こる人が珍しくありません。

関節の痛みを放っておくと変形性膝関節症のリスクが

「関節の痛みを感じる」という部位で、多く見られるのが膝です。膝は、立っているときは自分の体重を支えるだけですが、平坦な場所を歩くと体重の2~3倍の負荷がかかっています。

さらに階段を上り下りするときは、体重の約4倍の負荷がかかると言いわれています。生活のちょっとした動作による負荷が加齢に伴って蓄積し、関節の不具合や痛みに変わるのは当然のことといえます。

そんな中、膝の痛みで患者数が最も多いのが変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。すり減った軟骨が変形し、膝の曲げ伸ばしができなかったり痛んだりする病気です。

自覚症状のある人が約1000万人、X線診断による患者数は約3000万人と推定されています。変形性膝関節症が重症化すると、歩くことが困難になってQOL(生活の質)が著しく下がるだけでなく、寝たきりにもつながる可能性があるため、予防や早めの改善を目指すことが重要です。

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主な症状
初期では、歩き始めや下り坂を歩くときに痛みを感じる程度。膝に少し水が溜まる人もいます。これらの症状は一時的に消えてまた歩き出せるため、深刻に考えず放置してしまう人が珍しくありません。

しかし、何度か繰り返しているうちに悪化し、多くの場合、膝の内側に痛みを感じます。進行すると内側の軟骨が削られてなくなり、O脚に変形して膝をまっすぐに伸ばすことができなくなります。この段階になると、安静にしても膝が痛くなったり、夜も痛むので眠れなくなったりします。

痛みの悪循環
変形性膝関節症の痛みは、早いスピードで悪化していきます。それは、次のような悪循環があるからです。

膝のこわばりや軽い痛みがあり、「そのうち治るだろう」と放置する。

痛みがあるので、歩くことや動くことを控えるようになり運動量が減る。

筋力が低下し体重が増え、膝への負担が大きくなる。

いつも痛みを感じるようになる。

さらに体を動かさず安静にする。

さらに筋力が低下し体重が増える。

激しい痛みに常に襲われる。

「このような悪循環にはまらないようにするには、一番早い段階で痛みを感じたときに受診するとよいのですが、我慢してしまう人が多く見受けられます」と、平沼先生は注意を促します。

変形性膝関節症の基本的な検査

膝に痛みがあるときは、整形外科を受診します。問診のあとの触診がとても重要で、次のことを医師は確認します。

  • ・膝関節にストレスを加えたときの痛みの現れ方
  • ・動きの制限
  • ・腫れ
  • ・変形
  • ・関節の不安定性

 
それらに加え、X線(レントゲン)撮影をして診断しますが、MRIなどの検査をすることも。炎症が強く、関節穿刺で関節液が濁っている場合は、偽痛風、関節リウマチ、化膿性膝関節炎などの合併症を疑い、血液検査を行うこともあります。

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平沼整形外科クリニックの待合室

主な治療法

薬物療法:湿布や軟膏の外用薬、消炎鎮痛剤の内服薬、ヒアルロン酸の関節注射など

理学療法:筋トレなどのリハビリ、サポーターなどの装具療法など

手術:上記で治らない場合は人工膝関節置換術などを検討

変形性膝関節症など、軟骨のすり減りが原因で引き起こされる痛みは、自然に治ることはありません。その理由は軟骨ならではの特性にあります。

軟骨は自然に元には戻ってくれない

私たちがケガをすれば傷は治りますが、軟骨組織には血管が通っていないため、軟骨は一度傷ついたら元には戻りません。血液の中には、傷を治す細胞や、細胞を増やす栄養が含まれ、これらの成分が働いてケガが治ります。

一方、軟骨組織にはもともと血管がないためケガを治す細胞や栄養が供給されず、自然治癒できないのです。

関節に違和感や痛みがあっても、放置していては悪化するばかり。関節の機能を少しでもよくするために、軟骨成分の材料となるグルコサミンを増やすことがひとつの手立てとなります。どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

グルコサミンを食事で補うことはできる?

グルコサミンの理想的な摂取量の目安は、1日あたり約1,500mgと言われています。グルコサミンは、カニやエビの殻に最も多く含まれます。また、グルコサミンを材料とするプロテオグリカンは、牛・豚・鶏の軟骨、手羽先、うなぎ、やまいも、オクラ、納豆などといった食材に多く含まれています。

しかし、食材に含まれるグルコサミンやプロテオグリカンはごくわずか。1日の必要量をこれらの食材から摂ることは難しいと言わざるを得ません。加齢により減っていくグルコサミンを補うには、サプリメントを活用することが一番の近道です。

自身のクリニックでもグルコサミンのサプリメントを取り扱っている平沼先生は、次のように話します。

「関節の痛みがある人には、基本的な治療法として、薬物療法やヒアルロン酸注射、筋トレなどがあります。さまざまな治療法を試す中で、『なかなか改善しない』というときに、グルコサミンのサプリメントを提案することがあります」。

グルコサミンの研究対象の多くは変形性膝関節症の患者です。サプリメントを使うにしても、きちんと変形性膝関節症の診断がついていることが大切です。

グルコサミンは、平沼先生の父親にも効果が!

実は、平沼先生は父親にグルコサミンのサプリメントを試したことがあるそうです。

「膝の痛みで父がクリニックにやって来たことがありました。いろいろな治療法を試して改善されなかったため、『グルコサミンのサプリメントを試してみては』と渡したのです。数日後に、『痛みが取れた!』と大喜びでした。サプリメントは誰もが効くわけではありませんが、父とは相性がよかったのでしょう。私も効く人がいることを実感しました。さまざまな治療を試しても効果が得られずに悩んでいる人には、選択肢のひとつになると思います」

サプリメントのメリット

サプリメントは、「栄養補助食品」という言葉の示す通り、栄養素を効率よく補給できるのものです。食事で補いきれない、もしくは年齢とともに体内での生成量が低下する栄養素を補給したいときにとても便利。

カプセル、顆粒、タブレット、ドリンクなどさまざまなタイプがあり、無理なく気軽に飲めるので、毎日続けやすいこともメリットのひとつです。携帯に便利なカプセルや粒タイプなら、旅行などの外出先でも簡単に飲むことができます。

サプリメントの選び方、5つのポイント

最近はいろいろな種類のグルコサミンのサプリメントが登場しているので、自分に合った価格や形状を選ぶことができます。

医師の処方箋が必要なく手軽に購入できるため、CMなどの宣伝に影響されがちですが、整形外科でグルコサミンのサプリメントを取り扱っている場合も多いので、迷ったときはかかりつけ医に相談してみては。その他、一般的な選び方のポイントをいくつかご紹介します。

Point1有効成分をきちんとチェック
製品パッケージの成分表示を必ずチェックしてください。グルコサミンの他に、どのような成分が含まれているかなどもきちんと確認しておきましょう。

Point2日本でつくられている
サプリメントは世界各国でつくられていますが、特に輸入品は信頼できないことも。日本でつくられていればより安心できるうえ、困ったことがあればメーカーに問い合わせすることも可能です。

Point3天然素材でつくられている
合成素材でつくられているサプリメントがありますが、天然素材の方が体内への吸収率が高く、効果を十分に発揮してくれます。

Point4問い合わせ先が明記されている
サプリメントについて確認したいことがあったとき、問い合わせ先が明記されているものを選ぶと安心です。製造者、販売者、お客様相談窓口などを要チェック。

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Point5「必ず治る」などの誇大広告をしていない
サプリメントの効果は人それぞれ違います。「必ず治る」といった誇大広告をうたっているものは信用できません。また、○万円もするような驚くほど高額なサプリメントも避けた方がよいでしょう。

薬による治療や他のサプリメントを否定しているもの、他の人に商品を紹介することで特典があるといったものも要注意です。

サプリメントを使うとき、7つの黄金ルール

サプリメントを使用するときは、次のようなルールを頭に入れて適切に扱うことが大切です。

ルール1.摂りすぎない
「たくさん摂れば、効き目も大きいのでは」と思う人がときどきいますが、そのようなことはありません。摂りすぎると、食欲不振や下痢などの体調不良につながることもあります。体調や目的に応じて適正量より減らすのは大丈夫ですが、摂りすぎるのはNG。

ルール2.使用するときは、かかりつけ医に相談してから
「サプリメントなら、いちいち相談しなくても」と思うかもしれませんが、医師に伝えないでいると、純粋な検査データがとれなくなったり、治療の効果に影響を及ぼしたりすることも。「ワルファリンなど血液をサラサラにする薬を服用してサプリメントを使用した場合、薬の作用を強くしてしまうことがあります。薬との相互作用を確認するために、『サプリメントを使ってみたいのですが』と、かかりつけ医に事前に相談してください」(平沼先生)

ルール3.サプリメントだけに頼らない
「サプリメントを飲んでいるから、もう大丈夫」と安心してはいけません。サプリメントを利用しながら、生活習慣や食生活も一緒に見直していくことで、その効果が十分に発揮されます。

食事は毎日3食決まった時間に食べるように心がけ、肉・魚、野菜、果物などから栄養をまんべんなく摂るようにします。医師に指導を受けながら、筋トレやストレッチを行うことも忘れないでください。

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ルール4.副作用に注意する
多くのグルコサミンのサプリメントは、カニやエビなどの甲殻類から得られる「キチン」というアミノ糖の一種を原材料としてつくられています。カニやエビなどの甲殻類アレルギーの人は、何らかの症状が出る可能性も。そのような場合、トウモロコシなどから抽出して製造された植物由来のものを選ぶと安心です。

ルール5.ダラダラと続けない
サプリメントを使い始めると、惰性で飲み続けてしまう人が少なくありません。平沼先生によると、続ける期間は「3ヶ月」が目安なのだとか。それくらいは使い続けて、効果を感じなかったら使用を中止しましょう。

「痛みは、気持ちが作り出していることもあります。『このサプリメントを飲んでいると痛みが改善している気がする』と思えるだけでも効果はあります。そう思えなかったら使用をやめた方がよいでしょう」(平沼先生)

ルール6.体調が悪くなったら中止する
どこのメーカーのものを、いつ、どのくらい飲んだかメモすることをおすすめします。その上で、体調が悪くなったときはすぐに使用を中止し、医師に報告を。

ルール7.持病がある人は控える
グルコサミンはアミノ糖の一種のため、糖尿病や血糖値が高い人には向いていません。また、妊婦や授乳中のママは、医師に相談してから摂取を判断してください。

自分らしいライフスタイルを長く続けていくためには、立ち座りといった動作が無理なくできることが大前提です。そのために、日ごろから体をいたわり、違和感や痛みに敏感になることが大切。

「立つときに痛い」「外出すると膝などに不安がある」などと感じたら、整形外科を受診しましょう。その他に、上手にグルコサミンを摂取することも賢い選択です。

「もう年だから」「痛くて何もできない」とあきらめず、家族や医師、サプリメントなどの力を借りて、
健康に年を重ねてくださいね!

取材・文/内藤綾子

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取材協力・監修者プロフィール
平沼尚和
平沼整形外科クリニック 院長
日本医科大学卒。日本医科大麻酔科、日本医科大学整形外科、協友会屏風ヶ浦病院整形外科を経て、2005年に平沼整形外科クリニックを開業。痛みの治療を得意とし、最新のリハビリ機器をそろえて患者に合った治療を行う。

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