【専門家監修】コラーゲンは美容だけでなく関節痛にも効果的!

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コラーゲンは「美容によい」「肌や身体のみずみずしさを保つ」という話を聞いたことがある人は多いはず。「それだけでなく、関節痛にも効果的なんです」と話すのは、早稲田大学ヘルスフード科学部門 部門長であり農学博士の矢澤一良(やざわかずなが)先生です。食による予防医学に50年以上携わり、食品成分のスペシャリストとして名高い矢澤先生に、コラーゲンの基礎知識や効果、関節痛の予防や改善に役立つ摂取の方法などを伺いました。

目次

そもそもコラーゲンとは?

コラーゲンは、私たちの身体に存在するたんぱく質の一種。たんぱく質は炭水化物、脂質とともに「三大栄養素」と呼ばれ、人の身体を構成する重要な成分のひとつです。人の身体は、水分を除くとたんぱく質が最も多く存在していて、その約1/3をコラーゲンが占めています。コラーゲンは、皮膚、骨、腱などの主成分で、少量なら身体中にあります。

コラーゲンは、構造がとてもユニークです。一般的なたんぱく質は丸い形をしていますが、コラーゲンは、3本の長い繊維(グリシン、プロリン、ヒドロシキプロリンなどといったアミノ酸の鎖)がらせん状にからみ合って、一本の「コラーゲン繊維」を形成しているのが特徴です。

コラーゲンの種類と特徴

「コラーゲン」とひとことで言っても、いくつかの型が存在し役割が違っています。現在わかっているだけでも19種類の型が存在し、発見された順番にギリシャ文字の番号で分類されています。一般的に知られているのはⅢ型あたりまでです。

Ⅰ型コラーゲン
体内に最も多く存在しています。腱、筋膜、皮膚、骨などに見られ、弾力性を持たせる働きがあります。

Ⅱ型コラーゲン
関節・軟骨繊維の主成分です。眼の角膜、硝子体にも見られます。

Ⅲ型コラーゲン
臓器に多く含まれています。血管、リンパ組織、脾臓、肝臓、平滑筋など弾力のある組織に見られます。

Ⅳ型コラーゲン
皮膚の表皮と真皮をつなぎとめる役割があります。

Ⅴ型コラーゲン
血管・平滑筋、胎盤に多く含まれます。

20歳をピークにどんどん減る!

体内のコラーゲンは分解と合成を繰り返して入れ替わっていますが、年齢を重ねると合成が追いつかず、分解される量が一方的に増えます。そのためコラーゲンの量は20歳をピークに減っていき、40代半ばになると、20歳のころの半分くらいにまで落ち込みます。

また、紫外線を浴びる、ストレスを受けるといったことで体内の活性酸素が増えると、身体がどんどんさび付いてしまい、体内のコラーゲンが老化しやすくなることも減少に拍車をかけています。

コラーゲンが減ると、身体にどのような影響が現れるのでしょう。コラーゲンのさまざまな効果とともに、詳しく解説します。

コラーゲンの効果1 皮膚に潤いを与える

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加齢によりコラーゲンが減少すると、顕著に影響を受けるのが皮膚です。皮膚は、外側から、表皮・真皮・皮下脂肪の3層構造をしています。このうち、コラーゲンは皮膚の土台ともいうべき真皮に存在し、以下のような効果を発揮します。

  • ・肌に潤いを与える
  • ・肌にハリを与える
  • ・シミ、ソバカスを抑える
  • ・紫外線によるダメージを抑える
  • ・虫刺されや切り傷の跡を消す

など

「コラーゲンは水との親和性が高いので、保水性に優れています。ハリと弾力を与えて、みずみずしく健康的な肌を保てるのは、まさにコラーゲンのおかげです」(矢澤先生)

コラーゲンは、細胞同士を結合させ、老廃物を排出する働きをします。加齢によってコラーゲンの合成量が減ると、細胞同士を結合させる働きが弱まるため、たるみやシワが増え、乾燥しがちな肌になってしまいます。

「肌の老化は止められませんが、『年だから仕方ない』とあきらめないでください。コラーゲンを積極的に補給することで、老化のスピードをゆるやかにできます」と矢澤先生は話します。コラーゲンを摂取すると、真皮のコラーゲンの合成が活発になります。年をとったマウスに一週間コラーゲンを与えた実験では、コラーゲンの合成能力が2.5倍も高まったという報告があります。

矢澤先生も実験したコラーゲンの美肌効果

矢澤先生も、次のような実験を行っています。

【実験対象者】
肌のかさつきやたるみに悩んでいる40~44歳の女性20名

【実験の方法】
グループ1 コラーゲン入りの食品をとってもらう
グループ2 コラーゲンの入っていない、そっくりな偽物食品をとってもらう
実験対象者を上記のグループにわけて、8週間後に肌の状態を比較しました。どちらのグループがコラーゲン入りの食品をとっているのか、対象者はもちろん、スタッフも知りません。

【実験の結果】
コラーゲンを摂取していないグループの肌は、かさつきや肌荒れが目立ちました。一方、コラーゲンを摂取していたグループは、次のような効果が見られました。

  • ・目尻と頬の角質の水分量が高い
  • ・目尻のシワが目立たなくなった
  • ・5人の美容専門家による拡大写真の判定で高評価を受けた
  • ・顕微鏡写真の判定では、コラーゲンの摂取期間が長いほど肌状態がよい

以上のことから、コラーゲンは肌のかさつきやシワの予防には非常に有効だとわかったのです。

コラーゲンの効果2 骨を形成する

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コラーゲンは肌のほかに、骨にも役立っていることはあまり知られていません。「骨といえばカルシウムと思いがちですが、実は骨の1/3はコラーゲンでできています」と矢澤先生。

「コラーゲン繊維の隙間に、カルシウムが埋まって骨がつくられています。コラーゲンの特徴は、非常に柔軟性に富んでいること。コラーゲンが骨の柔軟性を保つことで、骨がもろく折れやすくなることを防いでいるのです。もし骨がカルシウムだけでできていたら、ちょっとした刺激でも簡単にポキンと折れてしまうでしょう。コラーゲンのおかげで、骨本来のしなやかさが生み出されているのです」

骨は、古いコラーゲンを分解し、新しいコラーゲンをつくって強さを維持しています。ところが、年齢を重ねるごとに骨のコラーゲンが減り始め、カルシウムも少しずつ失われ、最終的に骨は軽石のようにスカスカに。これが骨粗しょう症と呼ばれる病気で、閉経後の女性に多く見られます。

特に、高齢の女性は注意が必要です。骨粗しょう症は自覚症状がないままに進行することが多く、ちょっとよろけたはずみに太ももの付け根を骨折するケースが少なくありません。

そのまま歩けずに寝たきりとなり、認知症を引き起こす、寿命を縮めるといった可能性もあります。「骨粗しょう症を防ぐには、なるべく早い時期からコラーゲンを十分に摂り、骨の量を増やすことが重要です」(矢澤先生)

コラーゲンは骨粗しょう症の救世主!

骨粗しょう症とコラーゲンの関係について、各方面からのさまざまな報告があります。

・食事中のたんぱく質やカルシウムの量が少なくても、コラーゲンを積極的に摂っていると、骨の密度や強さが改善されることが動物実験でわかっています。 

・閉経後の骨粗しょう症の状態にしたラットに、2週間にわたってコラーゲンを与え続けた実験では、太ももの付け根の骨の「骨の密度」が明らかに改善されたという報告も。

・海外の研究では、骨粗しょう症の患者さんに、骨の分解を抑える薬にコラーゲンを併用したところ、薬を単独で投与したときよりも骨の破壊が抑えられました。 

「閉経後でもコラーゲンを日常的に摂取していると、骨の中のカルシウムを増やすことができます。高齢の女性でも、今から始めて遅くはありません」と矢澤先生はアドバイスします。

コラーゲンの効果3 血管の柔軟性を保つ

血管は、中に血液が通っている“ホース”のように見えますが、自ら収縮を繰り返して血液の流れを促しています。そのため血管は非常に弾力に富んでおり、この弾力を生み出しているのがコラーゲンです。血圧がある程度まで上昇しても、血管が破裂することなく柔軟に対応できるのはコラーゲンのおかげです。

また、血管には、老廃物などの血中の成分がぶつかるなどして絶えず細かい傷が生じています。コラーゲンは、血液中を流れている血小板という成分を呼び寄せて、傷口をふさぐのも助けています。

加齢などに伴ってコラーゲンが減ると、血管の柔軟性が失われて血流が悪くなったり、血圧が上昇しやすくなったりします。傷の修復もうまくいかなくなり、血管壁にコレステロールが沈着しやすくなることも。血圧の上昇とコレステロールの沈着は、どちらも動脈硬化のリスクを高めます。

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「年齢を重ねるごとに、ある程度の動脈硬化は避けられないことです。食習慣の乱れやストレスなどによって悪化すれば、心筋梗塞や脳梗塞につながる危険性もあります。血管の弾力性を維持し、全身のアンチエイジングにコラーゲンは欠かせません」と矢澤先生は話します。

コラーゲンの効果4 関節痛の改善と予防に役立つ

人が2本足でしっかりと立ち、歩く、走る、跳ぶ、しゃがむといった動きが自然にできるのは、骨によって身体が支えられているからです。ただし、骨と骨が直接接すると、こすれて傷つけ合ってしまいます。そこで、間に入って骨と骨をつなぐジョイントの役割を果たすのが関節です。

関節は、軟骨という柔らかい骨で覆われています。軟骨は、関節に衝撃が加わるとクッションとなって力を分散させ、骨と骨との摩擦を防ぎ、衝撃を和らげます。

軟骨と軟骨の間のわずかな隙間には、「滑液(かつえき)」と呼ばれる水分が存在し、潤滑油となって軟骨とともになめらかな動きをサポートしています。軟骨には血管が通っていないので、血液から栄養補給ができません。そのため、関節を動かすたびに滑液が出入りして栄養補給も行っています。

人の身体には、300カ所以上の関節があり、中でも酷使されているのが膝です。平らな道を歩いているときでも、体重の2~3倍の負荷がかかると言われています。体重50キログラムの人なら、100~150キログラムもの負荷がかかるうえ、走ったり、階段を上り下りしたりすると、負荷はその数倍から数十倍に! 実際に、40歳を過ぎたころから、膝の痛みに悩む人は少なくありません。

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「軟骨は一度傷害すると、以前のような健康状態に戻るのが難しくなります。痛みがある場合、放置すると悪化し、歩くことや立つことがつらくなり、QOL(生活の質)が著しく低下します。関節の弾力を生み出している軟骨の主成分は、コラーゲンです。

加齢とともにコラーゲンが減ってくると、軟骨がすり減って関節痛を引き起こしやすくなります。コラーゲンを日常的に摂取していれば、関節痛の予防に役立ちます。また、『すでに痛みが出てしまってつらい』という人でも、痛みを和らげることが期待できます」(矢澤先生)。

海外の研究では、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)の患者さんにコラーゲンを摂ってもらったところ、痛みの軽減や身体機能の改善が見られたという報告があるそうです。

コラーゲン以外にも関節痛に効果的な成分

関節軟骨は、主に次の成分からつくられています。

  • ・水分
  • ・Ⅱ型コラーゲン
  • ・プロテオグリカン

関節の軟骨に働きかけるのは、Ⅱ型コラーゲンです。プロテオグリカンは、II型コラーゲンの間に存在し、高い保水性と弾力性があるのが特徴です。プロテオグリカンがつくられるための成分が、グルコサミンとコンドロイチンです。どちらも軟骨の水分量を高めて弾力性を保ち、動きをスムーズにします。

関節の健康を保つには、グルコサミンとコンドロイチンの働きが重要ですが、年をとるにつれてどちらも失われていきます。そのため、関節軟骨の摩耗が進み、関節の痛みへと発展するのです。「関節軟骨の摩耗を防ぐには、コンドロイチンとグルコサミンを積極的に補うのがよいでしょう」(矢澤先生)

コンドロイチンとグルコサミンが多く含まれる食材

・コンドロイチンが多く含まれる食材……フカヒレ、ウナギ、スッポン、アワビ、ナマコ、魚の皮や骨、カレイ・ヒラメ・アンコウなどの煮汁など

・グルコサミンが多く含まれる食材……カニやエビの殻、ウナギ、干しエビ、山芋、オクラ、イカの軟骨、きのこなど

「グルコサミンやコンドロイチンは食材で十分に摂ることが難しいので、サプリメントを活用することがおすすめです。体内ではコラーゲンと一緒に働くことが多いので、合わせて摂るのが効果的。関節の痛みには最強の組み合わせです」と矢澤先生は話します。

コラーゲンを賢く摂取して、美肌や関節痛予防を目指す

美容や健康によいことづくめのコラーゲンですが、加齢とともに減っていくのが悩みどころ。矢澤先生は、「食べ物で上手に補給しましょう」とアドバイスします。

コラーゲンが多く含まれる食材

  • ・鳥の手羽先や皮
  • ・牛骨
  • ・豚骨や皮
  • ・魚の皮や骨、目玉、内臓、ウロコ

鳥、牛、豚は、じっくり煮込むと煮汁にコラーゲンがたっぷり入っています。料理なら、焼き鳥、ホルモン焼き、フカヒレスープ、アンコウ鍋、魚介類のブイヤベース、カレイやヒラメの煮付けなどがコラーゲンメニューです。

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「私自身も、コラーゲンは意識して摂るようにしています。3日に一度は魚料理をメインにして、魚は皮まで丸ごと食べます。ラーメン屋へ行けば、いつも豚骨味ですね」(矢澤先生)

コラーゲンは、アミノ酸がつながった分子量が大きい成分です。そのため、「コラーゲンは食べても吸収されにくい」と言われていました。しかし最近の研究では、そうでないことがわかっています。

コラーゲンは他の食べ物と同じように、胃や腸で消化酵素によってアミノ酸に分解されます。コラーゲンを摂取すると、コラーゲンにしか含まれていない特殊なアミノ酸(ヒドロキシプロリンなど)が血中に増え、それがコラーゲンを増やすことが明らかにされました。

コラーゲンの効果を得るには、どのくらいの量を摂ればよい?

肌や身体の健康に役立てるには、1日最低5グラムの摂取が目安です。「毎日食べ物から摂るのは大変」という人は、サプリメントを活用するとよいでしょう。目的に合わせてコラーゲンと他の成分を組み合わせると、効果がアップします。

美肌をつくりたい……アスタキサンチンやビタミンCと併用を。両者には、コラーゲンの老化の元となる活性酸素を排除する抗酸化作用があります。また、ビタミンCはコラーゲン生合成を高めますが、ストレスや喫煙で減少するので注意してください。

関節痛が気になる……コンドロイチン、ヒアルロン酸やグルコサミンと併用を。関節軟骨の成分なので、軟骨の強化に役立ちます。

サプリメントは、加工法により「非変性」と「変性」にわかれています。矢澤先生は、「どちらでも好みで選ぶとよいでしょう」と話します。

「関節痛があると、日常生活がつらくなります。身体をしっかりと支えるために、適度な運動を行って筋肉づくりにも目を向けてください。そして、筋肉の材料となるたんぱく質をたくさん摂ることも忘れないで。たんぱく質の中でも、コラーゲンを摂るように意識すれば、関節痛の軽減や改善につながるに違いありません。筋肉づくりとコラーゲン摂取を両立して健康のメリットをたくさん享受し、美肌も手に入れて若返りを目指しましょう」(矢澤先生)

取材・文/内藤綾子

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取材・監修者プロフィール
矢澤一良(やざわかずなが)
早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長(農学博士)
京都大学工学部工業化学科卒業。1973年、ヤクルト本社中央研究所入社。1986年、相模中央化学研究所入所。東京大学から農学博士号を授与。2000年、 湘南予防医科学研究所を設立。東京水産大学客員教授・特任教授を経て2014年より早稲田大学研究院教授、2019年より現職。
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構

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