膝の痛みを治す!専門家がオススメする簡単ストレッチ&運動法

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高齢になると老化現象のひとつとして、膝が痛くなるのは仕方がないことで、改善することは難しいと思っている人は多いのではないでしょうか。

そんな人に朗報です。正しいストレッチや運動を継続的に行うことで、膝の痛みの緩和や膝痛予防の効果が期待できます。ストレッチのプロフェッショナルである「Dr.ストレッチ」の中村竜太トレーナーに、ストレッチが膝痛に有効な理由やストレッチの仕方について細かく教えていただきました。

目次


高齢になると起こりやすくなる膝の痛み

高齢になると、膝が痛くて「階段の上り下りがつらい」とか「正座ができない」などの悩みを抱える人は多いようです。では、なぜ高齢になると膝の痛みに悩む人が増えるのでしょう。それは、たとえ病気やケガをしていなくても、年齢を重ねるごとに膝を支える周りの筋肉は自然と衰えていくからです。

また、膝の関節軟骨もすり減っていくことから、膝に大きな負担がかかります。継続的に負担がかかることで、炎症が起きて膝に痛みが出るようになるのです。

さらに、加齢とともに筋肉や骨の量も次第に減少していきます。そこで運動量も減ってしまうと筋力の低下が以前にも増して進み、やがて筋肉が硬くなってしまうのです。

膝の痛みになぜストレッチが有効なの?

高齢者に限らず、膝のまわりの筋肉が硬くなると関節を動かす可動域が狭くなるため、膝をスムーズに動かすことができなくなります。硬くなった筋肉は、劣化したゴムのように伸縮性が失われてしまうのです。

硬くこわばった膝まわりの筋肉をほぐすのにおすすめなのがストレッチです。筋肉には体の浅い層の部分にある表層筋と、深い層の部分にある深層筋があります。

表層筋は“アウターマッスル”、深層筋は“インナーマッスル”と呼ばれています。前者は、体の外側にある筋肉で、胸、おなか、お尻、太ももなど目に見える大きな筋肉のことです。一方、後者は体の奥にある筋肉のことで、主に関節がはずれないように固定する働きを担っています。

硬くなった筋肉を柔らかくするには、アウターマッスルだけでなく、インナーマッスルを伸ばすことが必要です。このインナーマッスルを伸ばすのに有効なのが、ゆっくりとした動作で筋肉をほぐしていくストレッチなのです。

ストレッチを継続的に行い、膝まわりの筋肉を伸ばすことで柔軟性が促進され、膝関節の可動域が広がります。可動域が広がれば膝への負担が減り、膝の痛みも軽減されます。

また、ストレッチをすると、体をリラックスさせる副交感神経が優位になると言われています。硬くなった筋肉がほぐれることで血液の循環も促され、冷え性などの体調不良の改善にも期待できます。

ストレッチをするうえで大切なのは、まず、伸ばしたい部分を意識することです。そして、正しい姿勢でストレッチすることが重要です。正しい姿勢で行うことで、インナーマッスルにまで効果が十分に行き届き柔軟性が高まります。

ただし、無理は禁物です。反動をつけて伸ばすのはNG。自然な呼吸で自分の柔軟性に合わせて、ストレッチを行いましょう。

膝を動かす主な筋肉は?

ストレッチをする場合は、伸ばす筋肉を意識しながら行うのがポイントです。膝の動きに関わる以下の主な筋肉を覚えておきましょう。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
太ももの前側にある筋肉群の総称で、大腿直筋(だいたいちょっきん)・中間広筋(ちゅうかんこうきん)・外側広筋(がいそくこうきん)・内側広筋(ないそくこうきん)と呼ばれる、4つの筋肉で構成されています。膝を伸ばす、上げる、歩くなどの働きにも関わります。

ハムストリングス
太ももの裏側にある筋肉群の総称で、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)・半腱様筋(はんけんようきん)・半膜様筋(はんまくようきん)と呼ばれる3つの筋肉で構成されています。膝関節の屈曲に大きく関わっています。歩行やランニングといった日常動作や前傾した上半身の動作などに関与しています。

内転筋(ないてんきん)
太ももの内側にある筋肉群の総称で、大内転筋(だいないてんきん)・短内転筋(たんないてんきん)・長内転筋(ちょうないてんきん)・恥骨筋(ちこつきん)・薄筋(はっきん)と呼ばれる5つの筋肉で構成されています。下半身のバランスを調整する働きに関わります。

大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)
太ももの上部外側にある筋肉で、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)に付着し、その先が膝蓋骨(しつがいこつのすぐ下にある脛骨(けいこつ)につながっています。脚を付け根から前方へ振る、内側にひねる、外側に開くといった動作に関与しています。

ストレッチを始める前に
膝の痛みが強い、痛みは強くはないが痛みが続いている、立ち上がる、歩くのがつらいなどの症状がある場合は、何らかの病気が関係していることがあります。違和感や痛みがあるときは、ストレッチは中止して整形外科などを受診してください。

※Dr.ストレッチの店内では、下記の写真のようにベンチマットの上でストレッチを行いますが、自宅で膝のセルフストレッチをするときは平らな床の上などで行いましょう。

撮影協力:Dr.ストレッチ新宿メトロ店

膝の痛みを改善! 膝を伸ばすストレッチ

【膝を伸ばすストレッチ①】

1

1 両膝をついて、つま先を立てて座ります

2

2 左脚を伸ばします

3

3 左手で右膝を抑えながら上体を倒して右手で左足のつま先に触れます。つま先まで届かない場合はすねの部分に触れます。この状態を10秒キープします。このとき、膝の裏の筋肉が伸びていることを意識しましょう。

4 右脚も同じように行います

5 交互に2回繰り返します

【膝を伸ばすストレッチ②】

4

1 左耳に左手を当てて両脚を伸ばした状態で横向きに寝ます

5

2 左脚を少し前に出して曲げ、右脚を斜め後ろに伸ばします

6

3 右膝を曲げて右手でつま先を引っ張り上げます。この状態を10秒キープします。このとき、太ももの前の筋肉が伸びていることを意識しましょう

4 左脚も同じように行います

5 交互に2回繰り返します

お風呂で膝のストレッチ

膝が少し痛いからといって、まったく動かさないでいるのはむしろ逆効果。そのままでは、いつまでたっても膝の痛みを改善することはできないでしょう。「動かすと痛いのでは?」といった痛みに対して恐怖心がある場合は、バスタイムを利用してみてはいかがでしょう。

水の中は浮力があるので、膝への負荷も軽減されます。「普段、膝が痛くて正座ができない」「しゃがむのもつらい」という人でも、湯船の中ならできるという人もいるようです。

また、筋肉には温度が高くなると伸びやすく、冷えると伸びにくくなるという性質があります。ぬるめのお湯につかって体を温めてからストレッチを行うと、筋肉が伸びやすくなるのでおすすめです。

だだし、お風呂でストレッチを行う場合は、以下の点に注意しましょう。

・浴槽は滑りやすいので気をつけましょう
・体が十分に温まってから行いましょう
・急に膝を曲げると、かえって悪化する可能性があるので十分に注意してください
・浴槽内での運動は心拍数が上りやすいので、回数は厳守し無理のない範囲で行いましょう

【お風呂で膝のストレッチ①】
1 浴槽の中に立ち、両手で浴槽のふちをつかんで両膝を少しずつ曲げていき、痛くない範囲で膝を曲げ、その状態を10秒間キープします

2 両手で浴槽のふちをしっかりつかんで、ゆっくりと立ち上がります

3 1~2を2回繰り返します

【お風呂で膝のストレッチ②】
1 浴槽の中に膝を伸ばした状態で座ります

2 両手で右脚の足首つかみます。痛くない範囲で足首を体の方に引き寄せます

3 その状態を10秒間キープした後、ゆっくり1の状態に戻します

4 左脚も同じように行います

膝のまわりの筋肉をほぐすストレッチ

膝蓋骨(しつがいこつ)は、膝の前面を保護している三角形の骨で、その形状から「膝の皿」とも呼ばれています。膝蓋骨のまわりの筋肉を柔らかくすることで、膝をスムーズに動かすことができます。

【膝のまわりの筋肉をほぐすストレッチ①】

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1 両脚を伸ばして座り、右脚を曲げます

8

2 両手で太ももの外側と内側の筋肉の部分に手を添えます

9

3 両手で筋肉を圧迫しながら右膝をゆっくりと伸ばしていきます。下に脚が着かないところで止めて、
さらに、両手で太ももの外側と内側の筋肉を圧迫しながら、ゆっくりと2の位置に戻します

4 これを2回繰り返します

5 左脚も同じように行います

【膝のまわりの筋肉をほぐすストレッチ②】

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1 右脚を伸ばし、左脚を立てた状態で座り、右手で体を支えます

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2 右脚を外側に倒し、倒した右脚の内側に左手を添え

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3 左手で押しながら膝を伸ばします

4 1~3を2~3回繰り返します

5 右脚も同じように行います

膝のまわりの筋肉を鍛える運動

ストレッチで膝のまわりの筋肉を柔らかくするとともに、膝まわりの筋肉を鍛えて筋力を強化することも膝を健康な状態に保つためには必要です。以下の運動も取り入れてみましょう。

【膝のまわりの筋肉を鍛える運動①】

13

1 うつぶせになります

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2 右手で右足のつま先をつかみ、お尻の方に引き寄せます。この状態を10秒キープして、太ももの前の筋肉を鍛えます。

3 左足も同じように行います

4 交互に2回繰り返します

【膝のまわりの筋肉を鍛える運動②】

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1 仰向けになり、左膝を曲げて立てます

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2 おなかを引き締め、左脚が床と平行になるように保ちながら、重ねた手のひらを膝に添えて膝と手のひらで5回程度、押し合います。太ももの前の筋肉と股関節まわりの筋肉を鍛えます

3 右脚も同じように行います

【膝のまわりの筋肉を鍛える運動③】

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1 両膝を曲げて、両手を後ろに着いて座り、右脚の膝の下に丸めたタオルを置きます

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2 右膝の裏でタオルを押しつぶす意識で5~10秒間、全力で膝を伸ばします。この動作を3回繰り返し、太ももの前の筋肉を鍛えます

3 左脚も同じように行います

4 交互に2回繰り返します

【膝のまわりの筋肉を鍛える運動④】

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1 ゆっくりと両膝を曲げて正座をします

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2 後ろに両手をついて、おなかを引き締めます。このとき膝が上に浮かないように注意しましょう。この状態を10秒キープして太ももの前の筋肉を鍛えます

3 1の状態に戻り、2を繰り返し行います

【膝のまわりの筋肉を鍛える運動⑤】

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1 両脚を曲げて座ります

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2 右足のつま先を両手でつかみすねの方に引き寄せます。この状態を10秒キープして、ふくらはぎの筋肉を鍛えます

3 左足も同じように行います

4 交互に2回繰り返します

膝の健康を保つ効果的なストレッチ

いつまでも膝を健康な状態に保つためにおすすめのストレッチをご紹介します。
【膝の健康を保つ効果的なストレッチ①】

23

1 両脚を伸ばして座ります

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2 右脚を曲げて左脚の膝の上に乗せて、右脚の膝をゆっくり押します。これを5回繰り返します。このとき、大殿筋と太ももの外側の筋肉が伸びていることを意識しましょう。

3 左脚も同じように行います

【膝の健康を保つ効果的なストレッチ②】

25

1 両脚を伸ばして座ります

26

2 右脚の膝を曲げて左脚を右脚の下に入れて体の方に引き寄せます。この状態を10秒キープします。このとき、右脚の中殿筋が伸びていることを意識しましょう

3 左脚も同じように行います

4 これを交互に2回繰り返します

【膝の健康を保つ効果的なストレッチ③】

27

1 右脚の膝を曲げて左脚を右脚の下に入れて体の方に引き寄せます。

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2 右膝を立てて左脚の太もも側に交差させて両手で膝を抱え、体を引き寄せます。この状態を10秒キープします。このとき、右脚の中殿筋が伸びていることを意識しましょう

3 左脚も同じように行います

4 これを交互に2回繰り返します

【膝の健康を保つ効果的なストレッチ④】

29

1 両脚を外側に倒し両手で両足首をつかんで座ります

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2 上体を前に倒します。この状態を10秒キープします。このとき、両脚の内転筋が伸びていることを意識しましょう

3 これを交互に2回繰り返します

【膝の健康を保つ効果的なストレッチ⑤】

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1 両脚を曲げて仰向けになります

32

2 右脚を曲げて左脚の膝の上に乗せます

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3 両手を組んで右膝を抱え体の方に引き寄せます。この状態を10秒キープします。このとき、左脚のお尻と太ももの裏の筋肉が伸びていることを意識しましょう

4 左脚も同じように行います

5 これを交互に2回繰り返します

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ストレッチを継続して脳に記憶させる

ストレッチは毎日行うことが理想です。筋肉が硬い状態が続くと、脳は硬い状態が「正常」なのだと記憶します。その筋肉を伸ばそうとすると、脳は違和感や痛みの指令を出して、動きを止めるように警告します。

そこで、毎日継続してストレッチを行うことで、“自分の体の筋肉はここまで伸びる“のだということを脳に教えて記憶を更新させる必要があります。脳に新しい情報を上書きするためにも、ストレッチは毎日行いましょう。

毎日ストレッチを続けるコツは、時間や回数、場所などを限定せずに日常生活のどこかに取り入れることです。時間や場所を決めてしまうと、タイミングを逃したときに挫折しやすくなります。

例えばテレビを見ながらなど、“ながらストレッチ”がおすすめです。ストレッチは1日5分から始めましょう。そして、膝に痛みがあるときは決して無理をしないこと。

たとえ1日休んでも罪悪感を持つことはありません。翌日、良くなってから再開しましょう。長く続けることが秘訣です。

高齢になると出やすくなる膝の痛みを改善するのに有効なのが“ストレッチ”です。硬くこわばった筋肉をほぐすには、体の外側にあるアウターマッスルだけでなく、体の奥の部分にあるインナーマッスルを伸ばすことが大切です。痛みに対して恐怖心がある人は、湯船で浮力を利用してストレッチを行う方法があります。

膝痛を改善・予防するストレッチの方法はたくさんあります。無理に伸ばそうとせずに自分の柔軟性に合わせて行いましょう。また、ストレッチは毎日行うことが理想です。筋肉が硬い状態が続くと、脳は硬い状態が「正常」なのだと記憶します。毎日継続してストレッチを行うことで、“自分の体の筋肉はここまで伸びる“のだということを脳に教えて記憶を更新させましょう。

毎日ストレッチを続けるコツは、時間や回数、場所などを限定せずに日常生活のどこかに取り入れることです。1日5分から始め、膝に痛みがあるときは決して無理はしないで、少しずつ長く続けることが秘訣です。膝が痛いのは“老化現象”だとあきらめる前にトライしてみましょう!

出典:痛み・こり・むくみが解消[健康]コアストレッチ 2014年5月29日発行 監修 Dr.ストレッチ 発行元 池田書店

取材・文/高橋晴美

取材協力・監修者プロフィール
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中村竜太
Dr.ストレッチ テクニカルトレーナー
世界三大ミスコン「ミスワールド」大会のサポートトレーナーや、オリンピック種目「3人制バスケ」などアスリートのサポートトレーナーとして活躍。サロンやエステの講義活動も行う。資格はNASM-PES FMS
ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」 https://doctorstretch.com/
メディカルグローアップアカデミー  https://mgac.jp/

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