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アナタは大丈夫?腰痛危険度チェック

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いつ自分の身に起こるかわからない腰の痛み。じわじわと痛む腰痛もあれば、一気に襲ってくる腰痛もあります。腰の痛みの中には原因を特定できたり、その予兆を感じるものもあります。「自分も腰痛になってしまうのでは…?」と不安になっている方は、腰痛の症状をチェックし、未然に予防することが大切です。

今回は、腰痛の原因から予防方法を学んでいきたいと思います。教えてくれるのは、松浦整形外科院長の井上留美子先生です。身体の解剖を理解し、ケガになりにくい正しい身体の使い方を学ぶ『整形外科ヨガ』の代表も務める井上先生に、日常的に行える腰痛予防の方法もうかがいます。

目次

腰痛の原因は何?

動物界で“腰痛”を患うのは人間だけ、それは人間が二足歩行になったからだと言います。人間だけが二足歩行に進化したことで、頭部や胴体の重さが腰に集中し負荷がかかることで腰痛になるのです。

ところで“腰痛”とは病名ではなく、体の症状のこと。“腰痛”にはさまざまな病気が原因で起きます。その病気は大きく6つにわけられます。さっそくチェックしていきましょう。

① 椎間板が原因の痛み
椎間板とは脊椎の椎骨と椎骨の間にあるゼリー状の板で、クッションの役割をしています。重いものを持ったり中腰の姿勢が続くと、腰に負荷がかかり、椎間板の核が外に出てしまいます。核が神経を圧迫して痛みが出ると“椎間板ヘルニア”と言います。坐骨神経痛(臀部、大腿の裏に感じる痛み)や足先のしびれなどの症状が出る場合もあります。

② 関節が原因の痛み
加齢などにより軟骨が擦り減ったり骨が変形して神経を刺激し、痛みを感じることがあります。また、中腰での作業や不用意な動作を繰り返すことで骨盤内にある仙腸関節に不適合が生じ、痛みが発生することもあります。

③ 筋肉が原因の痛み
実は“腰痛”の原因で一番多いといわれているのが、筋肉が原因の痛みです。急激に腰周りの筋肉を使ったり、負担をかけることで炎症が起きると痛みが生じます。筋肉の炎症・つっぱりによる急性の腰痛も、いわゆる“ぎっくり腰”です。

④ 神経が原因の痛み
腰からお尻、太もも、膝裏につながる坐骨神経が圧迫されると痛みを感じます。電気が走ったようなビリビリする痛み、しびれるような傷みが特徴です。腰だけでなく、臀部、下肢にもしびれのような痛みを生じるのが特徴です。

④ 骨折
腰の骨が折れることで痛みが出ます。その中でも最近注目されているのが、年齢を重ねた女性がなりやすい“いつの間にか骨折”です。骨粗しょう症で骨がもろくなると起こる圧迫骨折で、尻もちをつくなどのちょっとした刺激で骨折や破裂骨折してしまいます。

この“いつの間にか骨折”は痛みが少なく気付きにくいのが特徴です。成長期の子どもがスポーツなどにより、ジャンプや腰のひねりを日常的に行うことで腰椎の後方部分に亀裂が入り腰痛になります。これを『腰椎分離症』と言い疲労骨折の一つです。

⑥ 心因性
ストレス等で脳の扁桃体の大きさが変化すると、痛みを伝える機能が活発になり腰痛を感じることがあります。福島県立医科大学医学部の紺野愼一教授は心因性腰痛研究の第一人者で、『BS-POP』という質問表を開発。①~⑤が原因でない場合、心因性の腰痛を疑い『BS-POP』の質問項目に沿って症状をチェックし診断していきます。

そのほかにも、まれに感染症やがんや解離性大動脈瘤、腎・尿管結石、胃・十二指腸潰瘍、子宮内膜症などの内臓疾患により腰痛を感じることがあります。①~⑥のどれにも起因しない場合は、内臓疾患による腰痛を疑います。

しかし、腰痛とは上記のように明確に診断できるものもあれば、特定できない『非特異的腰痛』と呼ばれるものもまだまだ存在しています。

痛みの症状から危険度をチェック!

腰痛にはさまざまな原因がありますが、どんな症状が出たら病院を受診すればよいのでしょうか? 井上先生に解説していただきました。

①重いものを持ったり、中腰になると痛みを感じる
 ⇒椎間板ヘルニアの疑いがあります

②腰を反ったり、ねじる動きをすると痛みを感じる
 ⇒関節に原因がある腰痛や分離症の可能性があります

③前屈の姿勢や起き上がりで痛みを感じる
 ⇒筋肉の炎症による腰痛の可能性があります

④しびれや腰の奥に鈍痛を感じる
 ⇒神経への刺激が原因の腰痛である可能性があります

⑤運動をしたり、圧迫すると激痛を感じる
 ⇒骨折や、疲労骨折の疑いがあります

⑥上記に当てはまらない
 ⇒心因性の腰痛である可能性があります

このチェックリストはあくまで目安。日常生活に支障をきたすようであれば、すぐに整形外科医に診察してもらいましょう。一方で腰周りに違和感があるものの日常生活に影響がない場合はどうしたらいいのでしょうか?

「湿布を貼って傷みが緩和するようであればそこまで重篤ではないので、自宅で様子を見てもいいと思います」と井上先生は言います。家事や仕事が滞るようであれば自己判断はせず、早めに整形外科を受診するようにしましょう。

受診と診断の流れ

日常生活が送れないほど腰の痛みを感じたら、整形外科を受診しますが、整形外科医はどのように腰痛を診断するのか、井上先生に教えてもらいました。

「なんといっても問診が大切です。痛みの原因の約8割は問診で特定できますよ」と井上先生。問診では、下記内容を質問します。

・痛みのきっかけになったことは?
 重いものを持った時からなのか? 腰をひねる動作をした時からなのか? 外傷の有無 徐々に痛みを感じるようになったのか? 腰痛を感じるきっかけを知ることで、痛みの原因を探ります。

・どんな痛みなのか?
 電気が走るような痛みか? しびれのような痛みか? 鈍痛か? 痛みの種類によって腰痛の原因を探っていきます。

・どういうときに痛みを感じるか?
 中腰になったとき? 同じ姿勢が続いたとき? 腰を反ったり、ひねる動作をしたとき? 歩いているとき? 何もしなくても痛みが続く? など、痛みを感じる動作によって該当する病気を探ります。

・日常的に不便なことはなにか?
 腰痛により仕事ができない、外出が難しい、歩くことも辛い、家事にも影響しているなど、日常生活で困る場面を知ることで、痛みの原因だけでなく、その後の適切な治療方法や療法を決めていきます。

ほとんどの腰痛の原因は問診で探ることはできますが、最終的に病名を特定するため(または、違う原因があるか確認するため)、検査を行います。レントゲンやMRI、また痛みの種類によっては血液検査を行い、原因を特定していきます。

腰が痛くなったきっかけや、痛みの種類が曖昧だと正しい診断ができません。“いつ”、“どのような状況で”、“どのような痛みを感じたか”、その都度メモしておくと診察してもらうときに正しく伝えることができます。

また腰痛の治療は場合により長期に及ぶ場合もあります。気になることは主治医の先生に相談しながら、二人三脚で治療していくことも大切です。

画像診断できる腰痛の種類は?

整形外科の先生は問診によって、腰痛の原因の約8割は特定できますが、その原因を確実なものにするために画像診断を行います。画像診断はレントゲン(X線)とMRIで行い、それぞれに判断できる原因が異なります。

・レントゲンで診断するもの
 骨の並びや変形を確認します。腰椎すべり症、腰椎変性側弯症などがレントゲンで特定できます。

・MRIで診断するもの
骨以外の要素を確定したい時にはMRIで検査をします。MRIでは筋肉や神経の状態を確認できます。椎間板の状態や腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)や化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)などがMRIで特定できます。

画像診断することで、確定診断がつき、治療法や薬の処方を決めていきます。医師の指示に従いましょう。

画像判断できない腰痛もある?

画像診断とあわせて、問診により心因性の痛みについても探ります。前述の通り、心因的腰痛をチェックするための『BS-POP』という質問表があり、この質問を基に原因を探っていきます。

<BS-POP>
□突然泣きたくなったり、泣いたりすることはありますか?
A:いいえ(1点) B:時々(2点) C:ほとんどいつも(3点)

□いつもみじめな気持ちになり気分が浮かないですか?
A:いいえ(1点) B:時々(2点) C:ほとんどいつも(3点)

□いつも緊張してイライラしてしまいますか?
A:いいえ(1点) B:時々(2点) C:ほとんどいつも(3点)

□ちょっとしたことで癪(しゃく)にさわり、怒ってしまいますか?
A:いいえ(1点) B:時々(2点) C:ほとんどいつも(3点)

□食欲はふつうですか?
A:いいえ(3点) B:時々なくなる(2点) C:ふつう(1点)

□一日のなかで、朝が一番気分がいいですか?
A:いいえ(3点) B:時々(2点) C:ほとんどいつも(1点)

□なんとなく疲れますか?
A:いいえ(1点) B:時々(2点) C:ほとんどいつも(3点)

□いつもと変わりなく仕事ができていますか?
A:いいえ(3点) B:時々できなくなる(2点) C:できる(1点)

□睡眠に満足できていますか?
A:いいえ(3点) B:時々満足できない(2点) C:満足できる(1点)

□痛み以外の理由で寝つきが悪いですか?
A:いいえ(1点) B:時々寝つきが悪い(2点) C:ほとんどいつも(3点)

上記の質問で合計点数が15点以上になった場合、心理的要因による腰痛である可能性があります。医師と相談し、適した薬の服用や療法の指示を受けましょう。

整形外科での診療と並行し、精神科や心療内科での診療やカウンセリングを勧められる場合もあります。原因になっているストレスとうまく付き合うことで痛みは軽減できます。

病院に行くほどではない痛みにはどう対処する?

腰痛の原因となる病気はさまざまですが、腰に違和感がある程度で病院に行くほどの痛みではない場合、自宅で対処できる方法はあるのでしょうか? 

「痛みを感じたら湿布を貼ったり、ゆったり過ごすなどして様子をみてください。それでも痛みが和らがない場合は整形外科を受診しましょう。それよりも重要なのは、腰痛にならないための予防です」と井上先生は言います。

では、具体的にどんな予防法があるのでしょうか?

・ジャックナイフストレッチ(ハムストリングのストレッチ)

  • ① 膝が胸につくようにしゃがみます
  • ② 両かかとを両手でつかみます
  • ③ 太ももと胸をつけた状態で膝を伸ばし、ゆっくりと立ち上がります
  • ④ この姿勢を10秒キープします

『ジャックナイフストレッチ』は徳島大学整形外科の西良浩一教授が腰痛の治療に取り入れたところ、効果を発揮したストレッチ。①~④を5回ずつ、朝晩に行うと効果的なんだとか。このストレッチによって太ももの後ろにある“ハムストリング”が柔らかくなり、骨盤がしなやかに動くようになります。

骨盤がしなやかになると、腰への負担が軽くなり腰痛予防にもなるんです。身体が硬い方、慢性的な腰痛に悩んでいる方、スポーツやデスクワークによる腰痛を防ぎたい方にオススメです! ただし、腰の痛みが強い方や、治療中の方、転倒の危険のある高齢者の方は危険ですのでこのストレッチは控えましょう。

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・バランスのよい食事を摂る
身体を作っているのは食事。骨や筋肉をよい状態にキープするには栄養が大切です。ビタミン、ミネラル、たんぱく質をバランスよく摂り、腰痛になりにくい身体作りを目指してください。

「最近はビタミンDが少ない子どもが増えています。紫外線を気にしすぎて、小さいうちから日光を避けたり過剰なUVケアすることでビタミンD不足になります。1日10分程度でいいので、日光浴をするといいですね」(井上先生)

・よい睡眠を摂る
腰痛にはストレスが起因する場合があることは前述の通り。ストレスからの影響を軽減するには寝ることも重要です。睡眠不足になってしまうと、うつ状態になり、腰痛の原因にもなります。睡眠不足は万病のもと。良質な睡眠が摂れるように心掛けましょう!

『整形外科ヨガ』の代表を務める井上先生は、日ごろから“身体を正しく使う”ことを意識し、またその考え方を患者さんにも伝えているそうです。

「筋力トレーニングというと、ジムでマシーンを使って行うものだと思われがちですが、大切なのは背骨の周りにあるローカル筋(腹横筋など)を鍛えること。このローカル筋を鍛えることで身体を正しく使えるようになれます。腹直筋などのアウター筋を鍛えるのは、ローカル筋を鍛えてからにしましょう」(井上先生)

安静にしておかなくてはいけないイメージがある“ぎっくり腰”ですが、鎮痛剤で痛みをとる事で慢性化することを防ぐとわかってきています。
痛みを速やかに取り、ローカル筋トレーニングを開始するのが最近の治療法。それほどに腰痛と筋力トレーニングは密接なんですね。

また、腰痛を予防するためには日常生活のなかで以下のことを注意するとよいそうです。

  • ・中腰にならない
  • ・座りっぱなしはNG
  • ・イスには姿勢よく、浅く座る

悪い姿勢のまま、長時間同じ姿勢だと、筋力が落ちるだけでなく椎間板や骨盤、背骨にも負担がかかり、腰痛の原因になってしまいます。

井上先生は、クリニックではバランスボール型のイスに座って患者さんを診察しているのだそう。そうすることで、自然と背筋が伸び、体幹が鍛えられます。整形外科医、整形外科ヨガ代表、お母さんと様々な顔をもち多忙な日々を送っている井上先生ですが、スタイルもよく元気はつらつ! それはこのような日々の習慣が影響しているんですね。

「医者ができることは痛みをとること。痛みが取れたあと、悪化させないようにすること、また病気を予防するのは患者さん自身でしかできません。10代のころから腰に負担をかけない生活習慣を身につければ、何十年後かに起こるかもしれない腰痛を予防できます。自分の身体と向き合い、正しく使うことを意識して欲しいですね」と井上先生は言います。

腰痛になってしまうと、仕事だけでなく、家族との生活にも影響します。腰に痛みを感じたら、無理をせず整形外科を受診してください。また、未然に防ぐことができるのも腰痛の特徴。身体を正しく使い、筋肉を鍛えて腰痛を予防しましょう!

取材・文/小野喜子

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取材・監修者プロフィール
井上留美子(いのうえるみこ)
松浦整形外科内科院長
聖マリアンナ医科大学卒業。長男出産後に父親のクリニック「松浦整形外科」の院長となる。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。整形外科ヨガ事務局代表。
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