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【医師監修】腰がだるい!その原因と対処法は?

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なんとなく「腰がだるい」、と感じていませんか? 人によって、そのだるさの程度はさまざまでしょう。「痛い」まではいかないことから、「まあ、いいか」「このくらいなら、日常生活に支障はない」と思って、放置してしまいがちです。しかし、その腰のだるさを放っておくと、将来、腰痛になってしまったり、実は大きな病気が隠れていたことが発覚したりする恐れもあるのです。

そこで今回は、たなか整形外科クリニック院長の田中秀和先生に、腰がだるい原因や腰痛のメカニズム、腰がだるい症状の出る病気、腰のだるさへの対処方法などを伺いました。

腰がだるいと感じている方は、ぜひ参考にして、対処のヒントにしてみてください。

目次

■腰のだるさの原因は?

腰がだるいとき、原因としてはどんなことが考えられるのでしょうか?

田中先生によると、腰のだるさは、一般的に腰痛の一歩手前であることが考えられるといいます。つまり、腰がだるい原因は、腰痛の原因にもなりうるということです。腰痛の原因は一つではなく、さまざまなタイプがあるといいます。まずは腰がだるいときに考えられる主な原因についてご紹介します。

●腰の筋肉疲労や筋力低下によるもの

腰周りの筋肉が疲労したり、筋力が低下したりすることで痛みが出るものです。これが原因で腰のだるさや腰痛が起こっている場合、起き上がるときや前かがみの姿勢のときに痛みが出やすく、膝を曲げて横になった姿勢でじっとしていると、痛みが和らぐことが多いです。

●腰椎(ようつい)の変形によるもの

腰椎とは、背骨の脊柱(せきちゅう)のうち、腰の部分を指します。この腰椎が変形することによって、骨のとげや、椎体(ついたい)という竹の節のようなパーツ同士の間にある椎間板(ついかんばん)が突出します。これによって神経が圧迫されることがあり、下肢のしびれや痛みなどが起こることがあります。

●腰痛をきたす内臓疾患によるもの

腰のだるさや腰痛は、内臓疾患によって起きている場合もあります。内臓疾患が原因の場合、姿勢とは無関係に痛みが続いたり、急に強い腰痛が現れたり、じっとしていても激しく痛んだりします。例えば、肝臓や腎臓の病気や子宮内膜症などは、腰痛が起こる可能性のある病気として知られています。

●精神的なストレスによるもの

精神的なストレスが高じると、脳機能に不具合が生じ、身体にさまざまな症状が現れるといわれます。その症状の一つに、腰のだるさや腰痛があります。

■腰痛のメカニズムとは?

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腰痛は、なぜ起こるのでしょうか? そのメカニズムを知っておきましょう。

田中先生によると、腰痛の原因で多いのは、筋肉疲労によるものと、腰椎の変形によるものの2つだといいます。

そこで今回は、筋肉疲労と腰椎の変形による腰痛のメカニズムをご紹介します。

1.筋肉疲労による腰痛のメカニズム

腰椎を含む脊柱は、靭帯や腹筋、背筋などによって、ワイヤーロープのように支えられている体の大黒柱です。しかし腰周りの筋肉が疲労したり筋力が弱くなったりすると、脊柱を十分に支えられず、腰の前後のS字カーブが崩れてしまいます。そうした状態が続くと、筋肉に負担がかかり続けることにつながり、痛みが発生します。

2.腰椎の変形による腰痛のメカニズム

腰椎は、骨や椎間板、靭帯、関節などで構成されていますが、それらが年齢とともに変化することで腰痛が起こることがあります。この腰痛のメカニズムは、簡単に言えば、これらの構成物が年々年齢と共に変形していき、機能も衰えていくことで生じる痛みとなります。

例えば、腰椎にある椎間板という柔らかい組織は、通常、椎骨と椎骨の間でクッションの役割をしています。生まれたばかりの頃、この椎間板には水分が80%以上含まれており、弾力を保っていますが、20歳を過ぎたあたりから水分が徐々に減っていき、弾力が失われていきます。すると、椎間関節も変化していきます。

こうした椎間板や椎間関節の変化によって、腰椎の間を通っている「神経」を圧迫することで、脳に刺激が伝わり、痛みが発生します。

また椎間板に傷がつくことで、腰痛が発生することもあります。椎間板は弾力が失われると、傷みやすいため、傷がつくことも原因の一つといえます。急に重い荷物を持ち上げるなどすると腰に痛みが起きることがあります。

みなさんはよく「腰椎椎間板ヘルニア」という病名を聞いたことがあると思います。椎間板の中にある軟らかい部分が後方に飛び出すことをヘルニアと呼び、これによってお尻や脚に向かう神経が刺激されてしまい、お尻や脚が痛くなる病気です。椎間板が飛び出して左右どちらかの神経を圧迫し、お尻や足に痛み・しびれが出るのが特徴です。

3.精神的な原因からくる腰痛

ここまで見てきた腰痛のメカニズムは、肉体的な原因からくるものです。
腰痛には、精神的な原因のものもありますので、そのメカニズムも知っておきましょう。

精神的な原因の腰痛でよくあるのが、慢性的に腰痛が長期間続くというものです。治療しても痛みが続く場合は、精神的な原因、すなわちストレスや不安、うつなどが原因となっている可能性があります。

例えば、腰痛や腰椎椎間板ヘルニアなどを経験すると、「また起きるのではないか?」と腰痛に対する恐怖や不安が起きやすくなりますが、それに仕事や人間関係のストレスが加わり、そのストレスが長く続くと、痛みを抑制する脳の機能がうまく働かなくなり、わずかな痛みでも痛みを強く感じることもあります。

特に慢性腰痛の場合、脳の仕組み上、痛みが気にならなくなったり、我慢できたりするようになります。これは、腰から痛みの信号が脳に伝わったときに、脳からドーパミンという神経伝達物質が放出されるのに伴い、脳内で「μオピオイド」という物質が多量に放出されることで、痛みの信号を脳に伝える経路を遮断するセロトニンやノルアドレナリンという神経伝達物質も放出されるためです。

しかしストレスを長期間感じていると、脳でドーパミンが放出されにくくなることから、この痛み緩和のメカニズムが機能しなくなり、腰痛の痛みを強く感じることがあります。これが、精神的な原因による腰痛の一つのメカニズムです。

■腰のだるさは病気のサイン?

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続いては、腰のだるさが症状となる代表的な病気を、田中先生に挙げていただきました。

●筋・筋膜性腰痛症(きんきんまくせいようつうしょう)

先にご説明した、筋肉が原因で起こる腰痛のことです。腰がだるい場合、この病気であるケースが多いです。筋肉疲労や姿勢異常が原因ですが、変形性脊椎症という後述の病気が原因となり、二次的に筋・筋膜性腰痛症となっているケースもあります。

筋肉は腰まわりを覆っていることから、痛む部位はその時々によってさまざまです。特に立ち上がったときや前屈したときなどに痛みが出やすく、安静にしていると痛みが和らぐのが特徴です。

●変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)

椎間板が加齢や度重なる刺激によって変化して厚みが薄くなり変形すると、脊椎の配列が悪くなり、背骨や腰が曲がったり、バランスが悪くなったりします。その状態で長時間立っているなどして、腰に痛みが出る病気が変形性脊椎症です。

高齢者や腰に負担のかかる仕事を長期間している人によく発生します。主に頸椎と腰椎に起こりますが、腰椎に起こるものを変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)と呼びます。

●腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

変形性腰椎症が高じると、腰椎部の脊柱管という神経の通り道が狭くなり、症状が出るのが腰部脊柱管狭窄症です。症状としては腰痛と共に、脚のしびれや痛みが出るのが特徴です。

●腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)

加齢や度重なる刺激などにより、腰椎間の椎間板の骨が何らかのきっかけでふくらんだり飛び出したりして、神経を圧迫することによって痛みが出る病気です。腰の痛みやだるさとともに、脚のしびれやだるさを感じることがあります。しかし腰椎椎間板ヘルニアは、脚やお尻に痛みやだるさは出るものの、腰の痛みは出ないことがあります。

●腰椎椎間関節症(ようついついかんかんせつしょう)

身体を動かしたときなどに、腰椎の後方左右にある椎間関節に急激に負担がかかり、椎間関節の炎症が起きて痛みが生じる病気です。これも椎間板がさまざまな原因によって変性し、安定性が悪くなることで起こります。

●腰椎分離症(ようついぶんりしょう)

多くは中学生の頃などにスポーツ中に何度も腰をそらしたり、回したりすることで、腰椎の後方部分に亀裂が入って、腰椎の一部に骨折をきたし分離することが原因で起こる病気です。腰痛や下肢痛・しびれが出ます。

腰椎分離症は10代で起こり、それが原因となり、数年から数十年かけて徐々に「腰椎分離すべり症」に進行していく場合があります

●腰椎すべり症(ようついすべりしょう)

腰椎には神経の入った脊柱管がありますが、「すべり症」は腰椎がずれることによって、その脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて痛みが出るものです。長い時間、立ったり・歩いたりしていると、お尻や太ももの部分が痛くなって、歩けなくなるのが特徴です。腰痛が出ないケースもあります。

腰椎すべり症には、腰椎分離症からくる「分離すべり症」と、椎間板の変性からくる「変性すべり症」の2種類があります。

●内臓の病気による腰痛

内臓の病気によって、腰痛が出ることがあります。体の後ろ側の後腹膜(こうふくまく)という部位にある臓器に異常が起こると、背中や腰に痛みが出やすくなります。例えば、腰のだるさや腰痛をきたす病気には、腎盂腎炎、胆石症や尿管結石、子宮内膜症、卵管炎、子宮外妊娠、がんによる転移などがあります。

■腰がだるいときの対処法

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単に腰がだるいといっても、さまざまな原因があることをご紹介してきました。そのため、どのような程度の腰のだるさであっても、油断は禁物です。なぜなら、重い病気が隠れている可能性もあるためです。

とはいえ、腰が多少だるい程度で、痛みもなく、病院へ受診するほどでもない場合、自宅や普段の動作で簡単にできる対処法を実践してみるのも一つの方法です。

そこで田中先生に、腰がだるいときに自宅でできる対処法を教えていただきました。

●楽な姿勢をとる

腰がだるく、なんとなくつらい症状が出たら、腰に負担がかからないようにできるだけ横になるとよいです。場合によっては、横になるよりも楽な姿勢がある場合もありますので、自分が一番楽な体勢をとるとよいでしょう。無理をして腰をまわしたり、ストレッチをしたりする必要はありません。そうした無理は避けるようにしましょう。

●腰を温める

腰がだるいときは、湯船に浸かるなどして、腰を温めるとだるさや痛みが和らぐことがあります。

●正しい姿勢をとる

悪い姿勢を長時間続けていると、腰に負担が増すことがあります。特にデスクワークで毎日、長時間座っている方は、正しい姿勢で座ることを心がけましょう。
まず、椅子には深く腰かけること。お尻と背中が背もたれに密着するように座ります。

そして背筋を伸ばして、あごも少し引き、お腹に軽く力を入れます。このとき、太ももから膝にかけての部分が、お尻より下がってしまうと腰に負担がかかりますので、膝を少し上に上げるために、足元に台などを置いてその上に両足をのせて座ると腰が楽になることもあります。できれば1時間に1度は立ち上がって、腰を軽くストレッチしてみましょう。

●寝るとき

腰がだるいときは、夜、寝るときの体勢にも注意しましょう。特に、腰がだるいときには、仰向けやうつ伏せで寝ると、腰が圧迫されてしまい、かえって腰が痛くなりやすいため、注意しましょう。

腰がだるいときは、腰の下にタオルやクッションを置くと、腰のカーブと床面との隙間が埋まり、腰のだるさや痛みを緩和することができます。また、膝の下に枕を入れて膝を少し立てた状態にすると、腰の筋肉がゆるんで楽になります。

自分でいろいろと姿勢を変えながら、タオルやクッションの位置を調整して、自分が最も楽に感じる姿勢を見つけるのも大事です。例えば、横向きになったほうが楽なケースもありますし、クッションを股の間にはさんだほうが楽に感じるケースもあります。いろいろと試してみてください。

●ストレッチ

ストレッチは、基本的に腰痛のときに無理をして行ってはいけません。また、途中で痛みが出てきたらすぐに中止してください。行う場合は、自分の無理のない範囲で行うことを前提として行いましょう。

それを踏まえた上で、腰がなんとなくだるいときのストレッチ方法をご紹介します。

1.腰ねじり
仰向けに寝て、片方の脚を反対側の脚の外側に倒すようにして、倒した脚の膝を床面につけます。例えば、右脚の膝を左脚の外側の床面につけるとき、右手を右の膝に手を添えて、左手はまっすぐ上に上げます。

このとき、肩や膝が床から離れないようにするのがいいですが、難しい場合は、無理につける必要はありません。ねじった状態でゆっくりと深呼吸をしながら30秒くらい静止しましょう。これを左右1回ずつ、3セットくらい行うとよいでしょう。

2.ひざを抱える
仰向けに寝て、両膝を立てた状態から両脚を持ち上げて胸の前で抱えるようにします。そして両膝が胸についた状態にします。膝を抱えるときには反動をつけず、片膝ずつゆっくり抱えてください。

そして膝を抱えた状態でゆっくりと深呼吸をしながら30秒くらい静止しましょう。これを3セットくらい行うとよいでしょう。その後で体を前後にゆっくり振り子のように動かしてみてください。

3.股関節のストレッチ
脚の付け根の股関節がかたくなっていると、腰に余計な負担がかかります。腰がだるい程度であれば、普段から股関節をストレッチしてやわらかくしておくだけで、症状が緩和できることもあります。

股関節周りには、腸腰筋(ちょうようきん)や大殿筋などの筋肉がありますが、この腸腰筋や大殿筋がかたくなると、骨盤が倒れて前かがみの姿勢になることがあり、可動範囲も狭くなり、腰へも負担がかかります。

楽な股関節ストレッチの方法をご紹介します。まず椅子に腰かけ、両足を肩幅くらいに開いて、つま先を正面に向けます。そこからゆっくりと左右の膝を開いたり閉じたりしましょう。10回程度を2~3セット無理のない範囲で行ってください。

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がだるいのは、腰痛の前段階の可能性が高いことがわかりました。もし腰がなんとなくだるいのが、徐々に重くなってきたのを感じたら、すぐに病院にかかるのが良さそうです。早め早めの対処で、万が一の病気を防ぐことができる可能性もあります。

また田中先生は、腰がだるいときには無理にマッサージやストレッチを行うのを避けましょう、と注意します。

今は、テレビや雑誌、ネットなどでさまざまな腰痛対策を目にしますが、腰がだるいからといって何でもかんでもそのまま行ってしまうと、自分の腰痛の原因からして、逆効果になってしまうことも考えられます。

もし自分の腰のだるさや腰痛の程度を自分で見極めるのがむずかしい場合や、腰の他に、どこか別の部位の痛みや不具合も同時にある場合などは、まず整形外科を受診しましょう。整形外科で解決しない場合は、内臓疾患のこともありますので、専門医に早急に診てもらうのをおすすめします。

取材・文/石原 亜香利

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取材・監修者プロフィール

田中秀和(たなかひでかず)
たなか整形外科クリニック院長、日本体育協会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定医、日本整形外科学会認定スポーツ医等。
帝京大学医学部卒業(麻酔科入局ICU勤務)、埼玉医大総合医療センター整形外科・救命救急センター、亀田総合病院整形外科などへの勤務を経て、平成21年にたなか整形外科クリニック開院。スポーツに関するリハビリや患者さんに合った治療等を提供している。膝関節に関する手術については院長自ら提携先病院にて診察から手術、リハビリに至るまで指向している。
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