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【専門家が解説】いろいろあるサポーター。選ぶポイントは?

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痛みを感じると歩くことが困難になるなど、生活に影響を与える膝の痛み。加齢によるもの、ケガによるもの、その原因は多岐にわたります。膝痛を患ってしまった際に活躍するのが、膝サポーターです。

膝サポーターは種類や目的が幅広く、どんな膝サポーターを選べばいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は膝サポーターを選ぶポイントを、平沼整形外科クリニック院長の平沼尚和先生に教えていただきました。

目次

そもそも膝が痛くなる原因は何?

今回、膝サポーターの選び方や使い方について教えていただく平沼先生は痛みの治療を得意とする整形外科の先生。しかも、麻酔科専門医でもあるので、痛み緩和のプロフェッショナルなのです。町のお医者さんとして日々地域の患者さんの治療を行っている平沼先生は、もちろん膝の痛みの相談も多く受けています。

その膝の痛みにはどんな原因があるのか、平沼先生に解説していただきました。

<膝靭帯損傷>
スポーツや事故によるケガで、膝靭帯を損傷した場合の痛みです。膝関節は前十字靭帯、後十字靭帯、外側側副靭帯、内側側副靭帯の4つの靭帯でつながっています。この靭帯に本来の向きと逆向きの強い外圧がかかると、靭帯が損傷してしまいます。

痛みが強い初期はギプスで固定し安静にしますが、痛みが落ち着いてきたらサポーターに切り替え、痛みが出ない範囲でリハビリを行います。また、靭帯の損傷が激しい場合は、自身のハムストリング腱や膝蓋腱などを用いた移植手術を行う場合もあります。

<半月(板)損傷>
半月は膝関節にある軟骨のような板で、内側と外側にそれぞれあります。スポーツなどで、無理なひねりの動きをしたり、ジャンプの着地に失敗するとこの半月が損傷してしまい痛みが生じます。

また、半月は加齢により変形するので、40歳を超えるとちょっとしたきっかけで半月が損傷する場合もあります。膝靭帯損傷と併発することも多く、放置したままにすると関節軟骨まで傷つける恐れもあるので注意が必要です。

<変形性膝関節症>
膝の痛みの原因でもっとも多いのが変形性膝関節症です。関節軟骨がすり減ったり傷ついたりすることで、痛みを感じるようになります。

加齢により症状が悪化することが多く、50代以上の女性がかかりやすいとも言われています。関節軟骨の擦り減りや傷が進行してしまった場合、人工関節を装着する手術を行う場合もあります。

<偽通風>
関節内に尿酸の結晶ができることで関節炎になる通風とは異なり、ピロリン酸カルシウムの結晶が関節内に沈着することによる関節炎が偽通風です。

主に高齢者が発症しやすく、ときに発熱を伴います。多くは膝関節で起こりますが、肩関節や足関節など大きな関節でも発症しやすい病気です。

<更年期障害に伴う痛み>
女性ホルモンの減少や、関節を支えている軟骨や筋肉の衰え、さらに血液の循環の悪化により痛みを感じることがあります。症状によりプラセンタ注射で痛みを緩和したり、漢方薬を処方します。

膝の痛みには、加齢によるもの、ケガ・事故によるものと大きくふたつあります。整形外科を受診する際は、“いつから”“どんなきっかけで”“どのような痛み”が発生したのか先生に伝えると診断がスムーズになりますよ。

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サポーターにはどんな種類がある?

膝痛の治療は消炎鎮痛剤や湿布など薬物療法、関節の動きをスムーズにするヒアルロン酸注射、ストレッチや筋力トレーニングを行う運動療法を組み合わせ行いますが、痛みを緩和するため多くの人が使用しているのが膝サポーターです。膝痛の原因には大きく2種類あったように、膝サポーターにも目的に応じた2種類があります。それぞれの機能についてご紹介します。

・保温性膝サポーター
膝全体を包み込むような筒型のサポータです。冷えにより膝の痛みを感じやすい高齢者の方にオススメ。温めることで、膝の痛みを和らげることを目的としています。値段は1,000円台~と安価で、オンラインショップやドラッグストアなどで気軽に購入することができます。

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・機能性膝サポーター
靭帯損傷や、半月(板)損傷など、大きなケガをした際に使用するサポーターです。治療中の膝が間違った方向に動かないよう固定しつつ、リハビリができるようにある程度可動域がある設計になっていて、筋肉や骨の形に沿ってベルトの強弱と調整することができます。

金属製の支柱が入っているタイプもあり、固定性に優れているのが特徴。機能性が高く数万円するものもありますが、場合により健康保険から給付を受け取れます。

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「膝の痛みを和らげるためには、サポーターは必要不可欠な装具です」と平沼先生。膝痛の症状と、生活スタイルを鑑みて、主治医の先生と相談しながらご自身にマッチするサポーターを見つけましょう!

サポーターを選ぶときのポイントは?

膝痛の原因がわかり、保温性or機能性どちらの膝サポーターを装着するのか決まったら、今度は実際にサポーターを選びます。サポーターを選ぶうえで、どんなポイントを押さえたらいいのでしょうか?

・素材
日中長時間装着することが多い保温性膝サポーター。膝がかぶれないためにも、通気性がよく汗を吸い取ってくれる綿100%のものを選びましょう。綿100%の保温性膝サポーターは洗濯が可能なので、洗い替え用に2~3枚用意しておくといいですね。

一方、機能性膝サポーターはナイロン、または伸縮性のある素材で作られることがほとんど。購入する際は、実際に試着し着け心地がよいと感じたものを選ぶといいでしょう。

・サイズ
自分に合わないサイズのサポーターを装着しても、膝の痛みは改善しません。大きいサイズであればずり落ちてしまいサポーターが効果を発揮しませんし、逆に小さいサイズは膝を締め付けすぎてうっ血の原因になったり、膝の動きを鈍くしてしまいます。サポーターを購入する際は、必ず膝上10cmの周径を計り、サイズがぴったり合うものを選ぶようにしてください。

「機能性膝サポーターには医療器具として病院で購入できるものもあります。医師や理学療法士、または医療器具メーカーの人と相談しながらぴったりのものを探しましょう」(平沼先生)

保温性膝サポーターはドラックストアなどで実際に見て触って選ぶことができるので、ご自身で着け心地がよさそうなものをチェックしてみてください。

サポーターを使うときのポイントは?

日中ほとんどの時間装着する膝サポーター。長時間身に着けるからこそ注意するポイントがあるので、チェックしていきましょう。

・きつく締め過ぎない
膝の固定を目的としたサポーターを装着する際、ついしっかりと締めたほうが効果的かと思ってしまいますが、きつく締め過ぎるのはNG! 膝から下の血流が悪くなり、最悪うっ血する可能性もあります。

また神経を圧迫し「腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)」の症状が出る可能性もあります。足の甲にしびれを感じたり、悪化すると麻痺が起こり足首をうまく曲げられなくなるようになります。こうなっては本末転倒。正しい使い方を医師や理学療法士、医療器具メーカーの人に教えてもらいましょう。

・寝るときは装着しない
膝痛を治療するため膝の動きを固定している場合、寝ている間もサポーターを装着した方がいいのでしょうか? 答えは“NO”です。急性期で膝を全く動かしてはいけない期間は就寝時も装着して大丈夫ですが、それ以降就寝時はサポーターを外してください。寝ている間は、膝もほとんど動かないのでサポーターを装着する必要はありません。

「なぜ膝サポーターを装着するのか? その目的を理解しないと、膝サポーターを正しく使うことはできません。間違った使い方をしては、症状を悪化させたり、他の症状を併発する可能性も出てきてしまいます」と平沼先生は注意を促してくれました。

サポーターはあくまでも補助?

その名の通り膝痛の治療を“サポート”してくれる膝サポーターですが、あくまで補助器具なのでしょうか?

「機能性膝サポーターは治療の一種です。痛みが強いときは鎮痛剤の服用と平行し、サポーターで膝を固定することで靭帯や半月(板)の損傷を治していきます」(平沼先生)

ケガ全般にも言えることですが、ケガによる膝の痛みは、急性期は冷すことで炎症を抑えて痛みを緩和します。痛みが落ち着いてきたら、今度は膝を温めながら筋力トレーニングをし、回復を目指します。

ここまで紹介した膝サポーターの情報は、膝に痛みが生じてから必要なもの。しかし、もっとも大切なことは膝の痛みを予防すること。そこで、平沼先生に日常的に実践できる予防方法を教えてもらいました!

・太ももの筋力アップ運動
イスに座った状態で膝を伸ばし、軽く太ももを上げます。30秒間キープしたらゆっくりと膝を戻す。両足5回行います。太ももの筋力を鍛えることで、膝の負担を軽減し軟骨の擦り減りを抑えることができます。

・ステップ運動
1段のステップを上って下りる運動です。1日10分でもいいので続けると効果的です。単純な運動ですが、下肢の筋力もアップし、有酸素運動にもなる一石二鳥のトレーニングです。膝の曲げ伸ばしを繰り返すので、膝周りの柔軟性も高まります。

・コロコロ運動
イスに座った状態で、テニスボールやめん棒を足の裏でコロコロを動かします。膝を上下、または左右に動かすことで膝関節の動きを柔軟にします。

上記4つのトレーニング方法はどれも簡単なものばかり。ソファに座りテレビを見たり読書をしながらできるので、日常生活に取り入れやすいのも魅力です。運動器具も必要ないので、今日から始められますよ!

そして急激な体重増加も膝を痛める原因のひとつ。変形性膝関節症といった慢性的な膝の痛みはもちろん、靭帯損傷や半月(板)損傷の原因となるケガも体重をコントロールしていれば防ぐことができます。膝に負担をかけないためにも、日々の体重管理は不可欠です。

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※膝に強い痛みを感じる場合は、膝関節を鍛える運動を控えてください。痛みが落ち着いてから再開しましょう。痛みが気になる方は無理をせず、整形外科の医師に相談してください。

“ロコモ”って知ってる?

『ロコモティブシンドローム(運動器症候群)』という言葉、ご存知でしょうか? 骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、“立つ”“歩く”といった移動機能が低下している状態を言いますが、実は20~30代の若い世代に多くも注目されています。エレベーターや車などの登場により、足腰を使う機会が少なくなった現代人特有の症状です。もちろん、膝の痛みに深く関係しますよ。

以下のテストで、ロコモティブシンドロームかどうかチェックすることができます。

①立ち上がりテスト
40cm、30cm、20cm、10cmの4種類の高さの台に座り、反動をつけずに立ち上がります。

 ・どちらか一方の片脚で40cmの高さから立ち上がれない
  ⇒移動機能の低下が始まっている状態です
 ・両足で20cmの高さから立ち上がれない
  ⇒移動機能の低下が進行している状態です

②ステップテスト
両足のつま先を合わせたら、できる限り大股で2歩歩き、両足を揃えます。2歩分の距離を測り、2ステップ値を計算します。 計算式:2歩幅 (cm) ÷ 身長 (cm) = 2ステップ値

 ・2ステップ値が1.3未満
  ⇒移動機能の低下が始まっている状態です
 ・2ステップ値が1.1未満
  ⇒移動機能の低下が進行している状態です

③ロコモ25
25の質問に答えることでロコモティブシンドロームの可能性があるかどうか調べるテストです。

1. 頚・肩・腕・手のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか
A:痛くない B:少し痛い C:中程度痛い D:かなり痛い E:ひどく痛い

2.背中・腰・お尻のどこかに痛みがありますか
A:痛くない B:少し痛い C:中程度痛い D:かなり痛い E:ひどく痛い

3.下肢(脚のつけね、太もも、膝、ふくらはぎ、すね、足首、足)のどこかに痛み(しびれも含む)がありますか
A:痛くない B:少し痛い C:中程度痛い D:かなり痛い E:ひどく痛い

4.ふだんの生活でからだを動かすのはどの程度つらいと感じますか
A:つらくない B:少しつらい C:中程度つらい D:かなりつらい E:ひどくつらい

5.ベッドや寝床から起きたり、 横になったりするのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

6.腰掛けから立ち上がるのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

7.家の中を歩くのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

8.シャツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

9.ズボンやパンツを着たり脱いだりするのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

10.トイレで用足しをするのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

11.お風呂で身体を洗うのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

12.階段の昇り降りはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

13.急ぎ足で歩くのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

14.外に出かけるとき、身だしなみを整えるのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

15.休まずにどれくらい歩き続けることができますか
A:2~3km以上 B:1km程度 C:300m程度 D: 100m程度 E: 10m程度

16.隣・近所に外出するのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

17.2kg程度の買い物(1リットルの牛乳パック2個程度)をして持ち帰ることはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

18.電車やバスを利用して外出するのはどの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

19.家の軽い仕事(食事の準備や後始末、簡単なかたづけなど)は、どの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

20.家のやや重い仕事(掃除機の使用、ふとんの上げ下ろしなど)は、どの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

21.スポーツや踊り(ジョギング、水泳、ゲートボール、ダンスなど)は、どの程度困難ですか
A:困難ではない B:少し困難 C:中程度困難 D:かなり困難 E:ひどく困難

22.親しい人や友人とのおつき合いを控えていますか
A:控えていない B:少し控えている C:中程度控えている D:かなり控えている E:全く控えている

23.地域での活動やイベント、行事への参加を控えていますか
A:控えていない B:少し控えている C:中程度控えている D:かなり控えている E:全く控えている

24.家の中で転ぶのではないかと不安ですか
A:不安はない B:少し不安 C:中程度不安 D:かなり不安 E:ひどく不安

25.先行き歩けなくなるのではないかと不安ですか
A:不安はない B:少し不安 C:中程度不安 D:かなり不安 E:ひどく不安

A=0点 B=1点 C=2点 D=3点 E=4点とし、合計点数を算出
7点以上⇒移動機能の低下が始まっている状態です
16点以上⇒移動機能の低下が進行している状態です

以上のテストによりロコモ度が高い場合は、将来膝の痛みを患う可能性も高くなります。日常的に足腰を使った運動を心掛けて、将来に備えましょう!

<参考>
ロコモ online

年を重ねてもお散歩を楽しみたい方、今から脚や膝周りを鍛えて、将来膝を痛めないように予防することが大切です。万が一膝痛を患ってしまったら、適切な処置を行い、ぴったりフィットするサポーターを装着し早めの回復を目指しましょう。

取材・文/小野喜子

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取材・監修者プロフィール
平沼尚和
平沼整形外科クリニック 院長
日本医科大学卒。日本医科大麻酔科、日本医科大学整形外科、協友会屏風ヶ浦病院整形外科を経て、2005年に平沼整形外科クリニックを開業。痛みの治療を得意とし、最新のリハビリ機器をそろえて患者に合った治療を行う。

キッコーマンニュートリケア・ジャパン株式会社
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