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【医師監修】更年期の眠さを解消する対策とは?

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更年期に突入し、身体の様々な不調に悩まされる女性は少なくありません。軽い症状でいつもと同じように生活できる人もいれば、重い症状が複数現れて、今までと同じように生活するのがつらい人もいます。様々な症状があげられるなかに、人によっては日常生活に支障となる強い眠気を訴える人もいます。更年期の症状と眠気について、精神科医・産業医として中高年女性からの相談を受ける穂積桜先生にお話をうかがいました。

目次

更年期に起こる症状にはどういったものがある?

更年期に起きる症状には、個人差があります。「まず、全員に起きる変化としては、生理の周期が乱れてきて、最終的にはそれが止まる閉経があります」と穂積先生。この閉経の前後5年を更年期と称し、この時期に心や身体に現れる様々な不調を更年期症状と呼びます。さらに、それらが日常生活に障害をもたらした場合、それを更年期障害と呼びます。更年期の症状は多かれ少なかれ、ほとんどの人に現れますが、それが更年期障害になるかならないかには個人差があります。

身体的な症状と精神的な症状が

身体に現れる症状でよくみられるのは、いわゆるホットフラッシュと呼ばれるほてり、動悸、体の冷え、多汗、頭痛、めまい、腰痛、肩こり、耳鳴り、口の渇き、目の疲れ、頻尿などです。むくみやドライアイが起きたり、下痢や便秘がひどくなる人もいます。

また、不安になる、眠れなくなる、気分の落ち込み、イライラ、衝動的になるなどといった、心に関わる症状が出る人もいます。例えば、更年期で受診する患者さんの6割ぐらいの方が、落ち込む、不安になる、眠れないといった精神的な症状を訴えるという報告もあります。
こういった症状がひどくなってうつになることも珍しくありません。「精神的な面で症状が現れると、まわりの人から、人が変わったようだと思われたりすることも」と穂積先生。こうした症状に加えて、強い眠気を訴える人もいます。

よくみられる更年期症状

身体的な症状 ほてり、動悸、体の冷え、多汗、頭痛、めまい、腰痛、肩こり、耳鳴り、口の乾き、目の疲れ、頻尿、むくみ、ドライアイ、下痢、便秘 etc.
精神的な症状 不安、不眠、気分の落ち込み、イライラ、衝動的になる、パニック、うつ etc.

更年期の症状には、環境変化も関係

更年期に起きる症状は、閉経によって生じる急激な女性ホルモンの減少によってもたらされます。「こうした症状は、徐々に現れる人もいれば、突然現れる人もいます。あくまでもそれには個人差があるのですが、本人の体の変化の影響だけでなく、まわりの環境が変化したことが影響していることもあります」と穂積先生。更年期の時期は、子どもが巣立ったり、親との同居が始まったり、夫が退職したりなど、本人を取り巻く環境に変化が起きやすい時期。その影響も重なって様々な心と体の不調が起きやすくなるというのです。

「最近では、晩婚化が進んだせいで高齢出産の方も多く、そうなると、思春期の子どもの反抗期が重なったり、下手をすると親の介護も重なったりして、精神的にも肉体的にもダメージを受ける人が増えているように思います。また、企業の面談でお会いする方の中には、年齢的に、責任の重いポストに就かれたりする方も多いので、そういった仕事のストレスも影響しているのではないかと思われます。今までは、120%の力を出し切ってがんばってこられたことも、更年期の体調の変化のせいで、それが出来なくなってしまうわけです」と穂積先生。

更年期の「強い眠気」。それはどうして?

更年期の体の不調として、強い眠気を訴える人もいます。更年期の症状は、ホルモンバランスが変わったことで自律神経に乱れが生じ、心や体に不調が現れるのですが、眠気に関しては、直接的な影響で現れる症状とは、原因が少し違っているようです。

更年期のせいではなく、慢性的な睡眠不足かも

「そもそも、日本人の女性は、一般的に睡眠時間が足りていません。昨年、活動計を販売する会社がユーザーに対して行った調査によると、日本の女性の平均睡眠時間は6時間40分で28カ国中最下位でした。一位のフィンランドの女性が7時間45分なので、その差は1時間以上です。なので、まずは、根本的に睡眠不足だと言うことが考えられます」と穂積先生。特に更年期の女性は、子どもの世話や親の介護、また、働きに出ている人も多いにもかかわらず、家事全般をひとりで抱えている人がほとんどのため、どうしても睡眠時間が確保できません。こうしたことから、自分では気づいていなくても、睡眠不足になっていることが考えられます

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「一般的に”眠れない”と言う際には、①眠りにつけない、②途中で起きる、③朝早く起きてしまう、④熟眠できない、この4つに区分けされます。更年期症状のせいで、この4つのどれかが起きていることも考えられます。

更年期症状が、眠りを妨げている可能性も

肩こりや腰痛のせいで①の寝つきが悪かったり、のぼせや発汗で寝苦しくなって、②の途中で起きてしまったりすることもあるでしょうし、更年期からなる頻尿のせいで目が覚めることもあるでしょう。
「慢性的に眠いのなら、実は寝ているときにいびきをかいていて、そのせいで熟眠できていないという可能性もあります」と穂積先生。確かに、更年期になると、舌を支えている筋肉や喉まわりの筋肉が緩んで、いびきをかくようになる人も少なくありません。そのいびきの程度がひどければ、睡眠時無呼吸症になっていることも考えられます。そのために④の熟眠できないこととなり、強い眠気を感じるのかもしれません。

他にも、更年期による精神面での不調のせいで、なかなか眠りにつけなかったり、明け方早くに目覚めてしまったりと、十分な睡眠時間が確保できなくなったりします。寝る前の不安感は深い睡眠を減らすという報告もあり、そうすると④の熟睡感のない眠りになる可能性があります。
「また、寝つきが悪いからといって、お酒に頼る人も多いのですが、実はお酒は眠りの質が悪くなることを知らない方が多いですね。夜中に起きたり、朝早く起きてしまったりして、睡眠不足を起こしている可能性が高いです。」と穂積先生。アルコールは常習性もあり、気がつかないうちにたくさん飲まないと眠れなくなって酒量が増えることがあるので要注意とのこと。日本人は、眠れない時にお酒に頼る傾向が高く、「睡眠のためにアルコールを摂取する人がどれくらいいるかという調査で、10カ国の平均が19.4%のところ、日本人は30.3%と平均値をかなり上回っています」(穂積医師)

更年期の眠気対策って?

「まず、眠れないときに、お酒に頼るのはやめましょう。医療機関で処方される睡眠薬の方が依存性もなく、適切に使えば昼間の眠気にもつながりません」とのこと。薬局で買える市販の睡眠薬は、翌日に眠気が残ることもあり、安易に使うのは避けた方がよいそうです。今は、さまざまなタイプの睡眠薬があるので、自分に適切な睡眠薬を医療機関で処方してもらうようにするとよいでしょう。

「人生100年時代が来ると言われていますが、今でもすでに女性の平均年齢は87.26歳。これからさらに延びていくと予想されています 。つまり更年期は折り返し地点。ここで、健康やライフスタイルのチェックをしているのだと考え、悪いところの見直しを図れば、その後の人生が楽になると考えると、更年期をプラスにとらえられるのでは?」と穂積医師は提案します。

また、自分の食事や睡眠を後回しにして家事を完璧にこなそうとしていた人こそ、体の不調でそれが出来なくなることを気に病んでしまいがちに。
「まずは、自分の食事をおろそかにしないで、栄養バランスよく食べるようにしてください。食事に手をかけろと言うことではなく、例えば忙しい朝なら、毎食同じメニューでもかまわないんです」と穂積先生。栄養が足りていないと、体のあちこちに不調が出て当然です。まずは、体調を整えることが必要です。

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夜になって身体を眠りに誘うメラトニンというホルモンは、脳内伝達物質のセロトニンから作られます。このセロトニンの生成に必要なのが、トリプトファンという必須アミノ酸です。肉類、魚類、豆類に多く含まれていますが、米や野菜にも含まれています。トリプトファンを体に取り入れるためには、糖質やビタミン類なども必要となるので、食事は栄養バランスよく摂取することが重要です。女性ホルモンと同じような働きをすると言われているイソフラボンは大豆製品に多く含まれていますので、更年期の「眠気」には、豆腐や納豆、油揚げといった大豆製品がお薦めの食材と言えるでしょう。

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さらに、寝つきがよくなって熟睡できるように、昼間に適度に身体を動かすこと、日の光を浴びることも重要です。明るいうちに、少し汗をかく程度の早足で散歩するのも、眠りのためにはおすすめです。夜は、就寝の2時間以上前に食事をとり、ぬるめのお風呂で湯につかり、部屋を少し暗くしてリラックス出来る時間をとりましょう。

更年期の「眠気」は、さまざまな更年期症状が誘因となって睡眠不足が生じているために、起きているようです。短い睡眠でも健康でいられる人などほとんどいないとのこと。たとえ、眠気を感じなくても、知らないうちに睡眠不足が蓄積し、睡眠負債となっているかも。少なくとも7時間は寝られるように心がけましょう。睡眠不足を自覚している人は、何がその原因になっているのかを考え、睡眠不足の解消のために対策を講じましょう。自分自身で改善出来ない場合は、婦人科や睡眠専門のクリニックなどを受診して相談するとよいでしょう。

取材・文/仲尾匡代

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取材・監修者プロフィール
穂積桜(ほづみさくら)
精神科医・産業医・株式会社MEDICIO代表取締役
日本医師会認定産業医 、精神科専門医、漢方専門医、臨床心理士。札幌医科大学医学部卒業。札幌医科大学医学部附属病院等において勤務後、内科、東洋医学を学び、人事労務、法律の知識を併せ持つ産業医として活動中。

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