腰痛に効く!専門家がオススメする簡単ストレッチ&運動法

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腰痛で悩む人は性別に関係なく多いようで、日本人の4人に1人は腰痛で悩んでいるというデータもあります。特に高齢になると慢性腰痛で悩む人が増えていると言います。腰痛の改善・予防に効果的と言われているのがストレッチ。ストレッチのプロフェッショナルである「Dr.ストレッチ」の中村竜太トレーナーに、腰痛予防や腰痛のときでも実践できる正しいストレッチの仕方を教えていただきました。簡単なのでさっそく今日から始めてみましょう。

目次

腰痛が起こる原因は?

背骨の腰の部分を「腰椎(ようつい)」と言いますが、腰椎はちょうど体の中心にあり、上半身と下半身を支えています。立ち上がったり座ったりしたときに、体のバランスをとる役割などを担っています。腰椎は上半身からの重さや力が加わる最も負担のかかる部分になるので、腰痛の人が多いのも当然かもしれません。腰痛になる原因は複数ありますが、主に下記の要因が考えられるのではないでしょうか。

  • 1 長時間同じ姿勢でいたことで、筋肉が緊張して固くなってしまった
  • 2 加齢による筋肉の衰え
  • 3 運動不足
  • 4 無理な負担がかかった
  • 5 椎間板ヘルニアなど何らかの疾患がある

特に、1・2・3は慢性腰痛に悩まされている人に多く見られる原因と言われています。加齢や運動不足などで体全体の筋肉が衰えると、背骨を支えることができなくなってしまいます。そうなると、正しい姿勢を保てなくなり、その状態が続くことで背骨にゆがみが生じるようになります。

腰はもともと負担がかかりやすい部分ですが、背骨がゆがむことでさらに腰椎にかかる負担が増えると腰痛が起きます。

腰痛にはなぜストレッチが効果的なの?

「腰に痛みがあるときは安静にしていなければいけない」と思っている人は多いかもしれませんが、実は安静にした方がいいのは限られた場合だけで、早いうちから動く方が良いと言われています。

長い間、体を動かさずに家で安静にしていると腰まわりの筋肉はどんどん衰えてしまいます。ストレッチには、さまざまな効果が期待できるので、毎日少しずつ継続して実践してほしいです」と、中村竜太トレーナー。
では、ストレッチには具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?

  • ●腰まわりの筋肉が鍛えられるので、腰への負担が軽減され腰痛や腰の違和感がやわらぐ
  • ●骨盤のゆがみを矯正し正しい位置に戻す働きがある。また、体幹も鍛えられるため姿勢もよくなる
  • ●血流やリンパの流れが促されるのでむくみの軽減や冷え性の改善、さらに、疲労物質を効果的に排出できる
  • ●正しい姿勢とゆっくりとした動作で深層部にあるインナーマッスルを伸ばすことで、筋肉がよりほぐされ体が引き締まる
  • ●自律神経を整える効果も期待できるので、心身ともにストレス解消に役立つ

腰痛のときにストレッチすべき筋肉は?

背骨は前と横を腹筋に、後ろを背骨に支えられています。筋肉が背骨を支えることで、前後左右のさまざまな動きをスムーズにします。

特に腰を安定させるために必要な主な筋肉は、おなかの前側にある「腹直筋(ふくちょくきん)」、骨盤を支える「腸腰筋(ちょうようきん)」、背中の中心にある「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」、お尻にある「大殿筋(だいでんきん)」、腰椎の両外側にある「腰方形筋(ようほうけいきん)」です。

「腰に軽い痛みを感じたときや腰痛を予防するには、腰まわりだけをストレッチすればいいと考えがちですが、実はそれだけでは十分とは言えません。全身の骨は関節によって骨組みをつくり、骨についている筋肉により全身のバランスが保たれています。それは、背骨を中心に作られた“テント”や“建物”をイメージするとわかりやすいかもしれません。一つひとつの関節はそれぞれの働きがありますが、隣り合う関節にも動きが連動しています。同様に筋肉もそれぞれ異なる動きがあり、筋肉を包む筋膜同士も連結しています。固くなってしまった「ハムストリング」、「大腿二頭筋(だいたいにとうきん)」、「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」、「僧帽筋(ぞうぼうきん)」、「菱形筋(りょうけいきん)」、「大胸筋(だいきょうきん)」、「三角筋(さんかくきん)」、「広背筋(こうはいきん)」などの筋肉を同時にストレッチすることも、腰痛の改善や予防には必要です。ストレッチを始める前に、まず、腰に関わる筋肉がどの部分にあるのか、しっかり確認しておきましょう」(中村トレーナー)。

●復直筋
おなかの前面に細長く付いている大きい筋肉。一般的に「腹筋」や「シックスパッド」とも呼ばれています。6つのブロックだけでなく、へその下から股下までの長い三角形の部分も腹直筋です。かがむときや腰を伸ばすとき、ひねるときの動作に関わります。また、内臓を正しい位置に収める役割も担います。

●腸腰筋
腰椎と大腿骨をつなぐ筋肉。インナーマッスルで「深部腹筋群」とも言います。腰椎のS字カーブを保ったり、股関節を曲げたりする働きを担います。運動に深く関わる筋肉で、多くの筋肉の中でも唯一重力から体を守るという役割をも果たしています。

●腹斜筋
おなかの両側にある肋骨から腰骨の方までまっすぐ伸びている筋肉。胴体を前に倒す、横に倒す、ねじる働きがあります。

●脊柱起立筋
骨盤から頭蓋骨にかけてついている「棘筋(きょくきん)」、「最長筋(さいちょうきん)」、「腸助筋(ちょうろっきん)」という3つの大きな筋肉の総称。背骨を支え、S字カーブを保つ、腰を伸ばす、曲げる、反らす、ひねるなどあらゆる動きに関連しています。

●大殿筋
お尻にある大きな筋肉。骨盤と大腿骨をつないでいます。腰椎を下から支えて動きを安定させる役割を担います。ハムストリング(太ももの裏側にある筋肉)と共同して股関節の動きに深く関わっています。

●腰方形筋
腰椎の両外側に長方形のような形状で存在する筋肉。呼吸の補助や骨盤を正しい位置に保つ役割があります。

※腰方形筋は左右対称に付着する筋肉のため、どちらかの筋肉が硬くなったり弱くなったりすると、骨盤の左右の高さに差が生じ骨盤の傾きを引き起こし、腰痛などの原因になることも。

●ハムストリング
太ももの裏側にある筋肉群の総称。膝を曲げる、後方へ蹴るなどの働きがあります。

●大腿二頭筋
太ももの裏側にある筋肉でハムストリングの外側を構成しています。下は腓骨から始まり、上は骨盤の座骨付近と太ももの付け根の2つをつないでいます。主に膝を曲げたり股関節を伸ばしたりする働きを担います。

●大腿四頭筋
太ももの前側にある筋肉群の総称で、大腿直筋(だいたいちょっきん)・中間広筋(ちゅうかんこうきん)・外側広筋(がいそくこうきん)・内側広筋(ないそくこうきん)と呼ばれる、4つの筋肉で構成されています。膝を伸ばす、上げる、歩くなどの働きにも関わります。

●僧帽筋
首から背中に広がる、背中の一番表層にある三角形の大きな筋肉。和名の「僧帽」は修道士のフードに似ていることから名づけられたと言われています。上から上部・中部・下部=僧帽筋上部線維・中部線維・下部線維に分けられます。腕(三角筋)の働きを助け、肩甲骨を正しい位置に安定させる役割を担います。

●菱形筋
僧帽筋の深部の脊椎から肩甲骨の間にある筋肉。肩甲骨を後ろに引く働きがあります。

●大胸筋
胸の広範囲に広がる筋肉。腕を外から内側に閉じる、前方へ押す働きがあります。

●三角筋
肩関節を覆う三角形の筋肉。腕を外側や前方、後方へと上げる働きがあります。

●広背筋
体の側面から背面を覆う筋肉。前方へ伸ばした腕を手前へ引き寄せる働きがあります。

ストレッチを始める前に4つの注意点

セルフストレッチは、いつでも空いている時間に行えるのが利点ですが、朝や晩に行うとより効果的です。ただし、目覚めてすぐのタイミングはまだ体が固いので、ゆっくり軽めに行いましょう。晩は体がほぐれているので、じっくり伸ばせるところまでやってみましょう。特に入浴後は体温が上がっていて筋肉がリラックスした状態なのでより効果的です。

ストレッチを行うときは、下記の点に注意してください。

1 痛みを感じたらすぐにやめましょう
ストレッチを行っていて痛みを感じた時はすぐに動きを止めます。腰の痛みが強い、痛みは強くはないが痛みが続いているなどの症状がある場合は、何らかの病気が関係していることがあります。違和感や痛みがあるときは、ストレッチは中止して整形外科などを受診してください。

2 無理のない範囲でできるところまでやりましょう
トレーナーと全く同じ状態まで、無理にストレッチする必要はありません。自分でできる範囲で体の伸びを感じられるところまでで十分です。

3 伸ばす筋肉の部位を意識して行いましょう
ストレッチを行うときは、伸ばすべき筋肉の部位がしっかり伸びていることを意識して行うことで、ターゲットとなる筋肉を正しく伸ばせます。

4 体調がすぐれないときは体を休めましょう
ストレッチは毎日行うことが理想ですが、体調がすぐれないときは体を休めることも必要です。自分の体と相談しながら行うことが長続きの秘訣です。

ストレッチで意識したいポイント

ストレッチとは、筋肉を伸ばす運動のことを言います。関節を曲げたり伸ばしたりして、筋肉を引っ張って伸ばしていきます。特に難しい技術は必要ありません。誰でも気軽に始められます。

重要なのは、どこの筋肉を動かしているのかを意識すること。ターゲットとなる部分だけを集中して動かします。関係のない筋肉が動いていると伸ばしたい筋肉が伸びなくなり、せっかくストレッチをしても十分な効果が得られなくなるので気をつけましょう。

最近の研究では、筋肉は意識しすぎると縮む性質があるという報告もあります。伸ばそうと意識するあまり力が入ってしまうと逆効果になりかねません。できるだけリラックスして全身を脱力するイメージで伸ばしましょう。そして、呼吸は自然に行うのが基本です。

ストレッチの極意

  • ・どこの筋肉を伸ばしているか意識する
  • ・ターゲットとなる関節に集中して動かす
  • ・伸ばそうと意識しすぎて力まないように
  • ・全身をリラックスさせながら行う
  • ・呼吸は自然にゆっくりと、筋肉を伸ばすときに息を吐く

腰痛を改善する効果的なストレッチ

※Dr.ストレッチの店内では、下記の写真のようにベンチマットの上でストレッチを行いますが、自宅で腰のセルフストレッチをするときは平らな床の上やイスなどで行いましょう。
撮影協力:Dr.ストレッチ新宿メトロ店

【腰痛に効果的なストレッチ①】

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1 ゆっくりと両膝を曲げてあぐらで座り背筋はまっすぐ伸ばします。肩は力を抜きましょう

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2 両手を組み肩の高さまで上げ、手のひらは内側に向けます。頭を下げて背中を丸めます。腕を肩甲骨から伸ばすイメージで、ゆっくりと前に出します。僧帽筋と菱形筋が伸びていることを意識しましょう。この姿勢を5秒間キープしましょう

3 これを2回繰り返します

ポイント
骨盤を後ろに倒すと背骨が丸まります。息を吐きながらおなかをへこませると、ストレッチの効果が高まります。
※立ち上がって行ってもOK! その場合は、膝を少し曲げると背中が伸ばしやすくなります。

【腰痛に効果的なストレッチ②】

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1 ゆっくりと両膝を曲げてあぐらで座り背筋はまっすぐ伸ばします。肩の力は抜きましょう

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2 両手を後頭部で組みます。肘は肩の位置まで開いて胸を張ります。肘を閉じながら、両手で頭を斜め右下
の方向に押しひねります。この姿勢を5秒間キープします。このとき、僧帽筋と脊柱起立筋が伸びている
ことを意識しましょう

3 左下の方向も同様に行います

4 これを互いに2回繰り返しましょう
 
ポイント
肘を閉じて腕の重さで下に引くイメ-ジで行うと良いでしょう
※手の代わりにタオルを使ってもOK! 少ない力でより多く伸ばすことが可能です

【腰痛に効果的なストレッチ③】

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1 正座の姿勢から両手を前へ肩幅の位置に置きます

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2 左の腕を右の腕の下を通して右方向にひねります。この姿勢を5秒間キープします。このとき、僧帽筋、
菱形筋、三角筋、脊柱起立筋、腸腰筋、腹直筋など上半身の筋肉が伸びていることを意識しましょう

3 左の腕も同様に行います

4 これを互いに2回繰り返します

【腰痛に効果的なストレッチ④】

1 正座の姿勢から両手を前へ肩幅の位置に置きます

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2 1の体勢からゆっくりと両手を前に伸ばします。この姿勢を5秒間キープします。このとき、広背筋が伸びていることを意識しましょう

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3 これを2回繰り返します

【腰痛に効果的なストレッチ⑤】

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1 正座の姿勢から両手を前へ肩幅の位置に置きます

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2 脚を前後に大きく「卍(マンジ)」の状態に開きます。左膝を曲げて前かがみになります

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3 2の状態から、ゆっくりと上体を前に倒して胸をベンチに近づけます。手をつかずに肘をついてもOK。
この姿勢を5秒間キープします。このとき、大殿筋、大腿二頭筋、大腿四頭筋が伸びていることを意識し
ましょう

4 右膝も同様に行います

5 これを互いに2回繰り返します

腰痛の予防に効果的なストレッチ

【腰痛の予防に効果的なストレッチ①】

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1 片脚立ちの状態になります。このとき背筋をまっすぐ伸ばし、左脚が90度になるように前に出します。脚の付け根と大腿四頭筋が伸びていることを意識しましょう

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2 体をひねり左手を上に回し上げます。この姿勢を5秒間キープします。このとき、腸腰筋と腹斜筋が伸びていることを意識しましょう

3 右側も同様に行います

4 これを互いに2回繰り返します

【腰痛の予防に効果的なストレッチ②】

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1 両膝を曲げてベンチに座り、背筋をまっすぐ伸ばします

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2 両手を両足の内側から通して両足のかかとをつかみます。この姿勢を5秒間キープします。このとき、ハムストリングス、脊柱起立筋、大殿筋が伸びていることを意識しましょう

3 これを2回繰り返します

【腰痛の予防に効果的なストレッチ③】

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1 背筋をまっすぐ伸ばしてベンチに座り、左脚を右膝の上に乗せます

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2 両手で右脚の足首をつかみにいくように体を前に倒します。この姿勢を5秒間キープします。このとき、主に大殿筋、脊柱起立筋、腰方形筋が伸びていることを意識しましょう

3 右側も同様に行います

4 これを互いに2回繰り返します

ストレッチは、腰痛の改善や予防に効果的なだけではなく、気分をリフレッシュできるのでストレス解消にも役立ちます。毎日の隙間時間にストレッチをコツコツ続けて、つらい腰痛と無縁の生活を取り戻しましょう。

腰痛の改善や予防にお薦めと言われている「ストレッチ」。ストレッチで腰まわりの筋肉を鍛えることで、腰への負担が軽減され腰痛や腰の違和感がやわらぎます。

また、骨盤のゆがみが矯正されることで姿勢もよくなります。さらに、血流やリンパの流れが促進され、むくみの軽減や冷え性の改善、疲労物質を効果的に排出できます。インナーマッスルを伸ばすことで体が引き締まり、自律神経を整える効果も期待できるので、心身ともにストレス解消にも役立ちます。

どこの筋肉を伸ばしているか意識しながら、ターゲットとなる関節や筋肉に集中して動かすなど、ストレッチの極意を参考に無理をしない範囲で毎日継続して行うことで、腰痛改善や予防に効果が期待できます。

取材・文/高橋晴美

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取材・監修者プロフィール
中村竜太
Dr.ストレッチ テクニカルトレーナー 
世界三大ミスコン「ミスワールド」大会のサポートトレーナーや、オリンピック種目「3人制バスケ」などアスリートのサポートトレーナーとして活躍。サロンやエステの講義活動も行う。資格はNASM-PES FMS 
ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」
メディカルグローアップアカデミー

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